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幼馴染Vtuberがビジネスてぇてぇから恋仲に発展した話   作者: 朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます!


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2、呼び捨てに進化して『てぇてぇ』しても、いいですか?

「ねえ、どう思うぅ?」

 

 再開した配信画面で『雪柳(ゆきやなぎ)メイ』がふにゃーっとした顔をしている。

 俺のアバターは可愛い。

 喋り方も意識して少し可愛くしている方だけれど、疲れるから声はそんなに作ってはいない。

 俺の声は元々ちょっとハイトーンなので、このキャラアバターには適してるんだ。


 性格は……ピュアとは言い難いかもだけど。

 天使みたいなキャラって難しい。

 普通が一番だと思う。

 だって、ずっと動かすキャラだもん――。



   2、呼び捨てに進化して『てぇてぇ』しても、いいですか?


「ガクさんがね、休憩中に、ストーカーとかダメだよって言ったんだ……」

 休憩中の話をすると、ファンが喜んでいる。


『二人は休憩中もべったりなんだね!』

『配信裏てぇてぇ……』


 コメントに手応えを感じつつ、俺はわざと()ねたような声で眉を寄せた。

 アバターで喋るときは、自分半分、キャラ半分――『半なり(半分なりきり)』ってやつだ。これが結構、楽しい。


「ボクは、ガクさんをずっと見ていたいなって。おんなじゲームして、何してるか近くで見たいって思っただけなのに……」

 可愛いメイのアバターが猫耳をピコンっとさせてしょんぼりすると、ファンのみんなが励ましてくれる。


 ――これでさっきの発言はフォローできたんじゃないかな?


 首尾(しゅび)に満足していると、チャットアプリのメッセージが新着を通知して、コンビてぇてぇな二人の配信は再スタートするのであった。

 


「いいか、俺が前衛するからな〜、メイくんは、俺を回復な。オーケー?」

「オーケーだよ、ガクさん。ふふ、たのもしい!」


 ――てぇてぇをしなければならない。

 

 うまくてぇてぇすると、切り抜き職人が切り抜きを作ってくれるのだ。

 ファンの絵師さんが絵を描いてSNSにタグ付きで投稿してくれたりもする。

 するとどうなるかというと、人気が出る……!

 人気が出るとどうなるかというと、視聴者数が伸びる。

 伸びるとどうなるかというと、動画配信サイトからお金がもらえる――その額が増えるっ!

 活動費用が増えると、バイトも減らしてますます活動に熱を入れられるし、配信環境も整えられるし、あと将来のために余ったお金を積み立てNISAとかしてみたり――良いことばかり!


 やっぱり、ないよりはあったほうがいい。

 ガクさんのモチベも上がるだろうし……。


「あのね、ガクさん」

 ――俺は全力でてぇてぇするぞ、ガクさん!

「ボク、ガクさんと遊べて嬉しいな……っ」


 全力でピュアボイスを心掛ければ、コメントは大変盛り上がってくれた。

 ……ガクさんは――?


「……」

「ガクさんん?」


 ちょっと反応が鈍い。

 ――あれっ、回線落ちかな……?


「か、回線落ちかなぁ? ガクさ~ん?」

 呟いたところに、ガクの声が返される。


「俺も――メイと遊べて嬉しいよ!」

 すごく、きらきらした感じの王子様ボイスだ!

 女の子がきゃあきゃあ言うやつだ! お金が取れそうな声だ……!


 あっ、『メイくん』から呼び捨てになったね。

 これは打ち合わせだともっと先のはずだったけど……、コメントをちらっと見たら、すごいお祭りになっていた。


『呼び捨て!!』

『呼び捨ててぇてぇ!』


 ――これは手応えあり!

 俺はにっこりして、その喜びを声に表した。


「ボク、呼び捨てにしてもらえて嬉しいっ! ボクも呼び捨てにしても、いい?」

「もちろん!」


 この配信のひとときは無事切り抜かれ、反響(はんきょう)はとてもよかった。

 翌日、俺たちはリアルで打ち合わせをし直すことにしたのであった。

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