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文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。
「必要ありませんわ」
アドリエンヌがそういい放つと、アレクシは鳩に豆鉄砲を食らったような顔をした。
「なんだって?」
「私がそれを王太子殿下に話す必要がないと言っていますの」
してやったり。
内心そう思いながらアドリエンヌは立ち止まっているアレクシを置いて歩き始めると言った。
「さっき一緒にいたいとか仰ってましたけれど、本当はこの話をしたかっただけなのですね。騙されるところでしたわ」
するとアレクシはアドリエンヌを追いかけ、腕をつかんで引き止めた。
「違う、アドリエンヌ聞いてくれ。このまま君を放っておけばきっと君は一人ででも危険な場所へ行ってしまうだろう? 私はそれが心配なんだ」
あまりにも強い力で腕をつかまれたので、その腕に視線を落とすとアレクシは慌ててその手を放した。
「すまない。慌てて強く握ってしまった。痛かったか?」
「いいえ……」
そう答えアレクシの顔を見上げると、その表情は本気で心配しているように見えた。
二人は立ち止まりしばらくお互いの真意を探るようにじっと見つめあった。アレクシの瞳からは絶対に聞き出すまで諦めない、そういった意志が感じられた。
アドリエンヌはため息をつくと、諦めてアレクシに相談することにした。
「わかりましたわ、お話しします。とりあえず歩きながら話しましょう」
「アドリエンヌ、ありがとう」
そう言ってほっとしたようにアレクシは微笑んだ。
アドリエンヌが先に歩き始めると、それをアレクシが追いかけ隣に並んで言った。
「それと勘違いしているようだが、先ほど一緒にいたいと言ったのは本心だ」
アドリエンヌが驚いて立ち止まり顔を見上げると、アレクシは目を逸らし咳払いをして話を続ける。
「ところで、君は先程地図を見ながら森を探索し、そして地図の一点を見つめ深刻な顔をしていた。一体なにを見つけたんだ?」
「え? あ、はい。先日の西の渓谷の物より小さいものですけれど、同じく瘴気を放つ結晶があるのを見つけたんですの。結界が張られているみたいで、漏れでている瘴気はわずかなものですから、今のところ特に害はないようですけれど」
「なるほど、それで君はそれを浄化しに行くつもりなんだね?」
「そうですわ」
そう言うと二人とも歩きだす。
「確かに、課題の時にその結晶の結界が解かれるようなことがあればただではすまない。浄化した方がいいだろう。それにしても、なぜそんなものが学園の管理下にある森にあるのか」
「そんなの、絶対に誰かが意図して置いてるに決まってますわ」
すると、アレクシは立ち止まりアドリエンヌを見つめた。
「君たちがこの前の課題でデビルドラゴンに襲われた件にもなにか関係がありそうだね」
アドリエンヌも立ち止まり振り返ってアレクシを見つめる。
「そうですわね、不可解すぎますもの」
「で、結晶のある場所は? 森のどの辺りなんだ?」
「南東の方角ですわ」
「南東か、君たちが最初に地形を使った作戦を立てていた場所じゃないか」
「偶然にも」
そう答えてアドリエンヌは苦笑した。アレクシは少し考えてから頷くと言った。
「浄化にはいつ行く?」
「本当は今日屋敷へ戻る前に行くつもりでしたの」
「よし、じゃあ行こう」
アレクシはそう言うと踵を返し学園の方向へ歩き始めた。アドリエンヌは慌ててそれを引き止める。
「殿下、お待ちください。まさか、王太子殿下も一緒に行くと仰るのですか?」
アレクシは微笑む。
「その『まさか』だが、なにか問題が?」
「危険ですわ!」
「君だってその『危険』な場所へ一人で行こうとしていたのだろう? それに私も現場を見ておきたい」
「ですが、王太子殿下になにかあったらどうするのですか」
すると、アレクシはつらそうな顔で言った。
「君こそ、君こそなにかあったらどうするつもりだったんだ?」
「でも……」
するとアレクシはアドリエンヌを真剣な眼差しで見つめた。
「これは国に関わることでもある。それならなおさら私も行くべきではないか?」
「確かにそうですけれど」
渋るアドリエンヌにアレクシは手を差し出した。
「一緒に行こう」
しばらくアレクシを見つめ返す。アレクシもこの国の王子としてこの件に関わりたいのだろう。
責務を全うしようとするアレクシの気持ちは尊重しなければと思ったアドリエンヌは、アレクシの手を取った。
学園に戻るとアドリエンヌはアレクシに質問する。
「王太子殿下はどのように森に入るつもりなのですか?」
「私は立場上、自由に出入りを許されている。この学園は国が資金を出しているからね」
そう言うと、森へ入る門ヘ向かう。門の錠にアレクシが触れると勝手に解錠された。一定の人物が触ると勝手に解錠されるようになっており、その一人にアレクシが入っているのだろう。
解錠されると、アレクシは微笑み門を開くとアドリエンヌに中へ入るよう促した。
森へ入って行くと、すぐに南東方面へ向かって歩き始める。
「出てきたモンスターは、浄化してしまってもかまわないでしょうか?」
管理されている森である。モンスターをやたら浄化するわけにはいかないと思った。
「よほど極端に減るようなことがなければ問題ないだろう」
そんなことを話しながら歩いていると、ガサガサと葉ずれの音がした。
「来るぞ」
アレクシがそう呟くと間もなく、飛びかかるようにモンスターが飛びだしてきた。アレクシは素早くアドリエンヌを背後に隠すと叫んだ。
「ジャイアントセンチピードだ! 毒を飛ばすこともあるから気を付けろ」
そう聞いてアドリエンヌは絶叫しそうになった。何故ならばそのモンスターは苦手としている昆虫系モンスターだったからだ。
叫び声にならない悲鳴をあげると、思わずアレクシのジャケットをつかんで動けなくなった。
誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品フィクションであり、架空の世界のお話です。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、階級などの詳細な点について、実際の歴史とは異なることがありますのでご了承下さい。
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