初めてのデート③
ご覧いただき、ありがとうございます!
「はわあ……おっきいなあ……!」
こよみさんが白雪姫城を真下から見上げる。
そのキラキラした瞳は、僕には吸い込まれそうなほど綺麗に見えた。
「さあこよみさん、眺めてるだけじゃなくて、列に並びましょう! 列もそれほど長くないようですし!」
「うん! はわあ……楽しみやなあ……」
うん、可愛い。どうしようもなく可愛い。
「そういえば、この白雪姫城のアトラクションなんですが……」
「知ってる! ガイドさんが案内してくれて、そんでガラスの棺に入れたりするんやろ!」
「へえ、よくご存じですね」
「えへへ、うん……実は、この白雪姫城に来るんが、子どもの頃からの夢、やったんや……」
「そうなんですね。でしたら、何なら今日は二回でも三回でも入りましょうよ!」
「ええ!? そ、そんなん耕太くんが楽しないやんか!」
僕がそう提案すると、こよみさんが否定の意味を込めて手をばたばたとさせた。
「あはは、何言ってるんですか。こんな可愛いこよみさんが見れるんですよ? 僕は最高に楽しいです!」
「はわわわわ!?」
「ですから、こよみさんがこれでもかって満足するまで、何回だって入りましょうよ」
すると、こよみさんの握る手が強くなった。
「うん……耕太くん、ありがとう……」
「こちらこそありがとうございます……あ、次がちょうど僕達の番みたいですよ!」
「あ、ホンマや!」
そして、いよいよ僕達の番になり、白雪姫城の中へと入る。
「はわあ……中って、実際にはこんなに広いんや……写真で見たりしたのとは全然ちゃう……」
早速こよみさんが感動に浸る。
「みなさん! 白雪姫城へようこそ!」
ガイドの人が挨拶をすると、内部の説明をしながら城の奥へと進んでいく。
その間、こよみさんはキョロキョロしては「はわあ……」と感嘆の溜息を漏らし続けた。
本当に白雪姫城が好きなんだな。
うん、やっぱりこよみさん、世界中のどんな女性と比べても、素敵で可愛いです。
その後も色々な部屋を案内され、とうとう僕達はこの城のメイン、ガラスの棺が置いてある部屋へと向かう。
緊張しているのか、こよみさんの握る手が強くなった。
そんなこよみさんに応えるかのように、僕も手を強く握り返し、こよみさんに向かって微笑んだ。
するとこよみさんは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「さあ! これが白雪姫が眠っていた、ガラスの棺です!」
部屋の中央に鎮座するガラスの棺を、ガイドさんが少し大げさに紹介した。
「はわあ……あれが……」
こよみさんはそのガラスの棺に釘付けになる。
「なお、このガラスの棺には、白雪姫と同様、王子様のキスで目覚めると幸せになるというジンクスがあったりします! この城で結婚式を挙げるとこのガラスの棺も利用いただけますのでぜひ!」
などとガイドがちゃっかりとアピールする。
だけど、そうか……。
こよみさんも白雪姫城が大のお気に入りだし、ここは……って、その前にこよみさんに告白して、付き合って、そして僕が大学を卒業してこよみさんを幸せにできるようになってから、かな。
うん、もっともっと頑張らないと……ん?
「こよみさん、僕の顔を見てどうしました?」
「は、はわわわわ!? え、ええと、べ、別に何でもあらへんよ……?」
「そ、そうですか……」
うーん……何だったんだろうか……。
そうして、ガイドさんの後に続き。
「ありがとうございましたー! またのお越しをお待ちしています!」
ガイドさんの元気な声を聞きながら、僕達は白雪姫城を出た。
「はわあ……耕太くん! メッチャ良かったね!」
「ええ、中もすごく凝っていて、本当に見ごたえがありました! どうします? もう一回入りますか?」
「あ、そ、その……とりあえず他のアトラクションも回って、それからその……もう一回来ても……ええかな……?」
こよみさんが上目遣いでもじもじしながら、そんな風にお願いしてきた。
ああもう! 今すぐお持ち帰りしたい! ……って、帰る場所一緒だった。
よく考えると、それってすごく幸せなことだよなあ。本当に大好きな人と一つ屋根の下で暮らすなんて……。
今から考えると、高田司令のあの時の提案、最高の判断です。
「分かりました! じゃあどんどん回りましょう! で、お昼ご飯を食べたら、またこの白雪姫城に来ましょう!」
「う、うん!」
そして僕達は、デスティニーワールド内のアトラクションを回って行った。
◇
「はわあああ……美味しそう……!」
お昼の時間になり、僕達はデスティニーワールドに併設されているピクニック広場で、お弁当を広げている。
よし! こよみさんのお弁当への印象は上々だ!
「こよみさん、どうぞ」
「あ、ありがとう!」
僕はこよみさんにお箸を渡すと。
「「いただきます!」」
さあ、食べよう。
「はわああ……やっぱりお弁当には卵焼きが定番やんな! まずはこれから!」
そう宣言したこよみさんは、おにぎり片手にだし巻き卵に箸を伸ばす。
「はむ……ん……」
こよみさんがその可愛くて小さな口でだし巻き卵を咀嚼する。
「はわあ……やっぱり耕太くんのだし巻き卵は世界一や……どうしよう、いくらでも食べてしまうわあ……」
「あはは、たくさん作ってきましたから、どんどん食べてください! 他にも……」
そう言って僕は、今度はピーマンの肉詰めが入ったお弁当をこよみさんの前にずい、と持っていく。
「これも美味しそう! どれどれ……はわあああ! メッチャ美味しい! このケチャップソースがサイコーや!」
そう言って、こよみさんは次々とお弁当を頬張る。
はあ……こよみさんはやっぱり美味しそうに食べる時の、その笑顔が最高だなあ。
これからもずっと、こよみさんのためにご飯を作ってあげたい。
そのためにも今日の告白、絶対に成功させないと!
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は本日夜投稿予定です!
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