1.プロローグ
*この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません。
*なろうは慣れていませんので、何かありましたら教えて頂きますと幸いです。
「レス・ニーミング。これよりギフトの確認を行います。」
16歳になった俺は、神よりギフトを与えられる儀式に足を運んでいた。
ギフトとは、一言で表せば能力。
一般的な炎、水、風を含む、様々な異能力を神より授けられる。
昨年は【聖剣】という魔族に莫大な効果を持つギフトが農村の少年に与えられたことで、大きな話題を呼んだ。
この儀式によって将来が決まると言っても過言ではない程、大事な儀式なのだ。
「……頼む……!」
祭司さんの目の前に置かれた水晶玉が金色に光る。その光が収まると、中から徐々に文字が浮かび上がってきた。
そこには__
「……トレード……?」
トレード、という文字が浮かび上がっていた。
祭司さんも困惑した様子で沈黙している。
「……神より【トレード】のギフトを授かりしました。貴方に神の祝福があらんことを。」
〜〜〜〜
「お帰りお兄ちゃん、どうだった?」
家に帰ると、妹が俺を出迎えてくれた。妹の名前はアリナ、幼い頃に両親を亡くして以降、俺がずっと面倒を見てきた大切な妹だ。
「……トレードってギフトだった。」
「トレード?ううん……ってことは、何かと何かを交換出来る能力なのかな?一回試しにやってみる?」
「そうだな、じゃあ……。」
俺は机の上に置かれたコップを手に取り、少しだけ意識を集中させる。
すると、コップが瞬く間に金の延べ棒へと変わっていった。
「わあ、凄い!これって本物の金?」
興奮する妹を他所に、俺は首を傾げる。
……金にしては、これは凄く軽い。まるでただの板だ。
「いや……アリナ、ちょっと持ってみてくれ。」
金の延べ棒を渡すと、アリナは明らかに怪訝そうな表情を見せる。
「ってえ、偽物だね……。」
やっぱり、そうか。
もう一度意識を集中させると、金の延べ棒はコップへと戻った。
「あ、で、でもさ!私は好きだよこの能力!」
「……フォローが下手すぎるぞアリナ……。」
こんな能力では、到底戦闘では役に立たない。妹を守るために、もっと戦闘に適したギフトが欲しかったのに。
「……大丈夫、アリナは俺が守るよ。」
俺がそう言って頭を撫でると、アリナは顔を赤くしながら俯いてしまった。
この能力が役に立つのはまだまだ先だろう。