33.純粋さ
リーブル一向が消えても人波は収まる事はなく、むしろ激しさを増していた。人々は彼らが去った後でもずっと手を振り続け、歓声を上げ、今入ったのにも関わらず帰りを待ちわび始める。
「今行っちゃったの!?なんだ、もっと早く来れば良かった。」
「リーブル様ー!頑張ってー!」
「俺たちの希望だぞー!!」
そんな様子を見て、隣のラミは俺に囁いてきた。
「……ごめんなさい、タイミングが悪くて。嫌な物を見ちゃった。」
「ラミのせいじゃない。」
俺もラミも、アイツらが嫌いな事は変わりない。でもそれを言わない__言えないのは、この場の全員がリーブル一向に盲信しているからだ。本当の顔を調べることもせず、ただ功績と能力だけで勝手に信仰している。そんなので、本当にいいのか?
すると、一人の少女が俺たちの横を通り抜け、ダンジョンの目の前で叫んだ。
「リーブルの野郎!クズ!最低!生きて帰ってこられると思うなー!!」
……?
きっと、その場にいる誰もがその言葉を理解できなかった。少なくとも、ラミと俺を除いて。その子の母親らしき女性は彼女の元に駆け寄り、慌ててその子の口を塞いで周囲に頭を下げ始める。
「ちょっと何言ってるの!?ごめんなさいごめんなさい、この子ったらすぐに影響を受けてしまって……悪気はないんです、許してください……。」
その低姿勢をいいことに、さっきの言葉を理解した住民は一斉に母親を罵り始めた。
「本当ですわ!リーブル様を馬鹿にするなんて許せない!」
「どんな教育をしているんだ!」
「いくら小さい子だからって許されない!」
「そもそもリーブル様が帰ってこない訳がないでしょ!」
__キャーっ!!
悲鳴は、女の物だった。
「今の声……ルゥナ!?」
ルゥナは確か、あのメンバーの一員だったはずだ。ダンジョンの中から聞こえたって事は、もしかして何かがあったのか?
「……入ってみない?」
「俺も同じ事を言おうと思っていた。」
「やっぱり気が合うわね。行きましょう、この騒ぎに乗じて。」




