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さよならマーチェンナイフ  作者: 湯島結代&水鳴倫紅
幼女編
6/28

あなたを選ぶ

諸事情により少し投稿遅れてすみません

ヘタレを選ぶ   【仮面を選ぶ】

「やっぱり俺様を選んだんだな」

こうなることが確定してた、かのように仮面は不敵に微笑む。

男性は這いつくばったまま、切なそうな目でこちらを見る。

「ふん、犬のようだな。こいつは置いて、行くぞ」

仮面は、何のためらいもなく男性を亀裂へと突き落す。

落ちて言った彼の、子犬のような目が脳裏に焼き付く。

何だかちょっぴり切なくなりかけたような気がしたが、きっと気のせいだ。


 気をそらそうと、私は壁をよく見つめる。

遠目から見るとのっぺりした平面に見えていたが、

かなりしっかりと凹凸(おうとつ)が付いている。

「ほら、俺はお前が登りきるまで下で待ってる。

何があったって受け止めるから、行け」

うぅ、怖いよぉ……。

一個一個のパーツをつかむたびに、声が漏れそうになるのをこらえる。

どうしてだろう、これは私の敏感な部分を触っているような……。


ととととと、急激に攻められた気がした。

気づくと、私の横に仮面が。

「ここまで来れるなら、落ちることはないだろう。

……横にいた方が、お前が安心できる気がして」

そして、口元だけで微笑む。

――きっと仮面が居れば、大丈夫だ。

私は、天井の隙間を超えた。


――――***―――***―――***―――***―――***――――


 私と仮面が、天井の隙間を超えたとたん、隙間は閉じられてしまった。

周りを見渡すと、下に炎がある綱渡りのようなステージ。

「これはお前を歩かせられないな」

ひょいっと、抱えられる。

何でだろう、恥ずかしいより嫌悪感が強い。

それは「支配」されたような、「束縛」されたかのような違和感。


彼は綱の上を、バランスをとって、でも体重をかけすぎないように走っていく。

飛んでくる火の玉も、私に当てないように器用にかわす。

だけど――つまらないんだ。

「大丈夫?」の一言もない。

思えばさっきからそうだった。

仮面は、私の事なんてほとんど気にしていないのではないか?

怖かったのに、それは分かっていたはずなのに「先に行け」って言って。

「受け止めてやる」って言ってたのに、勝手に隣に来て。

身勝手なんだ、それに束縛された感じ――。

それは確かどこかで感じた――キモチノワルサ。

男性の包み込むような感じとは、違う。


 「私、やっぱり最初に会った男性と一緒に旅したい!」

勢いで言ってしまい、私は後悔することになる。



6話目担当水鳴倫紅

6話目サブタイトル楓

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