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幼馴染Vtuberがビジネスてぇてぇから恋仲に発展した話   作者: 朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます!


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8/20

8、配信外、ゲームアイテム制作計画、ナイショだよ

 その日は、配信をせずにゲームにログインしていた。

 

『フロンティアランド』の俺のキャラは、配信用と似た雰囲気で真っ白のショタにしていた。

 キャラクターイメージは大事なのだ。

 これは大学でも学んでるブランディングってやつ――、


 

   8、配信外、ゲームアイテム制作計画、ナイショだよ


「今日は配信しないの?」

 チャット欄に問いかけが見える。

「ねね、みんな。ほんとのほんとに、ナイショで頼みたいんだけど……いい?」

 近くにいるキャラにだけわかるエリアチャットで相談すれば、周りに集まるフレンド登録済みの視聴者キャラたちがぴょんぴょんしてリアクションをくれる。

 元からぴょんぴょんしてたけど。

 

 ――ネットゲームのコミュニケーションは、基本ぴょんぴょん(ジャンプ)しがちなんだ。

 わかりやすいし、簡単なのだ。


「ボク、ガクに差し入れしたいんだ……サプライズでやりたいんだよ、秘密ね、秘密」

 チャットを送信すれば、エモーションやチャットが返ってくる。

「てぇてぇきた!」

「差し入れいいね!」

「秘密……!」


 フレンドたちがアドバイスをしてくれる。


「スキルを15まで上げてケーキ作ろ!」

「材料も自分で取ると愛情たっぷり度が上がるわよ!」

「配信じゃなくて動画で作るまでを撮って、プレゼントしたあとで公開したらどう?」

 

 だいたいこの方々は、好意100%で俺と遊んでくれる。神様と言っていい――、


「ありがとう、みんな!」

 俺はモニターの前で拝みつつ、早速配信用アプリを立ち上げて配信ではなく録画を始めた。

 ボイスはなしで、スナック菓子をつまみながらのんびりと作業じみたスキル上げを始める。


 同時にガクの配信画面を開いて見てみれば、あちらは別のゲームを他の人と遊んでるようだった。

 俺はあまり社交的じゃないけれど、ガクは割と社交的で、他のVtuberや非Vtuberとのコラボも活発なのだ。

 たまにこっそり『相方は俺なんだぞー』とか、『別のひとと遊ぶほうが楽しいって思われてたら悲しいな』とか思ったりする。

 でも、楽しそうなガク自体は、好きだ。

 見てるとニコニコしてしまう――俺はガクというキャラも好きだし、零さんも好きなのだ。


「楽しそうだな」


 楽しそうな声を聞きながら、俺はニコニコした。

 誰かが楽しそうな声は、不思議とその気持ちが伝播(でんぱ)するみたいで、だから動画や生配信は好きなのだ。


 俺は、一人暮らしの寂しい夜や不安な夜、孤独を感じる時、楽しそうな動画や配信にたくさん励まされたり元気付けられた経験がある。

 だから、自分の配信もそんな風に誰かを元気付けたり励ましたりできたらいいな、と思うのだ。

 

 

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