27.謎の人物
ラミの後を追うようにして、俺とアリナも床を歩いて行く。
「ねえレス、その能力って本当にトレードなの?」
「……どういう事だ?」
「そのクラゲの心臓を見て思ったんだけど、これってまるで__」
ラミが何かを言いかけた瞬間だった。突然俺達の前に大きな扉が出現したのだ。
「なんだこれ……?」
扉は金属製で、高さ三メートル程ある。そして何より目を引くのは、その装飾だった。扉には何重にも重なった歯車が積み重なるようについていて、それぞれ回転したりカチカチと音を出したりしていた。そして扉自体もまるで生きているかのように開きかけている。
「何この扉……こんなの、ここにはないはずなのに!」
ラミがそう呟いてから扉を開けるのを躊躇したその時、その扉が突如として爆発を起こした!
爆風は俺達に襲いかかり、巻き起こった煙が俺達の視界を遮る。
「けほっ……一体どうなってんだ!?」
煙から逃れて前を見ると、そこには一人の人間が立っていた。
「なんだ……あれ?」
その人間は、一言では言い表すことができない姿をしていた。まず目に入ったのは顔を覆う仮面。そして服は黒いフード付きローブで、手には杖が握られていた。
「ラミ!アリナ!」
二人の安否を確認するため叫ぶが、返事はない。煙のせいでよく見えないのだ。
「くそっ!」
俺は剣を抜いて構えるが、仮面の人間は俺を無視してラミとアリナがいると思われる方へと進んで行く。
「待て!二人に手を出すな!」
俺はその人間を追って走る。しかし距離は縮まるどころか離れていくばかりだった。
「なんて速さだ……!?」
このままではまた二人が危険な目に遭ってしまう!
「トレード!」
そうして俺とそいつの位置を交換し、到着する前に二人の方へ向かう。
「レス!避けて!」
「ああ!」
「炎嵐!」
炎の竜巻が巻き起こり、煙が晴れて視界が良好になる。
しかし__
「……え……?」
そこにアリナの姿はなかった。