最後の試練
(次の世界はどんなとこなんだろう?)と、考える余裕が出てきた。
前回の食事会で、少しリラックスできたからかな?
でも、次の世界は予想外で、思わず嫌そうな顔をしてしまった。
「刺だらけ・・・だね」
ヘタレが、ポツリとつぶやいた。
「どうしようか」、とは言わない。いや、どうしようもない。
だって、壁も床も刺だらけで、一歩歩けば刺に刺さる、そんな状況。必ず、傷ついてしまう。
打開策を考えて俯いていたとき、ヘタレが声をかけてきた。
「ねぇ、あれ見える?」
「ん?」
彼の指差した方向には、白い台座。その上には光る球。
その輝きは、なんだか神秘的で、優しい感じ。
そして思った。
「あれに触れれば、帰ることが出来るんじゃないかな?」
「うん、私も、同じこと考えてた」
「だよね・・・」
「・・・」
それ以上、私たちは何も言わなくなって、しばらく無言が続いた。
台座の周りには刺がない、いわゆる安全地帯だ。
でも、そこまでどうやっていけばいい?RPGゲームみたいにさ、鉄の靴とかあればいいけど、そんなものないし・・・。
グルグルと、考える。誰も傷つかない方法を。
と、その時。
「よいしょっと」
「うわっ!」
ヘタレが、私を肩車したのだ。
天井に刺はないから、肩車は安全、でも・・・。
「おろして!」
「・・・これで、いいんだよ」
私の目を見てそう言った、彼の目は、覚悟を決めた目立った。
一歩、踏み出すと、ズブリと彼の足に刺さる刺。
彼は、痛そうな声を漏らす。それでも、進む、どんどん進む。
「とまれ!」
私の声を無視して、彼は進む。進みながら、私に話しかける。
「僕は・・・君を守るため、救うためにこの世界に来た。この世界の商人っていうのは、嘘なんだ。あみぐるみに渡された、そういう設定」
どんどん、彼の足は、赤く染まっていく。
ハゲる位に髪の毛引っ張って、止めようともしたけど、流石に可愛そうだ。
「君が笑ってくれるなら、僕は喜んで傷つく、そんな人間なんだ」
「お前がいなきゃ私は笑えない!」
「なら・・・生きてくれるだけでいいよ」
「っ!」
そう微笑んだ彼の顔は、やっぱり・・・。
「あ!」
台座のとこまで来た瞬間、ぐらりと倒れる彼。
よく見れば、あの刺はだんだん大きくなっていた。彼の足はもう、ボロボロだ。
「うー・・・」
彼も気になる。でも、あの球も気になる。
「すぐ戻るから!」
そう言って、私は1人で球に触れた。その瞬間、光は私だけを包み込む。
彼に触れようとしても、もう届かなかった。
13話担当&13話サブタイトル担当楓




