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その後もなんやかんやと対策会議らしきものを小一時間ほど続けた後、僕らは解散となった。
天狼族の長、ハウさんとは定期的(といっても僕の身体的な成長待ちなので年単位だが)にあって勤めに関する記憶の同調を進めることになった。
僕が長の証を使いこなせていれば僕が読み解き、口頭で伝えられたがこの証は本来一族の長のもの、つまり一番実力のあるものが持つ。当然それに見合う実力を持つことが大前提で――――早い話、同調の条件同様実力不足で僕には解読できないのだ!それどころか今の状態(一属性)でもハウさんと僕が読める情報に差がある。つまりひとつの属性分すら僕は読めないわけで……ものすごく落ち込みましたがなにか?
「天狐の最高位まで属性増やしてくれたら情報は完全にこっちに移せるみたいだから、とにかく属性増やしてくれる?」
属性が増えるのは年齢に比例するのであと最低9年は待ってください。
「経験値で補えばもっと早く増やせるって、頑張れ!」
『大丈夫よ、わたしが育てるんですもの。当然それ相応の実力つけてもらうから(はーと)』
ニコニコ笑顔で恐ろしい宣言された子狐はガタガタ震えるしかなかったワケデスヨ。
世界が滅ぶ前にこいつらに殺されるんじゃね?あれ?そしたら世界も道連れ?あははは。
その後本当にスパルタで鍛えられた。
崖から落とされたり(風属性強化訓練、風を操れなかったら地面にたたきつけられて死ぬ)、渦潮巻く海に放り投げられたり(水属性強化訓練、這い上がれなければ溺れ死ぬ……コゴミたちとの麗しい約束が台無しになった気分だった。海怖い)、マグマが揺れる火山地帯に置き去りにされたり(火属性強化訓練、火属性で周囲の熱を操らなきゃ蒸し焼きになる)、植物に至っては緑龍様とガチバトルだった。死ぬかと思ったと言うか実際瀕死になって緑龍様が慌ててた。癒やしや幻想――精神攻撃系は特殊なので地道に成長を待っている。
特訓のおかげで属性が一個増えた。あれだけ死にそうになったのに一個しか増えなかったともいう。年齢や器の大きさ的に仕方ないことだが非常に残念だ。
『器が小さくて発現していないだけだから大きくなれば一気に増えるわよ』
ニコニコ顔の緑龍さ『お義母さんでしょう?』……お義母さんが保証してくれたが増えた属性は植物じゃないので目が笑ってなかった(今の僕の属性は水と風だ)。マジコワイ。
――――深緑の森、緑龍の住処――――
今僕が住んでいるのは当たり前だが緑龍様の住処だ。緑龍様の住処は深緑の森の奥深く、といいたいけどなんと大樹の根元だ。僕らの村とは真逆だけど登るために結構このへん来てたのに一切気づかなかったと呆然としてたら空間が歪められててウンタラカンタラととても難しい説明をしてくれた。ごめんなさい、全然理解できません。
緑龍様も僕の顔を見て理解できてないと気づいたらしい、『んー、神竜の固有魔法ね(うそだけど)!』と簡潔にまとめてくれた。なるほどと思った。
緑龍様の住処はとても安らげる空間だ。苔むした大樹の根元に柔らかい草が敷き詰められててそこに緑龍様が寝そべり、僕の寝床はその横、ちょっとした窪地に同じく柔らかい草を敷き詰め、更に雨で濡れたりしないように屋根が取り付けられている(緑龍様は植物で出来ているから雨はむしろ好物だそうです)。この屋根は緑龍様が能力で近くの木を曲げて編みこみ、更に大きめの葉が乗せられているなんとも不思議な見た目の屋根だ。だって屋根に普通に花が咲いて実がなるんだよ?綺麗な蝶がよく飛んできます。
「はぁぁ、のどかだ」
『んふぅぅ、はぁ、のどかねぇ』
暖かい日差しがぽかぽかしていて僕らはのんびりお昼寝中。修行?僕今包帯だらけなの、これ以上やったら死んじゃうの。癒やし魔法のスペシャリストな白龍様のお墨付きですから間違いありません。緑龍様、白龍様に三時間正座で説教されてたよ。龍なのに。なんていうの?体の構造とか、成長期における負荷の掛け方のリスクとか何とか。僕はもちろんのこと、緑龍様や僕の手当をしてくれていたハウさんも頭から煙り出してた。
そんなわけでしばらくは体を休めることって言われてこうしてお昼寝、もといひなたぼっこをしているのさ。僕の前にはいろんな果実が山積み、緑龍様がやりすぎた謝罪の品だって言ってくれたんだ、甘くて美味しいです。
今のところ章分けするつもりはないですがあえて分けるならここまでが第一章。
ウルイの悲劇と緑龍様との出会い、世界の成り立ちってかんじですね。
次からは新しい仲間(仮)とかいて緑龍様のおもちゃ(笑)と読むキャラとの出会いです。