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ふふっセリヌンティウスめ、可愛い奴だっ。

 今はゲームコーナーから少し離れたベンチで暫しの休憩中。


 ターニャは先程クレーンゲームで取れたぬいぐるみを抱いてご満悦の様子。


 俺はそれを缶コーヒーを飲みながらボーっと眺めていた。


 因みに缶コーヒーは勿論ブラック、キリッと苦味のあるコーヒー独特の味がたまらない。


 カフェオレや微糖などでは出せないこの深みこそザ・コーヒーだ。


 え?餓鬼の癖にコーヒーの苦味なんてわからないだろうって?


 いいだろう、飲み物くらい好きな飲み物を飲ませてくれ、それになんかかっこいいだろブラックコーヒー飲んでるって。


 そんな事を考えている俺の隣ではターニャがぬいぐるみを抱いたりつついたり、引っ張ってりして楽しんでいる。


 「ふふっセリヌンティウスめ、可愛い奴だっ。」


 あどけない笑みを浮かべながらお人形遊びを楽しんでいる様子を見ると女の子なんだなと実感させられる。


 実はエイリアンバスターでサイコガンをぶっ飛ばしたり、最近裸エプロンにハマっているなんてとても想像もつかないだろう。


 ……ほんと、おとなしくしてりゃ美人なんだけどな。


 そんなターニャを尻目にコーヒーを一口、うん苦い、いや美味い、美味いよ、うん。


 ああーブラックコーヒー美味いなー。


 そのまま暫くベンチに座っていると、ふと友子が帰ってこない事に気がつく。


 あいつ遅せーな、もうかれこれ二十分は経っているけど。


 どっかではわはわしているんだろうか。


 なんて事を考えていると。


 「すいませーんっ!お待たせしましたっ!」


 遠くから手を振ってこちらに近づいてくる友子。


 「おお友子随分遅かったじゃないか……ところでこのぬいぐるみを見てくれ、私がさっきクレーンゲームで取ったんだぞ。」


 自慢げにセリヌンティウスを掲げて。


 すると。


 「へぇー、そうなんですか。……クスっターニャさんてこんな可愛い物が好きだったんですね。」


 「なっ!?……これは別にあれだぞ、たまたまだ。たまたま取りやすそうだったからこれを選んだんであって私は可愛い物など……むぅ。」


 サっとぬいぐるみを後ろに隠し顔を赤く染めながらそう巻くし立てる。


 ……さっきはあれ程楽しそうにしてたのにな。


 「……ところで友子、お前本は?」


 トイレから帰ってきた友子は先程購入した本のレジ袋を持っていない。


 「あー、置いてきちゃったかもしれないです。そんな事より希伊人君、次行きましょっ!」


 「お、おお。」


 急かすように俺を立ち上がらせて、そして。


 ぎゅうぅぅぅぅ。


 「うぇっ!?ちょっと友子さんなにやってんのっ!?」


 俺の腕にぎゅっと腕を絡ませてきた。


 「えへへ、別にいいじゃないですか。さ、行きましょ。」


 頭を俺の肩にくっつけながら腕をひっぱりリードするかの様に先へ進ませる。


 はっ!?どうなってんの?友子さんってそういうキャラだっけ!?


 「むっ友子だけずるいな、どれ希伊人、私とも腕を組もう。」


 「いやだよっ!」


 「なっ!?……むぅ。」


 「クスっ……さぁ希伊人君、行きましょ。私ドーナッツが食べたいなぁ。」


 「そうですか……。」


 そのまま腕を引っ張られながら俺と友子は先へ進み、それを後ろから不貞腐れながらついてくるターニャ。



 これどーなってんの……。

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