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さよならマーチェンナイフ  作者: 湯島結代&水鳴倫紅
幼女編
11/28

お片づけ


 目の前には、一面の花畑。

黄色、紫、それからピンク、青、それからそれから……。

私はお花に詳しくない、だけど綺麗なのは分かる。


「平和なステージだなぁ!」

ヘタレは私と手をつないだまま言う。

「もー、分かんないって。どんな罠が仕掛けてあるか……」

そうやって話しながら、花の間をかき分けていく。


「……ん?」

目をきょとん、とさせてヘタレが下を向く。

「これは……」

私もつられて下を見ると、

それは雪の繊維でできた冷たくてふわふわな編みぐるみだった。

「メモ書きが書いてある」


メモ書きには、こう書いてあった。

『私達をおもちゃ箱に戻してね、地図はこれよ。

大丈夫、ココは春のステージ!

私達は襲わないしあったかくてふわふわよ。

あっ、包丁は使わないで。

せっかくのお花が台無しになるからね!』


そして同封してある地図。

現在地が茶色で示されており、

三体の編みぐるみと箱の位置も丁寧に書いてあった。


「どうする? 手分けして片付ける?」

ヘタレは聞く。

地図は一応二部用意してあった。

でも、私は一緒にいたいな……。

ぎゅっと、ヘタレの服の裾をつかむ。

「いっしょにいたい」

何とか、それだけ言った。


私は片手で編みぐるみを抱いて、もう片方の手はヘタレとつなぐ。

確かにあったかくてふわふわだ、安心して……ちょっぴり眠くなる。

「ぅー」

でも、頑張らないと……!

こんな平和なステージは初めてなんだから……。


たぶんそんなに遠くなかったんだと思う。

あっさり、編みぐるみは箱の中に納まった。

そして同じ場所に、二体目の編みぐるみ。


ちょっぴり眠そうな私に、ヘタレは微笑む。

「どうする? この子は僕が持とうか?」

ほんわかした微笑みに、なぜか私は苛々した。


「つまんない! つまんないよ!!

包丁も使えないし、こんなのステージでも冒険でもない!」

……困らせて見たくて、わがままを言ってしまう。

そうしたら、ヘタレは言うんだ。


「そっか、つまんないね。

……ごめん、でも僕はこうやって君と歩いてるだけで幸せなんだ」

ちょっと寂しそうに、私の頭をなでた。

じわり、涙がにじむ。

「ごめんなさい!」

謝って、手をつなぎなおした。


その後は順調に、編みぐるみの片づけは進んだのだった。


11話担当 水鳴倫紅

11話サブタイトル担当 楓

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