第拾壱話:死神の目的。
更新遅れました。輪音です。
言い訳はあとがきにでも。
ではどーぞ。
そして引きずられたり、引き裂かれたり(服を)、後ろ指差されたり(無邪気なお子様方に)、こそこそと噂されたり(目的地周辺の奥様方に)、紆余曲折あってついにこの工事現場までたどり着いたのでした、と。
はあ……。
ここにつくまででもう満身創痍です。できればこれ以上動きたくありません。
そんなわけでちょこまかとそこらを動き回るトトを眺めることにした。
――死神の能力:幻視――
曰く、幻を見る能力。
普通の人間には視認できないもの、もしくは位相がずれた存在を見ることができる。
その逆に、実態のない事実を意識から消すことも可能。つまり視覚的に騙されることがない。
これは先天的な能力で、程度の差こそあれ死神なら必ず有している。
こんな感じだったか。
トトから渡された分厚い本のどこかに書いてあった。
この能力で、今も俺には見えていないものが見えているんだろうか。
彼女は、作りかけの壁や柱の隙間を縫うように歩き回り、その隅々を見ていった。
見ている限りでは何かが見つかったという様子もない。
と、トトが突然、
「ソテツ。こっちに来てください」
「どうした。何かあったのか?」
ふと、彼女のほうを見る。が、いない。
「あれ、おい。どこ行ったー?」
「上ですわ。ソテツの上」
「上?」
と、半ば反射的に上を見る。
なるほど、確かにトトは俺の上にいた。
正確には、俺の真上にある作業用の足場の上だ。
「……上るのか?」
「はい。今すぐに」
正直めんどくさい。
しかし、パートナーという肩書き故、彼女に逆らうわけにも行かない。
がんがんと、あの足場特有の音を立てながら上っていく。分からない人のためにも一応説明しておこう。あの足場を歩くと、滑り台のすべる部分を上っていったときみたいな音がする。小さい頃、一度上ってみたかったのを覚えている。
と、もうひとつ。
「トト。見えてる」
「? 何か見つかったんですの?」
「いや、まあ。見つかったといえば見つかったけど……」
トトは俺の真上にいる。
で、俺はその下から彼女を見上げる形になっているわけだ。その服装は、学校の制服をアレンジしたようなもの。つまり
「パンツ。見えてるぞ」
色とか、描写するのはやめよう。別に俺にそういう趣味はない。
しかし、トトの変わりようはすごかった。
一瞬にして顔が真っ赤に染まる。あくまで赤面しただけだ。流血しているわけではない。
それからスカートを抑える。
で、口を開けて、
「きゃあああぁあぁぁぁあああぁぁぁあああぁあああぁぁああぁあああああぁああぁああ嗚呼あああぁぁぁぁぁぁああぁあぁああぁあぁあああああああああああああ」
叫んだ。
「ちょ、ばかっ!!!」
急いで階段を駆け上り、トトの口をふさぐ。
あくまでここは住宅街の真っ只中だ。
で、工事現場という密室空間に少女と二人っきりの男……。トトと会ってからというもの、なぜか俺が変質者扱いされるようなシチュエーションが増えている気がする。
「んーーーー!むーーーー!!!!」
じたばたと抵抗するトトを後ろから押さえつける。
左腕を抑えながら口をふさぎ、右手の手首をつかむ。まさに暴漢さながらなのはこのさいスルー。
「おい、誰か来たらどうする。いろいろと面倒なことになるぞ」
耳元で囁いて、やっとトトの動きは止まった。
静かになったのでその身体を開放する。
「…………」
「あー……その、なんだ」
メンチビームがすごい。
いや、子供が睨みつけているという状況には違いないが……なんというか、プレッシャーが違う。
さすが死神。とか言ってられるほど精神的に余裕もない。
普通のチンピラの気配がトラに死を恐怖させる程度だとして、彼女の気配はトラに死を覚悟させるレベルだ。
「あの……、その、トトさん?」
「なにかしら、ソテツ?」
心なしか言葉遣いも違う気がする。
「え……と、その、え?」
明らかに挙動不審な俺。
「あ、う…と、その、ごめんなさい!」
「別に構いませんわ。わたくしはゼンゼンキニシテイマセンデスワヨォ!!!」
「すいませんでしたぁ!!!」
さっきのトトの悲鳴を越えるほどの大声で謝った。
それから十数分に及ぶ交渉の末、特大プリン三個で解決することになった。
いや、しかし。俺は別に小さい子は好みじゃないから得はしてないんだよな……。
「あ、と……で、何か分かったのか?」
一応はトトの機嫌も直ったようだが、多少斜めなことに変わりはない。
「……ここは、負の気で満たされていますわ」
「というと?」
まだ恥ずかしいのか、俺と目を合わそうとはしない。
その代わりに、足場を歩き回りながら説明した。ちなみに、足場というよりは建物の三階部分だ。そこにある少し広めの足場の上で今二人で立っている。
周りが防音シートで覆われているせいか、風はほとんどない。
その防音シートのお陰(?)でさっきの悲鳴を防げたのだから防音シート様様だ。
「たぶん、ソテツが思っているのとさほど変わりないはずですわ。いわゆる、負の属性を持つ霊とか魂とか、あとは妖怪とかが集まって来やすいところですわね」
「なるほど。それは何回かみたことがあるな。時間帯によっては妖しげなものがうようよいたぞ」
小さい頃は何回か田舎に遊びに行ったもんだ。で、そういうところってなぜかそういうところが多いらしい。いつだったか、一度神隠しにあったこともある。
「でも、そういうところって、常に何かいるもんじゃないのか?」
「ええ。たいていはそうですわね。でも、ここはわけが違うんです」
わけが違う?
トトの言葉を聞いた瞬間に良くない予感がした。
さらに続ける。
「そういう場所ができるのは負の魂が集まったからだとか、風水的に悪い場所だとか、まあいろいろありますわ。で、ここにそういう類のものがいないのはまだここができたばっかりだから。つまり……わかりますわよね?」
「……つい最近、負の力の大きな魂がここに来た、か」
直接的な表現を避けたくてあいまいに答えたが、「負の力の大きな魂」とは数種類しかない。その主だったものが――
「そうですわね。たぶん、人死にですわ。少なくとも何かしらの事故は起きていると見るのが妥当でしょう」
胃の中のものがこみ上げてくる。
聞いていて気持ちのいい話ではない。
「――くそっ! なんだってあいつは俺たちをここに来させたんだ?」
あの人を見下したような嘲笑を思い出して、気分の悪さを加速させた。
「なんで、って。決まっていますわ」
「……え?」
「捕まえるんですの。その魂を」
トトの目は、真剣だった。
言い訳です。
ゲームを作ってみようと思いました。
それで、いろいろ調べてました。
申し訳ないです。
いや、だからといってこれから更新が増えるかというとそうでもないんです。
まあ、自分のペースで書いていきますよ。
で、アクセス数がもうじき1000なんですね。
や、更新も遅いし話数も少ないしで考えればそれなりにがんばっているほうかと。
コメディから検索して見つけた人には申し訳ないですが、まあこれからもよろしくお願いします。
P.S.
今気がつきました。
この作品、少しグロいですけどタグつけなくても大丈夫なんですかね……。
これくらいは問題ないんだー。ね?