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第死話:落下。

グロ注意です。

かなーり全年齢仕様に落としてはいますが、極端に苦手という方は避けて通るが吉でしょう。

ストーリー的には飛ばして呼んでも大丈夫なようにしています。

「……決めましたわ」


トトに、自分の人生について考えるように促してから数時間たぶんそれくらい

とっくに始業時間過ぎてるよなーとか、そういえば今日会議があったなーとか考えて、一人で脳内しりとり(5文字限定)とかやって、それでも飽きてきたからオリジナルの料理を(やはり脳内で)生み出していると、ポツリと彼女が呟いた。

ちなみに料理は5品ほど考えた。最後のやつは今冷蔵庫の中にある食材だけでできるはずだ。今日帰ったらやってみよう。


「そうか、決まったか」

正直言うともうそろそろ飽きて来たとか、さっさと帰ってゆっくりしたいとか思ってることとかは秘密だ。

仮にも、彼女の人生(?)を左右する立場にいるのだ。彼女の決定を真摯に受け止めて、きちんと話し合わなければいけない。

「それで、どうするつもりなんだ?」

彼女がどんな答えを出したとしても、俺にはそれを覆す権利はない。もはや義理もない。しかし、ただ聞くだけで彼女にとってそれは決意となる。

どんな考えでも考えただけ、心の中にしまっておくだけでは意味がないのだ。

それを口に出したとき、ものに書き出したとき、そのときそれは確かに形を持って自分と向き合ってくる。それ以上のことを考えるのはそれからだ。

実行しようがしまいが、とにかく形にして向き合う。それが大切だ。


なんてたいそうなことを言ってみたが、とりあえず早く帰りたい。

ここまで俺が導いたんだ。どうせ聞かないと帰れそうにない。ならごねるよりもさっさと聞いたほうが早い。

そんな腹もあるのだが、そんなことはおくびにも出さない。それが大人になるということだ(笑)


トトは、俺の前でうつむいている。

胸の前で拳を握り締め、どこかまだ迷いがあるように感じられる。

「どうした? 迷ってるのか?」

「私……これでいいんでしょうか。これで、間違ってないんでしょうか?」

「……間違ってるかもしれないな」

彼女の肩がびくんとはねる。

「で、それがどうした」

「え!?」

びっくりしたように顔を上げた。

目を大きく見開き、信じられないといった表情をしている。

「誰でも間違うことはしょっちゅうだ。間違いもなしに生きている奴なんて死神といえどそういないだろうさ。最初は間違っててもいい。そこから少しずつ修正していけばいいんだ。まずは始めること。それが大事だ」

「……うん」

今度はうってかわって真剣な表情になる。

俺の言葉は、ちゃんと届いたのだろうか。少し心配になる。

でも、彼女の瞳には決意がこもっていた。それを見ていると、自分のしたことに間違いはなかったと思える。

「じゃあ、も一度聞くぞ? 君は、どうしたいんだ?」

「私は……」


「私は、あなたを殺します」

「……え?」

「少なくとも、死神として認められなければ私の立場がありません。まず手始めに、あなたを殺します」

背筋が急に冷たくなる。

殺す? 俺を?

「待て、おい、どういうことだ?」

彼女がまとう雰囲気が急に殺伐としたものに変わる。まるで鋭い刃物のように俺の精神を苛んでくる。

「単純な話ですわ。人を殺せば死神として認められる。あなたなら殺せる。あなただからこそ殺せる。だから。だから……私のために、殺されてください」

ちょ、目が逝ってる。

どうやら本気のようだ。というか、トランスしてる気がしないでもないが。

「大丈夫ですわ。一瞬で済みます。痛みもありません」

そういう問題でもない。死ぬのは嫌だ。いや、自分から飛び降りてしまって死んでしまうぶんには構わなかった。でも、一度こうして生きながらえているところを殺されるのは気分が悪い。

