【プロローグ】
ここでは、作者と蓮(主人公)のトークコーナーです。
しかし、次回からですが(笑)
ここは、現代日本では無く、というか地球でもないとある異世界。
そこにある一つの城の一角で、男と女が対峙していた。
男は、色素の抜けたような白い髪に、銀色を基調としたロングコートとズボン。
そして両手に刀を持っていていた。
女は、耳が尖っていて、黒を基調としたドレスを身に纏っていた。
男は口を開き、静寂を破る。
「さあ、もう終わりにしようぜ?なあ、魔王」
魔王と呼ばれた女は、嘲りを込めた目で男を睨み返す。
「そうなると、先に終わるのはあなたよ、勇者。どう考えたって、あなたの方が満身創痍。私に勝つ可能性は無いわよ」
「どうかな?世の中には、一発逆転っていう言葉もあるんだぜ?」
勇者と呼ばれた男は地面を蹴り、魔王の方に走っていく。
「天より現れし雷の十字架よ、邪なる者に轟雷の裁きを!!」
男は魔法陣を構築し、雷を呼び出していく。
「【テンペスト・クロリィー】!!」
詠唱を終えると、魔王を雷の十字架が捕らえる。
そして魔王の頭上に、巨大な魔法陣が構築され、中央から極太の雷が十字架に向かって飛んでいき、爆発が起きた。
爆発の余波で、煙が舞う。
男は安心したのか、体の力をぬいた瞬間、煙から小さな魔力弾が幾つも飛んでくる。
「ちっ!!」
男は思わず舌打ちをし、魔力弾をかわそうとするが、1、2個当たって激痛がはしる。
そして煙がはれると、そこには魔王が手に、見たことの無い魔法陣があった。
「どうかしら?私の消滅魔力の味は」
よく見ると、さっき魔力弾が当たった場所は、神経が消滅していた。
「動かせない………!?」
「そりゃそうよ。私の魔力はすべてを消滅、破壊する。もう諦めたら?」
「そんな事………できるかよ!俺には頼れる仲間がたくさんいるんだ。朱桜、桜吹雪!」
俺が、持っていた刀に魔力を込めると、紅い武者鎧を着た人と、蒼い武者鎧を着た人が出てくる。
男は、刀から出てきた二人に、問いかける。
「お前ら、俺と共に死ぬ覚悟は出来てるか?」
紅い武者は心外そうな顔をする。
『愚問を。答えはとうの昔に出来ております』
その言葉に蒼い武者が続く。
『私たちの答えは一つ』
『主に一生ついていきます!!』
「よく言った!」
男は魔王の方に向き直る。
「これで最後の攻撃にしてやる」
「あら?傷だらけのあなたに、一体何が出来るのかしら」
男は刀に魔力を込める。
「見てからのお楽しみだ!」
男は走り出す。刀は、魔力を最大限まで溜めたのか、煌々と輝いている。
魔王は詠唱を始める。
「∑∫∠∮┌┣цФー!!!」
人間には、決して発音出来ない音。それは魔王の本気を表していた。
それを見て、男も詠唱を始める。
「神より与えられし蒼い紅蓮。天を焦がし、地を這う原初の炎」
男の二刀に魔法陣が構築され、蒼い炎が纏い、渦巻き、弾け飛ぶ。
「√╂∪яЮк!!」
「悪しき者の存在すべてを焼き散らし、魂を始まりへと導け!!」
そして、同時に叫ぶ。
「デッド・フューチャー」
「ソウル・ブレイズ!!!」
魔王の魔法陣から、何者も映さない漆黒の球体が出てくる。
男はその球体に向かって、炎が渦巻く刀をぶつける。
その瞬間、衝撃で周囲の空間が歪み、城の外壁を破壊していく。
蒼い炎は徐々に球体に吸い込まれていくが、球体もそれに耐えきれないようで、どんどん膨張していく。
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
男は最後の力を振り絞り、刀を前へと突き出す。
ついに、臨界点を超えたのか、爆散していく球体。
それにより、男と魔王は弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「どうやら引き分っ!!」
「ちげーよ。俺の勝ちだ」
爆散した余波が消え、煙が晴れた先には――――
地面に倒れた魔王と、その胸に朱桜と桜吹雪を突き刺す男の姿があった。
「あなたどうして……!?」
「あそこ見てみな」
男はある場所を指し示す。そこには、紅い武者と蒼い武者が立っていた。
男はニヤリと笑う。
「どうだ?いつ入れ替わったのか、まったくわからかっただろ?」
「………」
「どうした?俺が仲間を囮にした事が、そんなに意外か?」
「そうね、意外だわ。あなたは、もっと仲間思いだったはずたけど?」
「かなりの賭だったがな。成功して良かったぜ。………そして、お前には死んで貰う」
「いいわよ。私のしてきた事を考えれば、それが一番妥当よね」
「せめて、何の苦痛も無く、殺してやる」
「あら?あなたにも紳士の精神が宿ってたのかしら」
「ただ、悲鳴を聞くのが嫌いなだけだ」
男は、刀を引き抜き、振りかざす。
「じゃあな………、魔王」
男は刀を振り下ろし、首を落とした。
―――――これが、人々を苦しめた魔王の最期であり、それは、異世界から来た一人の勇者によって実現されるのであった。
漸く現代日本に帰ってきた鷹匠蓮は、異世界に旅立つ前はいじめられっ子だった。
しかし、異世界で鍛えた動体視力が残っていた蓮にとっては、そんな事はどうでも良かった。
そんな時、ウォークラリーが始まる。
運悪く、いじめられていた不良と同じ班になってしまい、そのせいで遭難してしまう。
その時、蓮はどうする?
次回【遭難ウォークラリー】






