条件②
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「君がヴレイピンクの正体について他言しないこと、常に我々の監視下に置かれること、我々の求めに応じ、必要によってはダークスフィアとの戦闘において協力すること。この三つを約束してくれるなら、今回の件は不問としたい」
意外にも、高田司令から出された条件は、僕からすれば破格だった。
つまり、その条件さえ了承すれば、僕自身は今までと変わらない、ってことだから。
「そ、そんなん! 耕太くんも危険な目に遭うかもしれへんってことやんか!」
こよみさんは最後の条件……『ダークスフィアとの戦闘において協力する』について見過ごせなかったようで、高田司令に詰め寄る。
だけど、高田司令は先程と同じように、こよみさんを手で制した。
「桃原くん、私は上代くんと話をしているんだ。黙っていてくれ。それで……どうする?」
「一つ……いいですか?」
「何だい?」
「……こよみさんの処分はどうなるんですか?」
「ん? 私もそこまでひどい男じゃない。君がこの条件を受け入れてくれるなら、彼女も同じく不問となる」
「そうですか……」
だったら答えは決まっている。
「その条件でお願いします」
「耕太くん!? ア、アカン! アカンよ! ダークスフィアはそんな簡単な……!」
「こよみさん、僕なら大丈夫です。それに、危険な目に遭いそうな時は、ヴレイピンクが助けてくれますよね? ……って、なんだかカッコ悪いですね……」
「そ、それはもちろん! せやけど……」
「とにかく、僕はそう決めたんです。だから……」
「ハア……ホンマ、耕太くんは……」
頑なに反対したこよみさんだったけど、最後は苦笑しながら折れてくれた。
「よし、話がまとまったところで、私からもう一つ提案がある」
「まだあるんかいな!?」
こよみさんが高田司令にツッコミを入れた。
「そりゃそうだよ。今の条件をどうやって彼が守るかということもあるし、彼だって生活があるんだ、そういったことも含め、しっかり考えておかないと」
「そ、それはそうやけど……」
「こよみさん、僕なら大丈夫です。どんなことだって大したことじゃないですよ」
「……まあ、耕太くんがそう言うんやったら……」
そう言って、こよみさんは渋々引き下がってくれた。
「それで、もう一つの提案というのは?」
「いや、大したことじゃない。要は君をどうやって監視するかってことなんだけど、私に妙案があってね」
「「妙案?」」
高田司令の含みのある言葉に、僕とこよみさんが思わず聞き返した。
「うん。要はね、桃原くんに上代くんを監視してもらうことにする。もちろん、日常生活を含めて、ということになるから、そうだなあ……まあ、まずは一緒に住んでもらおうかな」
「「ハ、ハアッ!?」」
た、高田司令がとんでもない提案をしてきたぞ!?
え、い、いや、だって、こよみさんと同棲だなんていくら何でも……い、いや、僕は別に反対というわけではないし、こよみさんは優しいし、その、昨日だってこよみさんに逢いたくなって鷲の宮に行ったわけで……。
僕はチラリ、とこよみさんの様子を窺う。
すると、こよみさんは真っ赤な顔を両手で押さえながら、あんぐりと口を開けている。
ですよね……。
そして、こちらをチラリ、と見て様子を窺ってきた。
お互いの目が合う。
「そ、その……耕太くんは、え、ええの……?」
「も、もちろん! ぼ、僕はその……」
……って、何でそんな食い気味に言っちゃってるの僕!?
こ、これじゃまるで、その……ねえ?
こよみさん、引いてないかな……?
「ホ、ホンマ? ……そ、その、ウチも……ええよ?」
「え……?」
え? ほ、本当に!?
あう……その、そう言ってもらえると……その……。
「う、嬉しいです……」
「はわ!?」
「ええと……イチャイチャするのはその辺にしてもらいたいなあ……」
「わ、わああ!?」
「は、はわわ!?」
うう……面と向かって窘められると、余計に恥ずかしいなあ……。
「とりあえず、二人とも反対ではないようだし、早速明日からでも同居を始めてね」
「「あ、明日から!?」」
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次話は明日の朝、投稿予定です!
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