表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染Vtuberがビジネスてぇてぇから恋仲に発展した話   作者: 朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

15、ダンジョン攻略、記念撮影

 さて、今日は待ちに待った『フロンティアランド』のコラボの日だ!


 配信アバターによく似たガクのゲーム内キャラクターアバターが待ち合わせした場所に来ると、俺は嬉しくなってメイのキャラクターアバターを暴れさせた。

 ガクの周りをぐるぐる走らせ、ジャンプさせ、どさくさに紛れてキャラクターにトレード申請を送る。



   15、ダンジョン攻略、記念撮影 


「メイ、元気だなー、……トレード?」

 通話の声が呟きをこぼして、ガクがトレードを受けてくれる。

 トレード画面が開いて、俺は得意満面に料理アイテム『初恋苺のショートケーキ』を『渡すアイテム』欄に置いた。


「ガクのために作ったんだ! いつもありがとう! SUKI(すき)ッ!」


 今日は、全力で好意を伝えていこうと決めていた。

 だって、てぇてぇのために作ったのだもの!

「ボク、ガクが大好き……! 受け取ってぇ、ボクの初恋!」

 大袈裟(おおげさ)に可愛らしく言いつつリアルで思わず頬を押さえてしまうのは、照れを感じたからだ。

(これは、照れる! でも、やっちゃった! うひゃぁ! コメント盛り上がってるぅ!) 


「すっ……、お、俺のために!? これ作ったの? あっ、ほんとだ。アイテムの説明欄に制作者の名前がある……あっ、俺も好きだよ……」

 びっくりしているガクの声が俺の頬をニヤニヤさせる。

(好きだって! この配信はあとで見返そう。いや、冷静に見れるかな、自信ないな……っ? 照れるなあ!!)

「あ、ありがとう……っ!? いや、これ作るの大変だったんじゃね? 俺今ガチでちょっと感動してるわ……」


 本気で喜んでいるのが伝わる声でそんな風にガクが言うのが、俺の心をふわふわ浮かれさせる。

(本気で喜んでる。これ、すごい喜んでる!)

 ――相方を喜ばせることができたのが、嬉しくてたまらないのだ。

(頑張ってよかったなぁ!!)

 俺は幸せな気分になった。

 

「へへ、作るまでのプレイは今度動画投稿するよ。こっそり頑張ってたんだ」

「このアイテムは使えないなぁ……超思い出のアイテムじゃん……こんなの、使えないわ」


 パーティ専用のインスタンスダンジョンに移動して攻略を始めつつ、コメント欄をチェックすれば、思った通りてぇてぇで盛り上がってくれていた。


 『YOU(ユウ(君たち))、ゲーム内で結婚しちゃいなよ!』

 『二人の家買ってハウジング配信見せて欲しい!』

 

(俺は相方も視聴者も喜ばせることができた! やったー! ゲーム内で結婚に、ハウジングかあ。い、いいなあ!?)

 夢も広がったし、上々の結果ではないかな?

 ダンジョン自体は途中で結構グダってしまったりもしたけれど、ラストまでなんとか攻略して二人で並んでスクリーンショットを撮れば、なんだかすごく特別な感じがした。


(二人だけの『写真』、いいな! これ、宝物にしよう!)

 こうして遊んでいると、子供の頃に戻ったみたいだ。

 ふとそんな想いが湧いて、一瞬で消えていく。


「今日はメイと遊べて楽しかったよ。また遊ぼう」

 ガクが満足した声でそう言って、チャットアプリでも同じようなメッセージとスタンプを送ってきている。


「……」

 俺はそれを見て胸がいっぱいになって、スクリーンショットをぱしゃぱしゃ撮った。


 そして、ちょっとだけ――ほんの少しだけ、欲が出てしまった。


『いっしょにゲームしてると、小学校のときを思い出すね』

 ついつい、「覚えてるよね?」ってテンションでチャットメッセージをアプリに送ってしまったのだ。

 ――覚えてないって返ってくるのかな。


 ソワソワとリアクションを待っていたら、スタンプがピロンっと返ってきた。


 ――ゆるキャラが『うんうん』だって。


 ――『うんうん』だって!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