目覚め
おーい、生きてるか?
俺様の声、聞こえてるか?
…お前さ、ほんと馬鹿だよな。
あー、そうだな。刀あるだろ?あれさ、鞘がねえと危ねえだろ?つまりはそう言う事だ。
んー…、1人じゃ、駄目なんだ。2人じゃないと駄目なんだ。
今頃きっと刀を振り回して危険な目にあってるだろうなあ。鞘はもうボロボロだ。
そう
バッドエンド
でも馬鹿なお前はここまで来た。何度か結末を捻じ曲げてきた。
ほら、今もお得意の勝手に人の心にズカズカ入ってきて結末を捻じ曲げるってやつ、やれよ。
幸せな結末がほしいんだろ?そこに俺様はいなくてもいい。だが、お前はいなくちゃなんねえ。
立ち上がらなくてもいい、弱虫でもいい。たった一言感情を言えばいいんだ。
『こんな結末は認めない』って。
ほら、声にならなくていいから口を動かせ。
もう一度やりなおせるだろ?
… 【 無理だよ
おっと、無理なんて選択肢はねえんだ。
生きるんだろ?2人で。俺の分まで彼女を愛して。
ならまた立ち上がれ。弱音はここに置いておけ。
出来ない事は2人でやって行きゃあいい。そこに俺が居なくても悲しむ事はねえ。
だから、ここで寝てちゃあ駄目なんだ。
ちょっと疲れて休んでいただけだろ?傷だらけでも、ゆっくりとでも、立ち上がれるんだろ?
なあ、兄弟。
【…うん】
…よし。
さあ!思い出せ!
目覚めるのはいつだって甘いキスだ。
それに似たものを、あいつは持っている。
お前が昔泣いているあの子に与えたように、今度は与えられる番、助けられる番になれ。
誰かを気遣うという事、与えるという事、それがわかりゃあ、終わるだろう。
絶望から始まったって、結末が絶望とは限らねえんだ。
さあもう一度、絶望から始めよう。




