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15.都会の換金所

「手紙の返事が来たぞ!」

 それから数日後、たまたま三人で集まっていた所にアンバーがやって来た。


「本当に行かなきゃいけないのか……?」

「ああ!とっとと行ってこい。地図も渡してやるから。そいつは“ミーラ”っつんだ。気分屋だからいるか分からないけどな。」


アンバーから渡された王都の地図には、ミーラと言う人の換金所に大きな赤丸が付けられていた。


「今から行ったら夕方くらいか……どうする?二人とも。」

「私は行きたい、早く換金したいし。」

「私も行った方が良いと思う!」

「それじゃ、行くか。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ゴミが散らかり、魔物の血が付き、嫌な臭いがする。ミーラさんの換金所は、そんな王都とは思えない程汚れた路地裏にあった。


「え、ほ、本当にここ……?」

「……地図にはここって……。」


 来てから数十秒経っていたが、俺たちは未だに入る事を躊躇していた。

中にいる“ミーラ”とはどんな人何だろうと気になってはいるが、どうにも入る勇気が出ない。


何より__アンバーはこんな商人と知り合いだったのか!?


「そろそろ入……る?」

「まあ、俺達が来る事は知ってるだろ……。」


 そうして、ようやく決心しその扉を開けようとしたその瞬間__


ガチャリ。


「うわっ!?」


 同時に、内側から扉が開かれた。

思わず尻餅を付き、中から出て来た人物を見上げる。


「ん……?あぁ、アンバーの紹介のコ?」


 そこに立っていたのは、めちゃくちゃエロい魔女姿の女性だった。


「もしかして、貴方がミーラ?」


 まるでこの路地裏に住んでいるとは思えない程美人な、濃い紫色の髪の魔女。見上げる限り俺より背が高そうだ。


「そう、私がミーラ。ごめんなさいねボウヤ、立てる?」


 そう言って、ミーラは俺に手を差し出してくる。

……今にも洋服の下から胸が見えそうである。


「大丈夫だ。」


 その手を取って立ち上がると、ミーラは俺の手を握り締めたまま話しかける。


「換金しに来たの?」

「ああ。この宝石を見てもらいたくてな。」


 袋にしっかりとしまっていたキングオークの宝石を出すと、ミーラはいかにも嬉しそうに舌舐めずりをする。


「確かに上物……惚れ惚れしちゃう。でも残念だけど、私今から出掛けようと思ったの。」

「どうして?」

「最近王都で魔物が多くなって来たらしくてねぇ……特にそこの赤い髪の子は知っているんじゃない?」


 ミーラから向けられた視線に対し、ラミは目を合わせようとしないまま告げる。


「そうだけど……でも、魔物はあの剣聖がやってくれるでしょ。」

「それだけじゃ人手が足りないの。私もそろそろお金が無くなってきちゃったし、手伝おうと思って。」


 ミーラは俺から手を離すのと同時に、指をくるりと回して黒色の球を指先に出現させる。


「折角だから一緒に来て?もし上手くいったら、高く買い取ってあげる。」

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