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俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話  作者: 猫野 ジム


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第28話 どうしてこうなった

 俺が休日に一人で本屋に行くと、偶然如月(きさらぎ)と出会った。如月は結瑠璃(ゆるり)という妹と二人で来ており、俺達は一緒に本を買った。


 その後、如月の提案で三人で昼食をとることになったのだった。


 どうしてこうなった。本屋に来ただけなのに。同僚の初対面の妹と同席で食事なんて、俺にはハードルが高すぎる。


 いや、考え方を変えてみよう。かわいい女の子二人と食事する。モテ期だ。やはり俺にモテ期が到来している! 少し前に日向(ひなた)さんと如月と三人でカフェに行ったけど、またもこんな機会が訪れようとは。

 俺にとって女の子二人と食事することはモテ期です。


 それにしても今日の如月の服装は、黒のハーフパンツに白のTシャツという、シンプルながら露出多めな姿。

 トップスが一枚なので、どうしても目立つ部分がある。如月は『デカい』のだ。

 それでいてハーフパンツ。実にけしからん!


 その一方、妹の結瑠璃さんは露出の少ない涼しげなカラーのパンツスタイルで、高身長に似合ったファッションだ。かっこいい。


 妹さんの希望でファミレスへ行くことになった。席に座りそれぞれ注文を済ませる。

 俺から見て左が如月、右が妹さんという位置関係だ。


「妹さんとはよく出かけるのか?」


「そうね、毎週とまではいかなくても月に何回かは一緒に行動するかな」


「私とお姉ちゃんはメッセージのやり取りもよくするんですよ」


「そうなんですね。家でもメッセージのやり取りをするなんて、仲がいいですね」


「私は一人暮らしよ。言ったことなかった?」


「聞いたことなかったな」


 女性に一人暮らしかどうか聞くなんて、おそらく問題ありだろう。


「私、飲み物とって来ます」


 妹さんが飲み物のおかわりをするため、ドリンクバーへ行くと言って席を立った。この隙に如月に確認しておかなければいけないことがある。


「妹さんは如月が異世界帰りだということ知ってるのか?」


「言ってないわね。隠しごとするつもりじゃないんだけど、言う必要ないもの」


「了解だ。それを確認しておかないと、うっかり口を滑らせたり魔法を使ったりでバレることがあるからな」


「大丈夫よ。それは私も気をつけていることだから」


 そう言いながら、目の前のグラスにしれっと魔法で氷を入れた如月。全然気をつけてない。如月は魔法で飲み物に入れる程度の氷を作り出すことができる。


「氷くらい取りに行けよ」


「前にも言ったでしょ。私はガンガン使わないと損だと思ってるの」


「だからって今使わなくても」


「今だからよ。アンタの前だから安心して使えるの」


 俺だからいいようなものの、魔法が使われたことを察知できる日向さんには、すぐにバレるだろう。というか、俺はバレた。


 妹さんが戻って来て再び三人になる。俺には場を回すスキルは無い。脳をフル回転させて話題を探す。


「お姉ちゃんとはどんな関係なんですか?」


 妹さんから俺に質問がとんできた。どんな関係って、別にいかがわしい関係ではない。


「ただの同僚ですよ」


 俺は淡々と答えた。事実そうなんだから。


「同僚、か。まあそうなるのかな」


 如月も同僚という答えに同意した。そう言った時の表情は、どことなく寂しげに見えた。


「そうなんですか。最近お姉ちゃんからのメッセージでですね、久しぶりに再会した面白い人がいるって来まして」


 妹さんがそう言うと、如月は今飲んでいるドリンクを急いでテーブルに置こうとした。

 だけど間に合わずに、妹さんから次の言葉が発せられる。


「その面白い人って誰なんだろうと思ってたんですけど、男の人だとは意外でした。お姉ちゃんに男友達がいるなんて」


「ちょっ……! ごほっ!」


 おそらく如月は妹さんの言葉を止めようとしたのだろう。しかしドリンクを飲んでいる途中だったため、すぐには声が出せず急いで飲み込んだ結果、むせたと思われる。


「ちょっと結瑠璃! 何言ってんの!?」


「何って最近お姉ちゃんから、久しぶりに再会した面白い人がいるってメッセージが来て、それ以来その人についての話が多くなったなぁって思ったから、お気に入りなのかなってことを話したんだよ」


「さっきよりも言ってることが多いじゃないの!」


 声のボリュームを大きくして妹さんに訴える如月。お客様、大きな声を出されますと他のお客様のご迷惑になりますので、ご遠慮ください。

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