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文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。

 護衛のドミニクは素早く後を追いかけ、ふらつくアドリエンヌの手を取り支えると近くにある椅子に座らせて目の前に跪き顔を覗き込んだ。


「お嬢様、大丈夫ですか? 今日は早退されますか?」


「ありがとう。少しすれば大丈夫だとは思うけれど……。でもそうね、今日は帰らせてもらうわ」


 ドミニクにそう伝えると、侍女のエミリアが素早く荷物をとりに戻っていった。


 しばらくそこで風にあたり、気持ちを落ち着かせるとアドリエンヌはドミニクに向き直った。


「ドミニク、大切な話があるの」


「なんでしょうか」


「驚かないで聞いてちょうだい。私は魔法を使えないかもしれないの」


「魔法を、ですか? それを心配されていたのですね? ですが、まだわからないではありませんか。成長とともに突然使えるようになる者もおります。今は上手に使えなくとも、お嬢様ならきっと使いこなせます」


 アドリエンヌは思わず苦笑する。


「あなたがそう思いたい気持ちもわかるけれど、これは事実なの」


 するとドミニクはしばらく考えてから言った。


「ならば、お嬢様が魔法を使えるようになるまで私がお嬢様の変わりに魔法を使って、お嬢様が魔法を使えるようにみせかけ……」


 そこでアドリエンヌはドミニクの口をふさぎ、周囲に耳をそばだてた。


「シー、今人がいる気配がしたわ」


「そうですか? 私にはなにも……」


 二人で周囲を見回すと、柱の影からスカートの裾が少しだけ見えているのに気づいた。ドミニクの顔を見ると、彼もそれに気づいたようだった。


 ドミニクはそっと立ち上がり、ゆっくり柱の反対側から回り込み、そこに立っている人物の背後をとり声をかける。


「ブロン子爵令嬢、どうかされましたか?」


 声をかけられたシャウラは明らかに焦った様子で言った。


「ごめんなさい!! 立ち聞きするつもりはありませんでしたの。ただアドリエンヌ様がとてもつらそうでしたから、心配で追いかけてきたところですわ」


 そう謝ってきたシャウラを見て、アドリエンヌは愕然とした。


 また前回と同じことを繰り返している。


 前回シャウラに魔法が使えないことがばれたのは、ドミニクに代わりに魔法を使うことを命令していた時に、うっかりシャウラに聞かれてしまったからだった。


 アドリエンヌはその時必死に誤魔化したが、シャウラはそんなアドリエンヌに対して微笑むとこう言ったのだ。


『そんなに慌てなくても大丈夫ですわ。公爵令嬢が魔法も使えないなんて、大変なことですものね。それにアドリエンヌ様は王太子殿下の婚約者、なおさら隠さなくてはいけませんわよね。これは二人だけの秘密にしましょう』


 そう言っておいて、その場で糾弾せずに、もっとも効果的にアドリエンヌにダメージを与える場で糾弾したのだ。


 アドリエンヌは隠そうとした自分が悪いことはわかっていた。だが、シャウラにまんまと騙されていたことには腹が立った。


 また同じことを言われるのだろう。そう身構えていると、案の定シャウラは優しく微笑むとこう言った。


「アドリエンヌ様は魔法を使えないのですね? でもそれは隠しておいた方が良いと思いますわ」


 まさか、隠すように言われるとは思ってもみなかったアドリエンヌは驚いて質問する。


「隠すですって?! なぜそんなことを?」


「だって、アドリエンヌ様は王太子殿下の婚約者ですもの、そんなことが世間にしられれば……ね?」


 まるで脅迫のようだと思いながら黙っていると、シャウラは良いことを思い付いたと言わんばかりに手のひらを打ってこう提案した。


「そうですわ、どうせアドリエンヌ様には護衛の方がいらっしゃるのですもの。アドリエンヌ様が魔法を使ったふりをして、護衛に魔法を使わせれば良いんですわ!」


 前回のことで懲りていたアドリエンヌは今回は学校を退学になろうが、婚約破棄されようが魔法が使えないと正直に言うつもりだった。


「お断りですわ」


「アドリエンヌ、強がらないで。黙っていてあげるから」


 シャウラはそう言うと、ドミニクにも微笑んでこちらが引き止めるのも聞かずにその場を去っていった。アドリエンヌはそれを追いかけようとするドミニクを止めた。


「ドミニク、いいわ。放って置きましょう。それより、これからのことを考えなくてはいけないから、とにかく屋敷へもどるわよ」


 そこへちょうどメイドのエミリアが戻って来て言った。


「お嬢様、馬車の準備が整いました」


 ドミニクに支えてもらいながら、馬車へ向かうとすぐに屋敷に戻った。





「お嬢様、先ほど仰っていたことですが、やはりなにもせずに魔法が使えないと決めつけるのはよくありません。少しだけでも試してから今後のことを考えましょう」


 馬車から降りるのを手伝いながら、ドミニクは心配そうにそう言うとエントランスで頭を下げて下がって行った。


「そうは言っても、(わたくし)が魔法を使えないのは事実ですもの」


 そう呟くと、エミリアが声をかけてきた。


「お嬢様、なにか?」


 そう言ってアドリエンヌの顔を覗き込むと慌てた様子で言った。


「まぁ、本当に体調が優れないのですね。顔色がとても悪いです。すぐに休みましょう」


 そう言ってエミリアはアドリエンヌを素早く部屋へ連れていき、部屋着に着替えさせるとベッドに寝かせた。


 アドリエンヌは横になると、とにかくこれからどうするかを考えた。


 大前提として今の状況が自分が見ている夢でなければ、確かに自分は過去に戻ってきたに違いなかった。


 でも、なぜ過去に?


 考えても答えは出そうになかった。その時、あの死の瞬間、突然真っ暗な空間に行きそして誰かになにかを言われたこと思い出す。


『面白い、お前それだけの魔力を持ちながら魔法を使うことができんのか。ならば、使えるようにしてやろう。私もこれでしばらく退屈しなくてすむ』


 確かにそう言われた。


 あれが誰だかわからないが、彼の言う通りならばもしかしたら自分は魔法が使えるようになっているのかもしれない。


 幸いここは自室で誰かに見られる心配もない。


 アドリエンヌはベッドから抜け出すと勇気を振り絞って、昔ニヒェル先生に教わったことを思い出しながら空から水を抽出する魔法を実践してみることにした。


 全身の気をコントロールし集中しようとした瞬間、その前に『お茶が飲みたい』そう思った。


 と、目の前にティーセットが現れた。アドリエンヌは困惑しながらティーカップの中をのぞくと美しい琥珀色の液体から湯気が上がっている。


 このティーセットは一体どこから?


 そう思っていると、エミリアが慌てて部屋へやって来て言った。


「お嬢様、申し訳ありません。お嬢様の大切なティーセットを今磨いていたら突然消えてしまっ……」


 そう言ってテーブルの上にあるティーセットに目を止める。


「お嬢様、いつの間に?!」

誤字脱字報告ありがとうございます。


※この作品フィクションであり、架空の世界のお話です。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、階級などの詳細な点について、実際の歴史とは異なることがありますのでご了承下さい。


私の作品を読んでいただいて、本当にありがとうございます。


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