といっても、逃げ場はなかった。せいぜい手足を動かすことくらいしかできない。

「大丈夫ですわ。直接手は出しません」

そんな思考を見越してか、彼女は語る。

「というか、出せませんの。死神らしからぬことですが、直接人を殺すのには抵抗があります。ですから、直接手は出しませんわ」

「……なら、どうやって?」

「あなた、今落ちていますわね?」

「ああ。落ちてる」

「でも、地面にはたどり着かない。どういうことか分かりますか?」

落ちてるけど地面につかない? 実際にはありえない話だ。まあ、自分は現在進行形で体験しているわけだが、それがどういうことかと聞かれると……。

「やっぱり分かりませんよね? あなたが……そう、例えばあなたがホースのような管の中を進んでいるとしましょう。それの始まりがあなたの人生の始まり、終わりがあなたの人生の終わりとします。あなたが落下し、地面に衝突、そして死亡する。そこがホースの終端になるわけです。では、その終端をホースの中腹に開けた穴の中に差し込むとどうなるでしょうか?」

「え……と、そのままぐるぐる回るのか?」

円形に作られた線路の上を走る小さな電車のおもちゃを思い出してしまう。たぶん彼女が言いたいことはそういうことだ。

「そう、その繰り返される間に『落ちている』という現象が存在するのです。ですから、あなたが今落ち続けているのは、一瞬間の落下という現象を繰り返し体感しているに過ぎません」

「で、でも、普通はそんなこと……」

「死神にはできるのです」

できるわけがないと言おうとして、彼女に止められてしまう。

確かに、人外である彼女にはそんなこともできるのかもしれない。

「ですから、その円形になっている部分を元に戻してあげると……」

「そのまま俺は落下する、というわけか」

ふと、俺が地面に落ちてばらばらの肉塊が辺りに散乱する様子が頭に浮かんでしまった。

「今あなたが生きているのは私の力。なら、それを元の状態に戻してあなたが死ねば……それは私が殺したということになりませんか?」

確かに、つじつまは合っているような気がする。だからといって俺が殺される理由にはなりはしないが。

でも、どうする。そんな殺し方を彼女が選んでくる以上、俺にそれを回避する方法はない。

もちろん、というかおそらく彼女の考えを覆すのも無理だ。

地に足のついた状況ならたぶん時間をかければ説得することも可能。しかし、今この瞬間にも彼女が望めば俺はそのままら落下してしまう。

死ぬのか?

俺はこのまま死んでしまうのか?

いや、認めたくない。ここはとことんまで抗ってみせる。

まずはどうするか。彼女がすぐにでも俺を殺す可能性がある以上、まず時間を作ることが先決だ。時間さえあれば彼女を説得することもできる。

どうする? なにをすれば時間を作れる?

頭の中をさまざまなものが走り抜けては消えていく。おそらく生まれてから一番ものを考えているのはこの瞬間なのではないだろうか。

会話? 芸? 恐喝? 泣き落とし?

いや、だめだ。どれも確実性に欠ける。

視線をはしらせてヒントを探す。

ビル。電波塔。観覧車。ジェットコースター。烏。飛行機。ゴリラ。恐竜。UFO。

かなりいろいろなものが見える。

ただ、どれも参考にはならない。


最後に、目の前の少女が見えた。

少女は、少し困ったような表情をして笑っていた。

そして、俺の耳元でいくつか呟いた。

そしてそのまま――俺は落ちた。

今度は、景色が変わらないなんてことはない。

今度こそ、俺は落下していた。

さっきまで目の前にいた少女の妖しげな微笑だけが記憶に残る。

走馬灯が走る、なんていうけれど、そんなことはなかった。ただ、彼女の表情が焼きついている。


突然、頭に強い衝撃を受け、視界が暗転する。

どこかで、木の板を割るような音がした。

痛みはなかった。ただ、全身が異様に冷たく感じる。

周りから、悲鳴や動揺の声が聞こえる。

ああ、人生が終わるなんて、こんなにあっけないものだったのか・・・。

俺の意識は、そのまま深い闇の底へと沈んでいった。

四と死をかけてます。


あんまりグロくはないと思いますが、気分を悪くされた方いましたらもうしわけないです。


多分次でプロローグ終了です。

お楽しみに。

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