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第四二話:死神と死神。

四二が八、ですね。

今回時間をかけた割にはあまり面白みが・・・。

それでも読んでくださっている方、ありがとうございます。

精進いたします。

ある日の夜のこと。

「おい、リョウジ。飲みに行こうぜ」

もうすぐで仕事も終わり、帰れるであろう時間に同期の金本が話しかけてきた。

性格は若干荒々しくさばさばしていて、自分とは正反対な性格なのにも関わらずなぜか気が合い、入社当初からよくつるんでいる。

「いや、今日はやめとくよ。」

「お、どうした? ……あぁ、そうか。今日は下の息子の誕生日だったか」

「覚えていたのか? お前にしては珍しいな」

軽く憎まれ口をたたくが、心からそう思っているわけではない。

彼は細かなことを良く覚えている。それこそ、友人本人だけじゃなくその家族の誕生日まで覚えているくらいに。

ちなみに、下の息子……とはいっても下ネタではない。今日で次男が3歳になるのだ。

「いいよなぁ、所帯持ちは。俺も帰ったら出迎えてくれる人が欲しいぜ……」

ため息なんかついているが、本人はそう思っていないはずだ。

まさに唯我独尊。世界の中心にいるのは自分だし、俺、俺、俺、な感じ。ジャイアニズムの塊のような奴だ。

というか、こいつに彼女なんかできた日にゃ彼女のほうが胃潰瘍で倒れてしまうだろう。

「何だよ。俺がこんなこと言ったらおかしいか?」

「あれ、声に出てた?」

「いや、顔に出てた。今にも噴き出しそうな顔」

……いつのまに。

学生時代はもっとポーカーフェイスができてたはずだ。精進せねば。

「……考えるってことは、本当に思ってたんだな」

「……カマかけかよ!」

ほんと、こいつにはかなわないと思う。


そうして定時を回り、いつもの努力のかいあって残業もなしに帰路に着く。

ちなみに通勤は徒歩だ。

会社は自宅から一駅と少し離れているものの、さしてつらい距離でもない。

若さは今しかないのだ。これくらいなんてことない。

15分ほど歩くと自宅のある住宅街に差し掛かった。

他の住宅街というものはどんなものなのか知らないが、この近辺はご近所のつながりが強い。

少なくとも、自宅周辺に住んでいる人たちならすでに顔見知りだ。

そして、近々新しく引っ越してくる人がいるらしい。

まだ、ほとんど建設途中ではあるが新しい家を建てている。

最近は噂話の種といえばこの家の話だそうだ。

例の家の下を差し掛かる。

今日は作業が長引いているのか、まだ数人の作業員が残って作業を続けていた。

数本の鉄柱を上からつるして持ち上げていた。ビニールシートの隙間から作業員が顔を出して、それを受け取ろうと手を伸ばしている。

どんな人が来るのだろうか。

ぼんやりとした期待を胸に抱きつつ、あと数分の帰路を急ぐことにした。

すると、突然後頭部から背中にかけて大きな衝撃を受けた。

「――っが!!!!」

そのままなんのリアクションも取れないまま地面へと倒れこむ。

泥沼に沈み込むように、意識を失った。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


その日の朝。

俺たちの住む部屋の戸をたたく音で目を覚ました。

本来この部屋には誰も住んでいない。

ということは、ばれてしまったのか?

たしかに、夜明かりをつけていた気がする。急いで周りを見回すと、トトはまだ夢の中にいるようだった。

「おい、起きろ。誰か来た」

できるだけ小さな声で呼びかける。

しかし、どれだけ呼んでもゆすっても起きる気配はない。

その間も扉は殴打され続けている。というか、たたくのが強い。

まさに殴打なわけだ。

「……っ。俺にどうしろと」

どうしろもなにもどうしようもない。

これは確実に不法占拠? 不法侵入? とかいうやつだ。

このままではお縄になってしまう。

ごまかすのも難しい。まだ少しではあるが、家具も置いている。生活観がばっちり残っているのだ。

ちょっと宿がなくてー>連行>ちょっと籍がなくてー>?

