14.赤い宝石
「それにしても、これからどうしようか。」
ダンジョンから出た俺たちは、森を歩きながらそんな事を話し合っていた。
ギルドに登録出来ない、フリーな冒険者__ラミもそんな経験は無いらしく、ううんと頭を抱えている。
「ラミがパーティーから抜けた後は何をしていたんだ?」
「貯めてたお金で生活していたの。そもそも、レスと出会ったのがあそこから抜けて一週間くらいだったんだけど。」
「うーん……。」
その時、俺の手元にある赤い宝石を見てハッとした。
「とりあえず、この宝石を売りに行かないか?メチャクチャ高級なんだろ?これ。」
「確かに!流石お兄ちゃん!……でも、お兄ちゃんは街に入らない方が良いんだよね?村の換金所だってきっとよくないし……。」
「いいや、レスも行った方が良いと思う。」
「「え?」」
〜〜〜〜〜〜〜
その後俺たちは村に戻り、換金所へと赴いた。
「ああ、いらっしゃい……って、お前か。」
換金所の店主はアンバー・トロンクス。丸々と大きな腹と、キリッとした眉毛、歳のせいで薄くなった髪の毛が特徴的なおじさんだ。
一見ガラは悪そうだが、こう見えても凄く優しい。……少なくとも、俺の能力が発覚する前は。
「これを換金して欲しくて。」
眉をひそめながら、アンバーはキングオークの宝石を受け取る。すると、一瞬も経たずに大声を上げた。
「これはすげえ!!」
「……え?」
「おいレス、こんなブツどこで手に入れたんだ!こんなんどのダンジョン潜っても手に入らねえぞ!」
「ま、マジか……。」
「ああ、傷一つもないし大きい。ウチでも換金できねぇな。それにしたってこれ、王族に献上したって有り金が帰ってくるぞ!」
まさかそんなに高価な物だったとは!
俺たち三人は目を見合わせ、密かに興奮した。
「どうせだったら王様にでも見せびらかしたらどうだ?そうだ、城下町の商人と知り合いなんだ。俺が手紙を書いてやろう。そいつは王族とも親交深いんだ。」
「い、いや!ちょっと城下町は….!」
「ああ、良いからいいから。とりあえず待っとけ、後で連絡する。今日は遅いから、もう家に帰ってろ。」
「え、ええ……。」
かくして、俺達は無理矢理追い出されてしまったのだった。