ドキッ!欲望だらけの大乱闘!
GOMさんの作品とのコラボ企画!
「戦隊ヒロインのこよみさん」×「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」
第3話です!
「ふう……」
皆さんの元へと戻って行く武士さん達の背中を眺めながら、僕は溜息を吐いた。
そして、隣の三人をチラリ、と見やると。
「よっしゃあ! 腕がなるで!」
「あらあ? ひょっとしてピンク、私に勝つつもりなの?」
「ふむ……二人とも、残念だったな」
「なんやて!」
「なによ!」
お互い睨み合いながら牽制する三人。
こ、これは面倒なことに……。
「ウーン……やっぱり、料理が得意な彼女一択だよなあ」
などと暢気なことを言う青乃司令……本気であの三人と闘う気ですか?
そして、僕はさっきから武士さん達以外の、あの壁の隅にいる四人組が気になって仕方がない。
あの格好……ひょっとして!?
「み、皆さん……アレを見てください……」
「ん? 耕太くんどないしたん?」
僕は四人組を指差す。
「あ! あれ!」
「オイオイ本当かよ……」
うん、あの姿……どう見ても変身ヒーロー(ヒロイン)だよね……。
「まさか僕達以外に、あんな存在がいるだなんて……」
「ね、ねえブルー、アンタ知らなかったの?」
「知るかよ!? つか、日本政府に俺達以外の戦隊がいるか!」
とすると、あの人達は一体……。
「フフフ……ワシが異世界から連れてきた、対異界災害対策局、通称テルミナスとかいう連中じゃ!」
後ろから現れたチエさんが腰に手を当てながら、これでもかというほどのドヤ顔で説明してくれた。
なんでも、僕達の世界とは別の平行世界にいる方達で、僕達ヴレイファイブと同じように、平和のために怪人と闘っているんだとか。
「……これは強敵、のようね……」
「ああ……だが、私は負けん! 上代くんと朝も昼も、そして夜も! 永遠の師弟関係を結ぶためにも、絶対に負けるわけにはいかんのだ!!!」
飯綱先生が闘技場全体に響くほどの大声で叫ぶ。
そして、それを間近で聞かされている僕の身にもなって欲しい。
なんと言うか、その、恥ずかしいやら、申し訳ないやら……というか先生、そんなこと考えてたんですか!?
「シルバー……あなたの決意、しかと受け取ったわ……だけど! 私だって上代くんを譲る訳にはいかないの!」
ちょ!? 先輩待ってください!?
僕はこよみさんだけなんですからね!?
「ハア……ホンマ、二人とも可哀想やなあ……」
そして、そんな二人を憐れむかのような視線で見つめるこよみさん。
こ、これ以上煽ったりするのは……!
「フン、そんな態度は今だけよ!」
「そうだな……勝つのは私だ!」
「望むところや! “ブリューナク”の錆にしたるわ!」
あああああ……コレ、どうなるんだろう……!?
◇
「それでは、『第一回 異世界! スマッシュバトルシスターズ!』を開催するのじゃ!」
チエさんの宣言の元、開会式が始まった。
でも、大会名はもう少しどうにかならなかったのかなあ……大体、僕や武士さんは男なんですけど。
「既に知っている者もおるが、もう一度大会ルールを説明するのじゃ!」
ということで、チエさんがルールについて説明してくれた。
まず、バトルの会場はここ、闘技場の中央にある台座がバトルフィールドとなっている。
勝利条件だけど、中央の台座より下の地面に落ちるか、それぞれに設定されているバトルポイント(以下「BP」という)がゼロになると負け。
ただし、闘技場の壁については、地面とはみなされない。
なお、種族や戦闘力にばらつきがあるので、基本的な能力(攻撃力や防御力)は全員均一化されている。
さらに、攻撃を受けてもBPは減るものの、実際に痛みを感じたり怪我をしたりすることはないという安全仕様、とのことだ。
「そして、みんなお待ちかねの賞品については、宣言通りこのワシが“どんな願いでも一つだけ叶える”のじゃああああああ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
チエさんのその一言で、闘技場内が歓声で揺れた。
う、うわあ……コレ、勝っても負けても、絶対にただじゃ済まないと思うんだけどなあ……。
「フフフ……これで此方とタケは結婚して、幸せになるのじゃ!」
