第拾四話:死神と昔話。そのいち
ここは俺たちの生活する廃屋(廃マンションって言うのか?)の敷地。
いわゆる中庭とか言うやつだ。
あたりはもう真っ暗。人がいないとは言っても、かなり大きなマンションだ。街灯の光は遥か遠く、俺たちのいるところはもはや自然の光しか差し込んでこないといっても過言ではない。
で、ルカは俺たちとは少し離れたところで、何かしらの準備をしているようだ。
「おい、あいつは何をやってるんだ?」
「準備、ですわ。たぶん、説明するよりも実際に見てみたほうが早いと思います」
そういって、近くの花壇の上に座り込んだ。
俺もその横に座って、ルカの準備が終わるのを待つことにする。
「……なあ、トト?」
準備がまだしばらくかかりそうだったので、話をすることにした。
「なんでしょうか?」
さっきからずっとだんまりだったが、別に話をしたくないというわけでもないらしい。普通に返事を返してくれた。
とは言っても、べつだん話したいことがあったわけでもない。無言の空気に堪えられなくなったというか、ただ黙っているのが居たたまれなくなったというか……。
「ト、トトってさ、最初に会ったときとだいぶ印象違うよな。……最初はもっと高飛車だったというか、上から目線というかさ」
トトは返事をしない。
そして、またしばらくの無言。話題を間違えたか……と不安になりそうだった頃、ようやく口を開いた。
「……ソテツ。少し、昔話をしてもいいですか?」
「昔話? ああ、いいぞ」
しばらく考え込んだ後、
「私や、ルカさんの故郷は、今私たちがいるこの世界ではありません。普通に行こうと思っても行けるほどに近くはなく、でも目と鼻の先ほどに近くにある世界です。……そう、たとえばコインの裏と表のような関係ですわね」
彼女の紡ぐ言葉は、次々と闇に吸い込まれていく。
時折風になびく銀色が、その中で唯一輝いていた。
静かに、しかし朗々と言葉は続く。
――遥か昔、まだ人間はサルに近い生き物でした。しかし、確かにそこには知能が存在した。そして、死という概念が生まれたのです。
それと同時期、いえもっと前かもしれません。その頃からわれわれは人間やそのほかの命を奪い、管理する役割についていました。
この世界は器のようなもの。そこに入る魂は限られているのです。
必要のない魂、命を失ったにもかかわらず未だに留まり続けようとする魂。それらに対処するのがわれわれの役目でした。
と、ここまでは勉強したから分かりますわよね?――
確かに、そんなことも習った気がする。が、人間は過去のことを忘れることによって生きていく生物だから――とか言ったらまた最初からやり直しになりそうなので黙って頷く。
――そして、それを仕事にするからこそ『格差』というものが生まれてきます。さすがに貧富の差、とまでは行きませんでしたがその仕事の有能とか、その他いろいろの要素で死神の身分も分かれていきました。
私の生まれた家は、いわゆる名家のようなものでした。
ですから、死神として生きるからには結果を求められることになります。でも、その……正直、私はそこまで有能ではありませんでしたの――
トトは空を見上げる。
俺もそれに釣られて上を見た。星がきれいだった。
――それでも……私は……
トトの独白は続く。
俺はただそれに耳を傾けていることしかできなかった……。
あれ、短い。
どうしてだろう、更新しようとあせればあせるほどに進まなくなってしまいます。
いや、今回トトが急に語りだしたのも特に意味はありません。
トトが急に語りだしただけなのです。
ソテツに聞いておいてもらいたかったのだと思います。
その間ルカさんは放置です。放置プレイです。
ええ、努力しますとも。
更新ペースあげるためにがんばりますとも。