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さよならマーチェンナイフ  作者: 湯島結代&水鳴倫紅
幼女編
9/28

あなたとともに


ちょいと遅れてすみません。

「えっと……僕は何もできないけど、頑張って君を守るよ」

男性の頼りなげな言葉が、頭の中でくるくる回る。

何もできない、だけど頑張る。矛盾している、

仮面の方が使えることは間違いない。

だけど、だけど……。

ふわふわの白い犬、目覚めた時のへにゃりとした笑顔。

それから、炎のぬくもり。命を使って守ろうとする、やさしさ。

あの男性はヘタレだけど……。

私は、私は、だから……。

「うぅ……」


私は・・・


【ヘタレを選ぶ】   仮面を選ぶ


「私は、私はっ! 例えヘタレでも、貴方を選ぶ!」

びしっ、ヘタレの方へ包丁を突き付けた。

「え、えっと……」

ヘタレは包丁を突き付けられてちょっと戸惑っているけれど、

でもこれで良いんだ。

「お前はそれで……良いのか?」

ちょっぴり苛立った仮面に対し、笑顔でうなずく。

「そうか……それでいいんだな」

仮面は笑って、それからバラバラの光になって消えていった。


かくん、脱力して包丁を元の場所に戻す。

そしてへなへな、座り込んでしまった。

「大丈夫? 進める??」

ヘタレは、私に手を差し出す。つなぐと、なんだか安心して。

だから、がんばろうかなって思えた。


私達は、天井の隙間を見つめた……見た途端驚いた。

ひょいっ、隙間から編みぐるみ。

白くてふわふわ、柔らかくて暖かそう、だけど本当は氷でできている。

「これは愛への試練よ」

ふふ、と雪のように冷たい声で微笑む。

そして私の意識は失われた。


――――***―――***―――***―――***―――***――――


 気が付くと、知らない部屋にいた。

起き上がろうとすると、べたべたしたものがまとわりついて私を邪魔する。

そして、気づくと上には……手足が大量にある、蜘蛛男がいた。

食らうように、×すように、顔を私に擦り付ける。

怖い、怖い、嫌い。

包丁を突き付けて、かすると黒ずんだ液体が飛び散る。

それは私を汚していくようで、気持ち悪いよぉ、うぅ……。


「うぅ……たすけて……たすけてよ」

呟きながら、蜘蛛男を刺していく。

「ブッ刺せば大丈夫、大丈夫なんだ……×××……大丈夫だよ……」

しゅうしゅう、蜘蛛男は気持ちの悪い液体をかける。

生暖かい息も、縛り付ける糸も、私の身体を動かなくさせる。

「ブッ刺し! ブッ刺しぃ……たのしい……」

そう思わないと、やっていけなかった。


蜘蛛男は、ずたずたになってもぐちゅぐちゅと蠢いている。

それを背に、わたしはふらふらと次の扉を触る。

扉を壊さなくても、あっさり開いた。

9話目サブタイトル楓

9話目担当水鳴倫紅

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