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第く話:死神のパートナー。

はい、いわゆる6.5話ですね。

普通のタイトルでも面白くないので変にしてみました。


で、今回の内容はなぜか展開速い!

台詞が多いと展開が速くなりがちということに気がついた輪音でした、まる。

朝、目が覚めるとスーツを着たままだった。

「あぁ。また、酔ってそのまま寝たのか……」

飲み会から帰ってきて、疲れてそのまま眠ってしまうことは別段珍しいことでもない。

「あれ、ここ……どこだ?」

ただ、起きたらそこが知らない場所だったのは初めてだ。

そして、隣に少女が寝ていたことも。

頭の中が白紙になる、とはこのことを言うのだろう。たぶん、今の俺は修行僧もびっくりなほど無心だ。というか、何も考えられない。

え…やっちゃった?

とか

こんな小さな子供相手に?

とか

膨大な金銭とか要求されるんだろうか……。

とか、そんなことが浮かんでは消えていく。

いや、待て。

彼女は服を着たままじゃないか。

俺だってスーツを着たま、ま、で?

彼女は、どこかの学校の制服にアレンジを加えたような、ドレスみたいな格好をしていた。

いろいろなところがめくれたりはだけたりとかしているが、俺はロリコンではないのでなにもない。

いや、そんなことはどうでもいい。

俺のスーツには、真っ赤な染みができていた。

そう、ちょうど血痕のような……。

「……あ」

思い出した。

そうか、俺は死んだのか。

俺は、ビルの屋上から落下して死んだ。

それこそばらばらにちぎれたり、いろいろ粉砕したりした。

そのときの服をそのまま着ているのだ。血まみれだったりもするだろう。

その死人がなぜ生きているか。

生き返らせてもらったのだ。この少女に。


「ん…む、あ……、ふにゅ。おはようございます、ですゎ……くぅ」

俺がおきてから30分くらい経ってからだろうか。死神の少女――トトも目を覚ました。

「おはよう、トト。ちょ、また寝るな、おい!」

彼女は仮にも神の端くれのくせに寝起きが悪い。いや、神様の寝起きがいいのかは知らないが。

少なくとも、彼女の中身やしぐさは見た目相応のようだ。

「……ちょ、と。まってください………。………! おはようございます! ですわ!」

「おう。朝ごはんできてるぞ」

彼女の食器にご飯を盛る。


昨日の夜、俺は社会的に死んだことが判明した。

彼女の能力で生き返ることができたものの、そこまではさすがにできないらしい。いや、当然か。とりあえず、それがわかってから急いで(元)俺の家に向かって、生活必需品一式を取り戻してきた。

とはいっても、全部をとってくるとばれてしまう。だから、ある程度必要なものだけをとってきた。

今、目の前にある炊飯器然り。食器然り。各種食材然りだ。

いろいろな方法でバッテリーから電気を取っているから、とりあえず食事にはありつける。

少なくとも、飢え死にするということはなくなった。


「……ソテツ。そんなに血まみれでいられると食事が食べづらいですわ」

箸を持って、味噌汁に手をつけようとしていたトトがそんなことをのたまった。

こんな台詞が出てくる一般家庭はないだろうな。

「……しょうがないだろ。忘れたんだし」


ただ、服を忘れた。

はい、俺血まみれ。替えなし。

じゃあ、血まみれのままー。

金はある。服を買おうと思えば買えるくらいの金はある。

しかし、外に出れない。こんな格好で町を出歩いたらどんなことになるか。たぶん大問題だ。

職質>ちょっと署まで来てもらおうか>取調べ>身元確認>え、死人?

