28.見知らぬ人物①
「アリナ?アリナ!どこだ!」
俺は必死に探すが、どこにも見当たらない。そしてあの仮面の人間も姿を消していた。
「__レス!」
ラミの叫び声の後、俺の頭上に氷の球が何段も出現する。
「トレード!」
俺はそれをあっという間にぬいぐるみに変える。
もこもことした食感が気持ちいい。
……って、そんなことを思ってる場合じゃない!
「どこだ!出てこい!」
返事はない。
「ねえレス、あれってもしかして……“ダンジョンマスター”なんじゃない。」
「ダンジョンマスターって、さっき話してくれたあれか!?でも、なんで……。」
「あの氷弾、強力過ぎる。」
「え?」
「気付かなかったの!?あの氷弾、S級冒険者でも出せない精度の高さと威力があった!アタシの炎じゃ消せない!」
「なんだって!?」
「レスのトレードじゃなきゃ防げない。」
俺たちは構える。
アイツはどこにいる?
彼にダンジョンマスターなら、かなり協力なはずだ。
しかもアリナだって見つからない。
すると、霧の中から人影が見えた。
「霧の中から……誰かが来る……。」
ダンジョンマスターかもしれない相手だ。ラミが着いているとは言え、彼女の協力が伝わらないのならば俺が主戦力になるしかない。
「来い!俺達が相手だ!」