「はわあ……耕太くんと白雪姫城で結婚式……(ジュル)」
「おにいちゃんとわたしは結ばれるの! がんばるの!」
「あらぁ、これで私の年齢を一千歳ほど若返って……負けませんわ!」
「上代くんと……上代くんと……むむむむむ! やるぞ! やってやるぞ!」
僕以外の参加者から、思い思いに気合を入れる。
その中には、もちろん武士さんと……あ、青いスーツの変身ヒーローの方も小さくガッツポーズした。
「では行くのじゃ! ……試合開始なのじゃ!」
チエさんの開始の合図とともに、総勢十四名のファイター? 達がまさに泥沼の闘いを始めた。
「さてさて、それじゃあここで出場選手の紹介なのじゃ!」
僕が闘いの様子に見入っている隙に、いつの間にか実況席のようなものが設けられ、そこにチエさんが鎮座しながら、闘っている皆さんの紹介を始めた。
「まずは、ポータム治安維持警察隊異界技術捜査室が誇る、のじゃロリな甘えん坊、“リリーヤ・ザハーロヴナ・ペトロフスカヤ”じゃ!」
「この闘い、此方が勝利するのじゃ!」
チエさんに紹介されたリーヤさんが魔法でヴィエッコさんを牽制しながら、なぜか渋谷の女子高生みたいにポーズを決めた。ど、どこで覚えたんだろう……。
「続いては、関西弁の突貫ヒロイン、ご存知勇者戦隊ヴレイファイブのヴレイピンク、“桃原こよみ”じゃ!」
「耕太く————————ん! ウチ、がんばるさかい!」
そう言って、こよみさんが“アイギスシールド”でギーゼラさんの蹴りを防ぎながら、ブンブンと“ブリューナク”を振る。前! 前見てください!
「次は……おっと、こちらは初お目見え! 対異界災害対策局“テルミナス”所属のお兄ちゃん大好きな夢見る女子中学生、バルキリーの“秋月芽衣”なのじゃ!」
「全員やっつけて、おにーちゃんとあまあまするの!」
僕達と同じような恰好をした女の子が槍を振り回し、紫村先輩のヴレイウィップを切刻みながら叫ぶ。お兄ちゃん?
「異界技術捜査室の室長にして、年齢コミコミでみんなのお母さん! “エレンウェ・ルーシエン”なのじゃ!」
「……チエさん、後で話をしましょうねぇ?」
「ヒイイ」
飯綱先生と目に見えない程の速さで剣戟を交わしながら、チエさんを絶対零度の視線で睨みつけるエレンウェさん……ヒイイ。
「き、気を取り直して……対異界災害対策局におけるメイのお守り役! そして、最近影が薄いんじゃないかと嘆いている苦労人! ベルセルク、“神納木昭”!」
「これで……これで俺の出番がもう少し増えれば……!」
ブツブツと呟きながらシームルグ号から射出される弾幕をかいくぐる、芽衣さん? と同じ格好の高校生くらいの男の子。不遇なのかな?
それより。
「ちょ、ちょっとチエさん!? あんなのアリなんですか!?」
僕はシームルグ号を指差しながら、大声で叫んだ。
「アリなのじゃ! アレも含めてフォルの実力なのじゃ!」
ア、アリなんですね……。
か、考えないようにしようっと。
「次なのじゃ! 勇者戦隊ヴレイファイブ一のマッドサイエンティスト! 人の迷惑を顧みない女! それがヴレイバイオレット、“紫村由宇”じゃ!」
「ちょっとお! 私はこう見えて謙虚なの!」
芽衣さんの槍を“トゥエルブ・ウィッチ”で防ぎながら、猛烈に抗議する先輩。でも、僕はチエさんの言葉に完全同意します。
「次! 異界技術捜査室のロリきょぬー! 精霊使いのドワーフっ娘! “ギーゼラ・ギンスター”じゃ!」
「アタイの紹介雑じゃない!?」
芽衣さんと同じ格好をした、太刀を持った女性の太刀筋を躱しながらもすかさず蹴りを放つギーゼラさん。ああ……でも、胸の大きさは先輩や飯綱先生に匹敵するかも……って、こよみさんが睨んでる!?
「次は……次回に持ち越しなのじゃ!」
「次回って!?」
「尺の都合があるのじゃ!」
チ、チエさん……本当に何でもあり、だなあ……。
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は19時を予定!
なお、異世界CSIの武士視点の番外編は下記からお読みいただけます!
物語本編と一緒にどうぞ!
「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」
https://ncode.syosetu.com/n0208gj/




