ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?
俺は助けられた後、何もなかったかの様にコンビニへ行きハンバーグ弁当を買って家に帰る。
あの化け物は一体なんだったのか、そしてあの美人は……。
まぁ、いいか。切り替え切り替え。
俺の特技はすぐ心を切り替えられるところだ。
まぁ襲われていた時はパニクってたけども。
この特技のお陰でイライラせずに落ち着いた生活が出来る。
例えばクラスのうるさい馬鹿が面白みもない下ネタを連呼していても俺は決して腹を立てないし、たまたま女の子と目があっただけで舌打ちをされても涙なんて流さない。
え?じゃあなんで格ゲーで憂さ晴らししてたって?
そこはまぁ、気にすんな。
そんなことを考えているうちに家まで到着。
ゴソゴソとポケットから鍵を抜き取りブスっと鍵穴に刺した。
だが。
がちゃがちゃ。
「あれ?開いてる?」
おかしいな、ちゃんと学校行くときに戸締りしたはずなのに。
不思議に思い、ドアノブを握るが鍵が掛かっている感触はしない。
そのままドアを開くと。
「少年、おかえり。えーと、あ、そうだ!ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」
「すんません!部屋間違えましたっ!」
バンっ!
勢い良くドアを閉めた。
ええっと、部屋の番号は確かにあってるし、えーっと、えぇ……。
どゆ事ぉー?ねぇ、家に帰ったらいきなり裸エプロンの美人ってどゆ事ぉー?
夢だよな、流石にありえないって。
冷静になれ、俺。
フゥーっと一息入れてからもう一度ドアを開けてみる。
ガチャリ。
「……ふむ、確かにこの国での出迎え方と習ったのだが、何か間違えていただろうか。」
やっぱり夢じゃねぇ!!!
「おい!あんた誰だよっ!」
人の部屋で裸エプロンの痴女にそう叫ぶ。
「ふむ、そうか。あの時名は名乗ってなかったな。私はターニャだ。ターニャブラウス。よろしくな。」
「いや、そういう事じゃねーよっ!何人ん家勝手に入って裸になってるんだよっ!」
「ぬ?これが日本では一般的な出迎え方だと習ったのだが、どこか違うか?」
「誰だその変なクールジャパン吹き込んだ奴。おかしいだろ。」
「そうか、上司に貰った資料にはこう記述されていたのだが。」
そういうと着けていた腕時計のモニターをポチっと押す。
すると画面が立体で表示されて。
「ほら、見てくれ。」
むぎゅぅっ。
近い!近いって!当たってるから、柔らかい物当たってるからっ!
痴女の肩を掴み距離をとってから表示された物を見て見ると。
「えーと、何々……。『三次元女子にされたい事五十選』……。」
ぼへぇ……なにこれ。
「何かおかしいところがあるのか?」
「おかしいっつうか、ツッコミどころしかないっつうか。」
「そうなのか。ふむ。参考になる。……さぁそろそろ中に入らないか?料理も冷めてしまうし。それに私も少々寒い。」
「は、はぁ……。」
勧められるままに俺は部屋の中へ入る。
ほんとこれどゆことぉー。