表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/35

第二重話:死神。死神。人間。

「ただいまーっと、お?」

いまや俺たちの寝床と化している廃マンションに戻ってくると、トトとルカがなにやら大掛かりな仕掛けを施していた。

言葉で説明するのはなんとなく難しいが……、しいて言うなら、『魔方陣』?とでも言うのだろうか。

その直径は大体20メートル。ただ、直径とはいったものの円ではない。こう……、木の枝のようなものが複雑に絡み合ったようなどうにも形容しがたい模様がえがかれている。見ようによっては触手のようにも見えるし、風とかの流れを図式化したもののようにも見える。

ひとつだけいえるのは、あまりに生々しく今にも動き出しそうということだけだ。

二人は、その中心付近にこれまたよく分からないような装置を運び込んでいる最中だ。

「もなか」ではない「さいちゅう」だ。

……じゅるり。


装置とはいったものの、これも今現代で言うようなものではなく神道とキリスト教が合わさったかのようなまあ、つまるところ見たこともないような神具が並べられているわけだ。


「あ、ソテツ。お帰りなさいですわ!」

俺を見つけたトトが走り寄ってくる。

「もう、準備はいいのか?」

「はい、もう9割方。でもあとはルカさんの仕事なので私はもう終わりましたわ」

そういって脇に置いてあったかばんの中から水筒と弁当箱を取り出した。

「最後の晩餐か?」

にやりと笑う。

「そんなことにはさせませんわ!! 私とルカさんがいるんですもの。そんなことにはなりません。させません。必ず」

俺としては冗談のつもりで言ったのだが、思ったよりも激しい反応に戸惑ってしまう。それと同時に、どこかほほえましくもあった。

「な、なに笑ってるんですの! 私は真剣ですのに」

「悪かったな、俺はもともとこういう顔なんだ。……ふふっ」

肩で笑うと、そのままルカの方に向かった。

後ろから「ちょ、ソテツ、私は本当に真剣ですのよ!?」とか、聞こえる気もするが気のせいということでほうって置く。緊張してると嫌な幻聴を聞いていけない。


「……ソテツ」

「なんだ?」

「死ぬ、覚悟はできてるか?」

何をいまさら、と笑い飛ばそうかとも思った。が、思いのほかルカの目が真剣だったから口をつぐむ。

「お前は一度は死んだ身だ。もしかしたらそのまま消えてしまうことになっても後悔なんてないのかもしれない。でも、それはお前の事情だ。わかるか?」

といっておそらく俺のはるか後方にいるであろうトトをあごで示した。

「あいつは違う。というか、死神全般にとって大切なもんなんだよ。パートナーってのは」

「パートナー、か。何回も聞くが、それって一体どういう意味があるんだ? 実際、俺はただの人間だ。トトの役に立つとも思えない。それでパートナーってのも笑わせるけどさ。実際、それなりの理由があってなるものなんだろ?」

「……あぁ、そうだな。本来はお前みたいなやつがなることはないだろ。少なくとも人間がパートナーになったってのは私が知ってる限りはこれで二人目だ」

ルカははるか遠いところを見ながら答えた。

「でも、だからといっていなくても大丈夫というわけじゃない。少なくとも、あいつ」

といってまたトトを示す。

「あいつにとって、お前は特別だ。どれだけ優秀なやつがお前の隣に並んでようと、あいつはお前を選ぶだろう」

「ふふ……、じゃあ、意地でも生き残らないとな」

ため息が出る。別に絶望したわけでもないが。

「クク……、今日が過ぎてお前が生きていたら……。もしかしたら、今までで最強のパートナーになるかもナ」

「おい? それどういう意味だ?」

「さぁな、まあ、その内分かるだろ。ほれっ」

ビニール袋を投げてよこす。

話を変えられて少しばかり複雑なもやもやが溜まるが、まあいずれ分かるというなら問題ないだろう。

袋を開けると、服が入っていた。例のごとく黒。

「それ着とけ。いわゆる正装とでも思ってたらいい」

「死装束か?」

「ケケ……、まあそんなもんだ。死神なんてみんな死んでるみたいなもんなんだからよ」

そういうと後ろ向きに手を振りながらどこかへ去っていった。

「おい、どこいくんだ?」

「これ以上の協力はできないんさ。まあ、ここからは二人でがんばれってこったな」

そういいながらも黒い影はどんどん小さく、薄くなっていく。

「ケケケケケケケケケケ。ま、明日になったら飲みにでもつれてってやるよ。じゃあな」

ケケケ、と不気味な笑い声を残しながらルカは完全に夕闇に掻き消えた。

「明日になったら……か」

タイムリミットは明日の朝。

朝日がのぼった時点でもし魂が手に入ってなかった場合、俺は消える。

厳密な計算があったわけではない。あいつらの経験と勘、ってやつだ。

それに、現に俺の身体は消えかけている。

服をめくれば、わき腹の一部がすでに透過しているのが分かる。別に痛みとかはない。

トトがいうには、どうやら存在自体が「なかったこと」になるらしい。だから、たとえ消えたとしても痛みはないし、ほとんど消えかかってたとしても身体の機能に異常は出ない。

心臓が消えたからといって血液が回らなくなるわけでもない、というわけだ。

これは二人には言っていない。

余計な心配をかけても困るし、それに俺自身認めたくない話でもある。

まあ、所詮今夜を越えれば元に戻る。こえられなければ結局はいおしまい。

なら言う必要もない。


日は落ちた。

決戦は今夜。

決別か、血別か。

明日もまた朝日が見れるのだろうか。

はぁ・・・、なんだかクオリティが下がりまくってるよ涙


誰か私のことを慰めてー。

元気ださせてー。



追記。

誤字がありました。

ご指摘ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