な状況になってしまう。

「おい、起きろって。おい!」

今度は少し強めに揺さぶる。

……反応なし。

そんなことをしている間に、玄関から聞こえる音はさらに大きくなってきている。

具体的には「じっ。ぎゅじゅぅいいいいいいぃぃぃいいいん。がごっ。っどん」ってな感じだ。

「おいおい……なんだよ今の音?」

恐る恐る玄関に近づく。

今の騒音でも目が覚めることはなかったのか、トトは口からは寝言が聞こえる。

「じっ。ぎゅじゅぅいいいいいいぃぃぃいいいん。がごっ。っどん」

「おい! それ寝言かよ!?」

あ、なんかチェーンソーの音を出す鳥とかいたなー。それと同じ類なんだな。うん。

気にしたら負けとかよく言ったもんだよ。

背後から響いてくる寝言(あれは寝言なんだ。そう、ただの寝言なんだ!)を意識しないように玄関を覗く。

柱の影から恐る恐る顔を出す。


「……あ、れ?」

特に何も起こっていなかった。

いつの間にか例の異音も収まっている。

そう、何もなかった。何もないと思ってしまった。

人間は、安心したときに一番心に隙ができる。得てしてそういうものだ。やっとの思いで終わらせた宿題を忘れる。トイレにたどり着いた瞬間に我慢できなくなる。そんな感じ。

まさにそのときの俺はそれと似たような状態だった。

そう、いともカンタンに安心した俺は更なる安心を求めてドアを開いてしまった。

やっぱりな。何もないじゃないか。そういう結果を期待していた。

ノブに手をかけて、開く。

その瞬間に、俺はドアに弾き飛ばされてしまう。

いきなり開いたドアが俺に激突したのだ。

「がはっ」

壁に強く打ち付けられて息が漏れる。


ドアが開いていた。

その向こうからの光で陰になっていて見えないが、黒いシルエットが確かにそこに立っていた。

「おま、え……なにも、の」

必死になって声を絞り出した、気がする。

しかし、俺の声は影には届かなかったようだ。

それはまるで俺が見えないかのように通り過ぎ、さっきまで俺が寝ていた部屋に入っていった。

やばい、あの部屋にはまだトトが。

急いで(?)回復を待つ。まだまともに動けない。

大きく深呼吸をみっつ。ようやく立ち上がることができた。

急いで部屋に飛び込む。

「――っトト!」

ざっ! と、効果音をつけるならこんな感じだろう。とてもかっこよく決まったと思う。

いや、そんなことを考えている場合ではなかった。

すぐに意識を部屋の中に向ける。


そこでは、トトと見たことのない女性が向かい合っていた。さっき侵入してきた影はこの女性だったのだろう。

「おい、お前何者だっ!」

とりあえず目の前の不安を取り除いておこうと、まずはトトからそいつを離すことにした。

こいつの開いたドアで俺が吹き飛ばされてしまったんだ。見かけによらずかなり力は強いみたいだ。そこら辺も考慮して、全速力で突っ込む。少なくとも怯ませるくらいはできるだろう。

「ソテツっ! だめですわ!!!」

考えが甘かった。

トトの警告とほぼ同時か少し早いくらい。

彼女の放った蹴りによって俺の身体は宙に浮いた。

「お前馬鹿か? 死神に勝てるとか、思うなよ?」

例のごとく壁まで吹き飛んだ俺は、これ異常ないというくらいにさげすんだ目で睨まれた。

いや、それよりも

「し……死神?」

「ん? ああ。俺は死神だ。信じられねぇか? 関係ないかぁ。どうせ今死ぬんだもんなぁ? くははっ!」

どうやら、こいつはトトと同じように死神らしい。

「じゃあ、な。生まれ変わったら会おうぜ?」

そう言って、俺に拳を振る。

たった二日。それだけでも死神について分かったことがある。死神というものは人間と比べて遥かに力が強い。

それこそ、大人の死神なら車に穴を開けることもできるくらいに。

まだ子供のトトでさえ俺の腕力を遥かに超えている。

目の前にいる彼女はどう見ても大人。

身体のあちらこちらが大人を主張している。

俺の頭なんかスイカのように割られてしまうだろう。

火事場の馬鹿力というのはこういうときに使ってもいいのだろうか。それとも防衛本能?

