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「へ?灰って爆発するの?」

『ちょっと違うわね、燃えるのは灰に混ざっていた石炭よ。それに粉じん爆発は空気の停滞した場所で細かい粒子が……うん、よく分かってないみたいだから説明は省くわ。とにかく、さっきみたいな状態は火の魔法と相性が良くて、包まれていると危険だって覚えておけばいいわ。あと水で濡らすのが有効ってこともね』


 僕の水でつぶされたイセカイジンが目を覚ますまで僕と緑龍様はさっきの戦闘(といっていいのかもわからないほどあっさり終わったが)の反省会をしていた。とはいっても僕が引き起こした状態の危険性っていうか緑龍様が心配したことと僕が何を思ったかの差異を埋める作業だけど。


「うぅっ」

「あ、起きたっぽい」

『あらじゃあ交渉開始ね、ウルイちゃんは遊んでなさい?』

「はぁい」


 緑龍様がしゅるしゅると音を立てて変形していく。龍の形をしていた植物が全て解かれ、再び集まって人型を取っていく。わざわざニンゲンなんかに合わせてあげるなんて緑龍様はお優しいことだね。


 僕はそれを最後まで見ることなく村跡を進み皆のお墓まで進んでいく。そこは緑龍様のご好意で緑に溢れた楽園となっている。色とりどりの花が咲き、香りよい果実がそこら中に実を結び、小鳥や蝶が舞う光りあふれる光景だ。墓の下にはきちんと皆が眠っている。燃えてしまったが、燃えたからこそニンゲン共は皆を連れて行くのを諦めたらしい。


「ただいま、シオデ、コゴミ。ここはちゃんと居心地がいい?仲良く遊んでる?皆は元気かな?」

「母さま達の遺体はあの空間に取り込まれちゃって回収できないんだって。皆迷わずそっちにいけたかな?」

「お勤めは天狼族にも協力してもらってきちんと僕がこなすから、心配しないでって伝えてくれる?」

「僕はもうそっちにいけないけど、いつかまた会えることを楽しみにしてるから」


 緑龍様と反省会をしながら作った花輪をお墓の前において僕はその場を離れた。そろそろ交渉も終わっているだろう。


「ぃ、いや、ちょっと待て!おい!離れろ!!」

『あら?いいでしょう?もう私達はパートナー。夫婦も同然なのよ?』

「そんなの聞いてなっ、だから押し付けるなぁぁぁ!!!」


 …………おっといけない、お子様にはまだ早い展開が続いていたらしい。回れ右をしてもう少し時間を潰すことにした。


 適当に時間を潰してたら周りの植物が風もないのにゆらゆら揺れた。どうやら戻って来いという合図らしい。暇に任せて採りまくった果実を持って行くとぐったりしたイセカイジンとおかしそうに笑う緑龍様が並んで座ってた。


「アダルトな展開は終わったの?」

「!?子供がそんな言葉使っちゃいけません!って狐ぇ!?」

「狐が喋っちゃいけないとでも?」

「あ、いや、そういうわけでは」

『ふふ、あなたキャラ変わってるわよ?ウルイちゃん、お義母さんは旦那様を得たけどまだアダルトな展開は早いと思うの。だからその予想は外れね?』

「誰が旦那だぁぁ!」

「まあまあ落ち着きなって、お義父さん?」

「おとっ!?……いきなり子持ちになるのか?それでいいのか?俺?」


 この人からかうと非常に面白いかもしれない。

隣では緑龍様がニヤニヤと笑っている。完全に遊んでいるな、これは。


『さて、そろそろ元の姿に戻っていいかしら?いい加減窮屈だわ』

「ああ、さっき見たドラゴンなんだよな?子狐の方は見覚えあるし」

「わざわざニンゲンなんかに擬態する意味なんてないでしょ」

「人間なんか……」

『その子ニンゲン嫌いなのよ。気にしないであげて』


 そういって緑龍様は元の姿に戻った。知らず知らずのうちに息をつく、どうやら緑龍様だとわかっていてもニンゲンの姿に結構緊張していたようだ。イセカイジン?僕の水術ウンディーネで一発KOな間抜けを恐れる必要がどこにある?


「本当にさっきのドラゴンなんだな」

「何だと思ってたのさ?」

「いやあまりにも好みのタイプだし、最初は幻影を見せられる精霊のたぐいかと思ってたし」

「ふむ?さっきの緑龍……お義母さんの姿を考えるに、顔はキツめよりおっとり系、しかし体つきはボンキュッボンの豊満タイプで服装はちょっと扇情的な積極的系女性がタイプと」

「具体的に語られるとダメージあるわ。あと積極的より意思は強いが控えめタイプの方がいい」

『男って勝手ねぇ。そんな完璧な女なんているわけ無いでしょう?いたらそれは贋物えんぎよ』


 きっぱりはっきり真顔で語る緑龍様とがっくり項垂れてそうだよなぁとつぶやく哀愁ただようおっさんが印象的でした。お前ら過去に何があった?

 

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