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創世神話「アルレリアの起こり」


光と闇さえない虚無に、大きな渦と淀みが生まれ、闇の沼の波紋の中から創造神アルレリアが生まれた。


創造神アルレリアは虚無の暗闇の中でただただ孤独だった。


孤独と寂しさから逃れるためにアルレリアはその胎に五つの子を宿し、それぞれの名を与えた。


太陽神ヴァンガスタ


大地神ゴルディガ


水祖神サティア


風雲神フィーレイリア


次元神エレム


創造新アルレリアの胎の中で新たな光が五つ生まれ、それぞれが意志を持ち始めた。


兄妹神である彼らは胎の中で子守歌を聞き、共に眠り、時にからかいあい、それは感情と呼べるものを持ち始めた。


自己という存在すら認識できなかった創造新アルレリアはいつしか孤独を忘れるようになった。


それぞれの子は異なる性質を持った。


太陽神ヴァンガスタはよく怒り情緒的で、大地神ゴルディガは何事にも動じない意志を持ち、水祖神サティアはよく喋りユーモアがあり、風雲神フィーレイリアは兄妹に最も目を配り、次元神エレムは陰に隠れ、常に思考していた。


意志を持ち始めて間もなく、太陽神ヴァンガスタは母の胎を突き破り外界に飛び出した。


水祖神サティアが太陽神ヴァンガスタを揶揄した。暑苦しいし赤く常に怒っているようで恐ろしいと。


怒っているわけではない、母より頂いた私の体を侮辱するとは許せんと太陽神ヴァンガスタは激しく怒った。


大地神ゴルディガはなぜヴァンガスタは怒るのか理解できなかった。


風雲神フィーレイリアはサティアをたしなめ、ヴァンガスタを収めようとした。


次元神エレムは不穏な様子おびえ、隅に隠れた。


ヴァンガスタの怒りによって太陽神と水祖神は受け入れられぬ不和の存在となった。


同じ子あれど侮辱は許せんと激しく怒るヴァンガスタとサティアが衝突した。


衝撃で母の胎が大きく膨らみ、そして破裂した。創造新アルレリアの存在が消えかけようとしていた。


太陽神ヴァンガスタは激しく怒ったまま、母の外へと突き進んだ。


水祖神サティアは存在が消えかけようとしている母に気付き、青ざめた。


サティアは祈り、その身を捧げた。


母である創造神アルレリアの命を繋ぎ止めるために、裂けたその身に横たわり、ただただ祈った。


母の命が救えるのであればこの身を捧げると。裂けた傷は水というサティアの血で覆われた。


大地神ゴルディガは理解できぬと、苦悩していた。ゴルディガには全てが理解できなかった。激しく怒るヴァンガスタ、その身を捧ぐサティア、母の死。母の胎の中に座し、深く苦悩し、岩となり大地となった。


風雲神フィーレイリアは嘆き、悔いていた。ヴァンガスタとサティアを止めることができたのは自身のみだったのだと。


深い憂いと後悔の果てに、消えてなくなりたい、と存在の消失を望んだ。悲しい願いと祈りは果たされ、その存在は消えて薄く、風のように透明になり儚い意志だけが残った。


次元神エレムは願った。このようなことは在ってはならない。事象そのものを否定し続けた。いつしか、兄妹仲睦まじかった在りし日の夢を見るようになり、そして終わらない嘆きを繰り返し見続けている。


太陽神ヴァンガスタの激しい怒りは留まることを知らない。なぜ自身が怒っているのか、それすらもいつしか忘れた。


怒りを忘れた頃、赤い体が白い体となった。そして遠くから母と兄妹神を見続けている。


創造神アルレリアは死の瀬戸際で生命を作った。それは死んだあとも我が子が寂しくないようにと祈りながら、自らの体を大地として、自らの体に根付くもので満たしたいという願いを残して果てた。


このアルレリアで満たされる神々の躯に根付く子である生命らを今も見守っている。

                                 

                 創世神話 アルレリアの起こり

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