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音楽室までの暗い道のり
ともよ、怒ってる…?
授業終了のホームルームを終え、カバンを持ち席を立ったともよの姿を、1番後ろの席から観察する。
あぁ、やっぱりこっちを見ずに音楽室行こうとしている…
ともよはカバンを肩にかけ、人混みの中廊下に出ようとしている。
普段は、ともよが目で合図し、
自分も一緒のドアから廊下に出て、一緒に音楽室に歩いていく。
でも今日は、一緒に行かないのね…
そんなともよの姿を見て胃が苦しいようにドキドキしながら、自分も出て行ったともよの後を追うように廊下に出る。
後ろから勢い良く廊下に出てきたバカ男子が背中とカバンにぶつかっていき、身体でカバンをぐいと持ってかれイラっとした。
1人で音楽室に向かうのは孤独だった。
「あれ?ともよちゃんと一緒じゃないの?」「1人?」とみんなが自分に言っているような感覚がした。クスクスと笑われている気がした。視線を感じた。
それはただ単に、自分が惨めだという敗北感からくる被害妄想である。誰もこっちなんか見ていないし、自分のことなどしゃべっていない。
そう頭では分かっていても、音楽室までの距離が遠く怖く感じた。