19.換金……?
そしてティーアがその宝石を取ろうとした時__
バリン!!
「きゃぁっ!?」
「えっ!?」
宝石が地面に落ちて、割れてしまったのだ!
「あっ、ああっ!申し訳ございません!私ったら何て事を……!」
散らばった宝石を拾いながら、ミーラは溜息を吐く。
「ええ、本当に。王族でなければ弁償物ね。」
その様子を見ながら、アリナはティーアに指を指す。
「本当ですよ!お兄ちゃんが折角頑張って取って来た物なのに!」
「ま、誠に申し訳ございません……。」
俺はその様子を見て、流石に言い過ぎなんじゃないかと思った。
確かに落とした事は悪いが、だからといってティーアだけに責任を押し付けるのは出来ない。もっと俺が目を配るとか、方法があったはずだ。
「待ってくれ!」
その想いが我慢できず、俺は二人の腕を掴んで静止させる。
「落とさない為の対策はいくらでもあったはずだ。ティーア姫だけに全てを押し付けるのは違うんじゃないか?」
「お兄ちゃん……。」
「……レス。」
「それに……また取ってくれば良いじゃないか!ダンジョンは沢山あるんだろ?キングオークに会った時に、また俺が【トレード】する!だからティーア姫、気にしないで下さい。」
「……レスさん……。」
ティーアは涙を流しながらも笑顔になり、俺の側に駆け寄ってくる。
「ですが、甘える訳にはいきません。レスさんを手伝わせて下さいませんか?」
「そう言う訳にはいきません。大丈夫です、俺達に任せて下さい。」
「ですが……。」
ティーアは納得いかないと言った表情を見せる。そんなティーアの肩に、ラミが手を置いた。
「ここまで言っているのだから、彼の頼みを聞いてもらえませんか?それに、我々の勝手な事情で姫を連れ出す訳にはいきません。」
「……そうですね。では、お願いしても良いですか?」
「はい、お任せください!」