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セーラー服と雪女Ⅹ 「雪女の婚前旅行」  作者: サナダムシオ


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3/10

③ イタリアの少年

「ところで京子さん、イタリア語の方はご堪能ですか?」

 ハンドルを握るサン・ジェルマンがおもむろに尋ねる。

「英語と、フランス語を大学で少し勉強しただけ。イタリヤ語はあいさつ程度ね。使いこなせないわ。」


「それでは、早速そのペンダントの次の使い道ができましたねえ。」

「どういうことかしら?」

「それは万能翻訳機の機能も持っているのですよ。とりあえず京子さん用に、あらかじめヒアリングを❝他言語から日本語❞にチューニングしてあります。そして京子さんが話す言葉は、相手の言語に翻訳されて、そのペンダントから流れる仕組みです。」


「なかなか優れものなのね。」

「私がですか?ペンダントがですか?」

「両方よ。」

 いい大人のクセに褒められたがりやである。


「京子さんに褒められると嬉しいデース。」

「何でまた急にカタコトになるのよ。」

「ああ、すいません。ついテンションが上がってしまって…。」

 この男、どこまでマジなのかしら?


「つまり、これから行く場所はイタリアのどこかなのね?」

「はい。そしてある人物と会っていただきます。」

「そんなことして大丈夫なの?ほら…あの…タイムパラドックスとかいう…。」

「大きな間違いを起こさなければ、大した影響は出ません。❝時の流れのチカラ❞は偉大なのです。」


「私、随分信用されているのね?」

「それはもう。私の目に狂いは無いはずですから。」

「…どうかしら、ね?」


 そんなことを言いあっているうちに、クルマは目的の時空に出たようだ。

 フロントガラスの外には、のどかなヨーロッパの田園が広がっていた。

 二人はドアを開けて地上に出る。

 

 ふと振り返った京子はギョッとした。

 今出て来たビートルが、二頭立ての馬車になっていたのだ。

「ああ、コレですか。立体ホログラムですよ。クルマの姿が時代に合わない場合に使用してます。よく出来ているでしょ?」

 またまたサン・ジェルマンが愉快そうに説明した。


 確かにワーゲンビートルのボディは、色々な時代にマッチする普遍性の高いデザインだ。

 とは言え、中世ヨーロッパに大きな銀色のカブトムシが現れたら、さすがにちょっとした騒ぎになるだろう。

 そんな想像をした京子は、つい、フフッと笑ってしまった。


「さあ、あそこの川辺でしゃがんでいる少年に話しかけてみて下さい。きっと楽しいですよ。」

 彼にそう言われて見ると、そこに金髪の美しい顔立ちをした、5歳ほどの幼児が居たのだった。


挿絵(By みてみん)

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