希伊人!何をデレデレとしているんだっ!?
どこか様子のおかしい友子に腕を引かれてそのまま一階にある某ドーナッツ店に連れて行かされた。
「うわぁドーナッツがいっぱいだぁ、かわいい。」
数々並べられたドーナッツに目を輝かせる友子。
つかドーナッツってかわいのか?
丸い輪っかの食べ物だけど。
「さぁ!早く買いましょ!」
ぎゅぅぅぅ。
「だから近いって!離れろよっ!」
「えへへ~いいじゃないですかぁ。」
注意をいれるが聞き流せれた様で尚も腕に抱きついてくる。
「うむぅ……。」
俺ら二人を一歩遠目で恨めしそうし眺めるターニャ。
「……くすっ。」
そんなターニャを尻目に不敵な笑みを見せてから。
「早く買って食べよ?希伊人君?」
「お、おう。」
進められるがままにドーナッツを購入し、席に着いた。
勿論席は俺の隣に友子が座って。
「いただきまーすっ!はーんっ。……んん美味しいっ!」
ドーナッツを食べて幸せそうな笑みを浮かべる友子。
俺も気乗りしないが一口、うん、甘い。甘ぇ……。
「…………。」
ジト目で俺たちを見据え無言でドーナッツを頬張るターニャ。
なんで怒ってんだよこいつは。
「あっ!これも美味しいっ!ねぇ希伊人君?」
「あん?」
「これ、あーんっ。」
食べていたドーナッツを半分こして俺に差し出してくる。
「いらねぇよ!」
「えぇ~、硬い事言わないでよ。あーんっ。」
身体を俺に預け身を寄せながら。
近いって!近い!
「ほぅ~ら、口開けて、あーんしよ?あーんっ。」
何処か妖艶な雰囲気をかもし出しながらゆっくり、ゆっくりと俺に迫ってくる友子。
ヤバい……何かヤバい。
「だぁーっ!!!!」
ガバッと立ち上がりドンっとターニャがテーブルを叩く。
「希伊人!何をデレデレとしているんだっ!?私のあーんには最近はうっとおしいオーラ放っている癖にっ!」
「なんだよ、急に。」
「大体さっきからなんなんだ友子もっ!様子がおかしいんじゃないかっ!?」
「クスクスっもしかしてターニャちゃん嫉妬してるんですかぁ?」
挑発的な笑みを浮かべてターニャを煽るような発言をする友子。
「べ、別にそんなことはっ。」
「本当ですかぁ?」
そう言うと頭を俺の肩にうずくめ始める。
「おいっ!何してんだよっ!」
「いいじゃないですかぁー。えへへっ。」
「く、くぅー!」
ターニャが肩をわなわなと震わせながら歯軋りする。
「ふんっ!先に帰らせて貰おうっ!」
ぷんすかと怒りながら食べかけのドーナッツと俺たちを置いて先へ帰ってしまったターニャ。
「あーあ、行っちゃった。」
クスクスと雑踏に紛れるターニャの背中をまるで嘲笑するように笑う友子。
くそっどうなってんだよまじで。




