どっちがいい?
ちょっと微修正
白い雪の世界から変わって、そこはおもちゃ箱をひっくり返したような世界。
「あ、危ない!」
亀裂に落ちそうになった私を、男性は抱き上げた。なんだか、懐かしい匂いがする。
顔が違い、ふと見つめ合って、恥ずかしくなって、目をそらした。
優しい顔した男性、でもその顔は、ちょっと険しくなった。
その視線の先には、見知らぬ男性。
「ああ、来たのか。ようこそこの世界へ」
仮面の男性は、両手を広げて静かに笑った。
仮面の男性を威嚇するような顔つきで、私を抱き上げていた男性は、私をおろし、自分の後ろに隠す。そして口元に手を当てて、『喋らないで』と合図する。
「わかるのか、お前は自分が誰か、ここがどこか」
「全て・・・わかっているさ」
「それを疑問に思わず従うってことは・・・そいつを守るためか、お前が弱いか、どちらだろうな」
「・・・・・・」
「なぁ、チビもそう思うだろ?」
チビという言葉にムッと来たけど、約束は守る。喋らない。
「あの子を・・・巻き込まないでくれ」
「むしろ巻き込まれているだろ」
2人の会話は、難しくて分からない。
「まあそれよりも、お前、四つん這いになれ」
「は?!」
あれ?なんだか急におかしい方向へ。
「さっさとしろ!」
「痛っ!」
私を守ってくれる男性は、仮面の男性にお尻を蹴られて、壁の前で四つん這いにされた。
「よし、動くなよ」
「へ、変なことするなよ・・・」
「するかボケ!」
何をするかと思えば、踏み台にするようだ。
けれども、私を守ってくれるあの人は、いわゆるヘタレ。踏み台になる体力などはなく、仮面の男性が乗った瞬間、ベシャリと潰れてしまった。
「・・・役立たずが」
「いや、何だったんだよ今の」
仮面の男性は、クイッと首を上にあげて、『上を見ろ』のジェスチャーをする。ヘタレも私も、上を見る。
するとそこは、壁と天井の間に隙間がある。きっと、あの壁を登れば、新しい道がある。
「このまま3人なんて無理だな」
「決めつけなくても・・・」
「お前はヘタレ過ぎて使えないんだよ」
「・・・っ!」
どうやら、ヘタレは仮面と知り合いで、苦手みたいかな?
「チビ、お前が選べ。力もあって、ドアをこじ開けることが出来る俺様かこいつか」
「えっと・・・僕は何も出来ないけど、頑張って君を守るよ」
私にそんなこと、決めさせないで欲しい。でも、決めなければいけない。
私は・・・
ヘタレを選ぶ 仮面を選ぶ
あなたはどちらを選びますか?
5話目&5話目サブタイトル担当 楓