20.いざ冒険へ
「何でこんな事になったのかしら……。」
城から出て、ミーラの換金所へと再び赴いた俺達は、開始早々彼女の溜息を聞くことになった。
「間違いは誰にでもある事だ、姫様だけを責める訳にはいかない。」
「流石お兄ちゃん!……でも、また宝石集めかぁ。」
「ダンジョンは幾らでもある、キングオークなんかすぐに見つかるわ。でも、なるべく早く見つけないと。姫様を待たせる訳にはいかない。」
「でも、元はと言えば姫様が宝石を……。」
「アリナ。」
「……ごめんなさい。」
砕けたキングオークの宝石を撫でながら、ミーラは足を組む。
「その魔法使いちゃんの言う通り、ダンジョンはそこら中にある。キングオークみたいな強力な魔物がいるのも、スライムがわんさかいる簡単なものも。まず……その、トレードだっけ?その能力をちゃんと理解するために、弱いダンジョンから行った方が良いでしょうね。」
「でも、お兄ちゃんはあんなに強いキングオークを一人で倒せたんですよ!だったら、行かなくたって良いような……。」
「確かにそれは凄い。でも、だからと言って高レベルのダンジョンを攻略出来るとは限らないでしょ?」
「それは……そうですけど……。」
「あの姫様に良いとこ見せたい気持ちは分かるけど、まずはそこら辺の簡単なダンジョンに挑戦しなさい。」
そうして、俺達はミーラの家を出た。
空は青く、あのオークの宝石とはまるで反対な色をしている。
「こうなったら仕方ない。というか、そもそもレスと私が会った時の第一目標は“能力を知る”だったんだから、それも達成出来て一石二鳥!はい解決!」
「ラミ……。」
「良いから行くわよ!ほら、アリナも!」
「ちぇ……分かりましたよ。」
そうして、俺達の冒険は幕を開けた。