みたいなことになるだろう。いや、そのあと世間がどんな反応を見せるのか見てみたいとかそんなことはない。

……夜にコンビニででも買うか。

とりあえず、俺たちは血を目に入れないように朝食をたいらげた。


「では、『第一回どきっ、女だらけの死神講座大会☆』を始めますわ」

時刻は午前10時。

社会的身分を失った俺は会社に行かない(行く必要もない)(行こうと思ってもいけない)ので、朝食を食べ終わってもだらだらうぞうぞしていた。

「女性率は50%ってとこだな。微妙に古いし。で、なに大会だって?」

「『第一回どきっ、女だらけの死神講座大会☆』ですわ」

「死神講座か。面白そうだな」

どこにも行く当てがなく、この血まみれの服のせいでどこにもいけない俺は彼女の提案を快く受け入れることにする。

少なくとも、今晩のおかずについて考えているよりは楽しいはずだ。

「ふふん。では、始めますわ」

どこから取り出したのか、彼女は着ている服の上から白衣を羽織り、メガネをかけている。

彼女の中にある先生のイメージは白衣とメガネのようだ。

「おう、始めてくれ」

俺は彼女と向かい合ってあぐらをかいた。

「本来、死神とは生と死を司るものだ。それは言いましたよね?」

「おう」

あ、生神だっけ。

ナマカミ……。いかん。また笑いが……堪えなければ。

「では、そこはもう飛ばしてもよし、と。で、死神の仕事には大まかに3つの種類があります。『送魂』『反魂』『成仏』ですわ」

なるほど。

ソーコン、ハンゴン、ジョーブツね。

「送魂が、あなたたちが思っているような死神の仕事ですわ。つまり、この世から不必要な魂を消す、と。反魂は、その逆。生死の境をさまよっている人間で、この世に必要だと判断された人間は死神によって蘇らせますの。成仏は、日本人なら知っているんじゃありませんの? この世に残ってしまっている実体を持たない魂を送る仕事ですわ。基本的にはこれらのみっつが死神の仕事ですの」

「俺を生き返らせたのは、そのハンゴンとか言うやつか?」

「いえ、その、詳しくは分かりませんが、厳密に言えば違います」

そうなのか?

まあ、所詮一般人に分かることでもないのだろう。

またいつか、俺が理解できるようになったら聞いてみよう。

「続けますわね? それで、私のやる仕事は主に成仏。魂を慰める仕事ですわ。人によってやり方は違いますが、基本的にはその魂を満足させてあげることで成仏させてあげますの」

「ちょっと待ってくれ。そういえば、死神でもなんでもない俺に何でそんなこと教えるんだ? というか教えて良いのか?」

教えてくれる分には構わないが、そのあとに「秘密を知ったものはコロス」的なことにならないかが心配になった。

「いえ、むしろ教えないといけません。あなたには、これから私のパートナーとして働いてもらうのですから、その程度の基礎知識は身につけておいてもらわないと困ります」

「……あ」

忘れていた。

俺は、彼女のパートナーとなることと引き換えに二度目の生を得ることができたのだ。

「ですから、みっちりと死神の常識について覚えてもらいます。……ちなみに、教本で言えば3、4冊分くらいの内容は覚えていただきますわ」

「うげ……そんなに……。仕方ない。やるよ、やらなきゃ始まらないんでしょ」

半ばあきらめモード。

生き返らせてもらった立場では何も言うことはできません。

「では、本気でかからせてもらいますわ。覚悟してくださいっ!」

「ちょ、今からか!?」

「思い立った日が吉日。たった今、この瞬間からでも始めないと不幸が訪れますわ!」

「おい、その言葉はそういう意味じゃな――て、おい! 縛るな!」

トトはまたもやどこから取り出したのか、ながぁい(このちいさい「あ」が重要。そのくらい長い)紐、というか縄を取り出して俺を縛り上げていく。

がんじがらめ。あっという間に俺の身体は1センチも動かせないほどに固定された。


そしてそのまま死神講座は続いていく……。

何度も後悔した。

あのまま、暇でも良いからおかずのことを考えていればよかった。

何度講義しようと、何度文句を言おうと、彼女の教える速度は変わらない。

もちろんやめるなんてあるはずもない。


結局、終わったのは翌日になってからでした。

そのあと小テスト。

こんなの、学生の頃以来だ。なんて感傷にふけっている暇もなく、間違ったところを覚えるまで続いた。

それが終わったのはさらに翌日。



死神のパートナーになる前に、死神に取り殺されそうだった。とだけ言っておこう、まる。

展開が速くならないようなコツを誰か教えてください・・・。

このままだとすぐにリニアモーターカーとか抜いちゃいます。



アクセス数が、なぜか前話を上げた日の夜中3時に急増しました。

なぜかいつもの10倍くらい。

何かあったんですかね・・・?

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