とにかく、そんな感じのやつで俺は紙一重、拳をよけることができた。

「ほぅ。よけるかぁ……ははっ! いつまでよけきれるかなぁ!」

しかし、安心したのもつかの間。次から次へと壁に穴が開いていく。

俺はというと、こんなところで幸運を使ってしまってもいいのだろうかというほどの勢いでその攻撃をよけ続けている。

壁は俺の身代わりに蜂の巣になって言ってる。

トトは、とりあえずこいつの興味からは外れているらしい。今のところは無事なようだ。

「トトっ! 今のうちに逃げろ!」

「……は? トト?」

どうにか避け続けていた拳の雨が突然やむ。

「なんだ、お前こいつの知り合いか?」

そいつはトトのことを指差して言う。

「……ああ? それがどうした」

いつまた攻撃が始まるかも分からない。

できるだけすぐに動き出せるように身構えた。


「あっはははははは! そうか。お前が! くはははははははは!」

突然笑い出した。どうもこいつは突然動き出すのが好きなようだ。

とりあえず、さっきから張り詰めていた空気は今は影も形もない。どうやら追撃してくる気はなさそうだ。

今のうちに彼女を観察しておく。

全体的に黒をベースとしたタイトな服装をしている。

拳にはめているグローブはどうやら鋲付き。いや、殴って壁に穴開けれる人に鋲があったところでなにが違うのか分からない。

そして、トトと同じような銀色の髪。

さっきこいつは自分のことを死神だと言っていた。死神というのは総じて銀色の髪をしているのだろうか。まあ、たくさんいるであろう内の二人を見ただけでは判断できないが……。


「……お前、トトとどういう関係だ?」

まだ笑っているそいつに問う。

いきなり襲い掛かってきたのもそうだし、ドアをぶち破ってまで侵入してきたんだ。何かしらの関係はあるに違いない。

「関係? ああ、関係ね。はいはい。俺は――」

「いいですわ、ルカさん。私が説明します」

先ほどからずっと動かないままだったトトが彼女を遮った。

「ん? おお、いいぞ。てかさ、俺腹減ってんだよね。なんかない?」

「……。ソテツ、朝食を用意してもらってもいいですか?」

「……わかった」

正直、命をとられそうになったやつに飯を作るなんて嫌な話だが、とりあえずはトトの知り合いみたいだし素直に飯を作る。

「ありがとうございますですわ。食べながらにでも説明します」


今日の朝食はなににしようか。

多分、米と味噌汁くらいはいけたはずだ。

時計を見るともう昼前。昼飯もかねて、少し多めにしてしまおうか。

これ関係ないんですが、家のトイレが詰まりました。

あの、なんかゴムの「キュボンッ」ってやるやつあるじゃないですか?

なかったんですよ、家に。


ですから買いに行きました。急遽。

で、あれだけもってレジに並ぶんですけど、とても恥ずかしい。

「あれ、こいつのとこのトイレ詰まったの?」みたいな感じですよ。

いや、恥ずかしかった。


結局解決したので良かったですけどね。



あー、うん。

前話から、大きめな塊の一つをはじめています。

本当はもっとゆっくりしたかったんですけどね。

もっとほのぼのさせたかった。

もう一人死神出てくるのももっとあとのはずだった。


まあ、しょうがないですよ。

ホントがんばっていきますんで、これからもよろしくお願いします。

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