私、服が溶けてしまってるんだが!裸同然なんだがっ!!!
「すんません、自分調子乗ってたッス。ほんとすんません。」
黒焦げになったブライヤが土下座しながら俺たちに謝る。
しかし。
「謝ってもよぉ、こっちは実際に襲われてる訳だ。そう簡単に許せねぇよなぁ?」
「……それもそうなんですけどね、ほら!この通り!だから見逃して下さい……。」
「どうするターニャ?俺としては今すぐ吹き飛ばして欲しい所だが。」
「ふむ、私としては拘束して宇宙刑務所に送りたいのだが、希伊人が吹き飛ばしたいならそうしよう。」
ガシッ。
ターニャがサイコガンを構える。
「待って!待ってくだせぇ!ほら、色々聞きたいこととかあるでしょ。」
「でもお前知らないって言ってたよな。」
キュイーン。
ターニャのサイコガンが弾丸をチャージする。
「待って!ほんとに待って!話すから!俺が知ってること全部話すからっ!」
「ほう、なら洗いざらい吐いて貰おうか。」
「わ、わかった。……あれは俺が地球に来て二ヶ月がたった時だった。その時の俺は住む場所もなくただ空き地の雑草に化けて来る日も来る日も」
「そこはいらねぇ。割愛しろ。」
「……来る日も来る日も雨に晒せれ、犬に小便をかけられて」
「おい、割愛しろっていってんだろ。やれターニャ。」
「わかった。」
「わかりました割愛しますっ!だから武器を収めてっ!」
ゴホンと咳払いを一つして。
「日々苦労の毎日、もう母星に帰ろうかななんて思っていたその時、声をかけていただいたんです。」
「声?」
「肌が褐色の女でした。そして言われたんです。この町に住んでいる安藤 希伊人を攫えば報酬をやると。」
褐色の女、そいつが俺を狙っているのか。
「で、俺を攫う理由は?」
「そ、それが……。」
歯切れ悪く、ここで口が止まるブライヤ。
「それが、わからないんです。自分も聞いてみたところ、『お前には関係のないことだ』と。」
肝心の情報は得られず、か。
なにが目的で俺を狙っているのかさえわかれば今後の対処も違っていただろうに。
「自分の知っている情報はここまでっス。さぁ一思いにやってくだせぇ!」
涙を堪え覚悟を決めたのかギュッと瞼を閉じるブライヤ。
その時。
「ま、待ってください!」
友子がブライヤの前に立ちふさがりバッと両手を挙げた。
「話は聞きました。ブライヤさんは確かに希伊人君を攫おうとした。だけど殺しちゃうなんて酷いです!」
「いや、それもそうなんだが……。」
「……それにブライヤさんはこの図書室に緑を与えてくれた。この暗い部屋で明かりをくれた大切な人なんです!」
「と、友子さん……。」
「希伊人、どうする?」
ターニャ、友子。そしてブライヤの目線が俺に一斉に俺に向けられる。
ったく、めんどくせぇーな。
はぁーっと俺はため息を一つしてから。
「わかったよ。ブライヤは見逃してやる。ただし次手出してきたら速攻消し炭にしてやるからな。」
「旦那ぁ……っ!」
わーい!っと歓声があがり抱き合う友子とブライヤ。
全く、俺も甘ちゃんだな、つか誰が旦那だよ。
「ターニャもそれでいいか?」
「うむ、希伊人がそれでいいなら私は別に構わんが……。」
「そうか、ならこの話は終わりだ。帰るぞターニャ。」
そういって俺は先に図書室を後にした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!私、服が溶けてしまってるんだが!裸同然なんだがっ!!!」




