第四話 満天の星の下で
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コラボ作品のラスト、第四話です!
「まずはいくのじゃ! 全てのモノよ凍てつき、氷の棺に覆われるがよい! 永久凍結地獄!!」
掛け声の後、リーヤさんがカニの怪人に向けて、どうやら氷の魔法を放ったようだ。
「この程度……。うぬ、レーザーのチャージがぁ!」
他の怪人達が魔法によって氷の棺に包まれる中、カニの怪人だけはそのレーザー光線のエネルギーを使って防いだが、それによってレーザーの射出ができなくなる。
「次、コウタ君! いくよ!」
「分かりました! モモ! ナパームいけるか!」
『フ、任セロ!』
そう言うと、モモのカウルからナパームミサイルが発射され、全弾カニの怪人に命中した。
「もういっちょ!」
今度は武士さんがカニの怪人に向けて射撃すると、弾丸はカニの怪人の装甲に突き刺さった。
「ぐぅえ!」
「おまけじゃ!」
武士さんの弾丸によって悲鳴を上げるカニの怪人に対し、追い打ちをかけるように魔神の女の子は漆黒の小さな球体をカニの怪人にぶつけた。
「ぎぇぇ!」
カニの怪人が業火に焼かれる。
だが。
「ぐぬぅ。ワシはこの程度では死なんぞぉ」
呻き声を上げながらも、なおも強がりを言うカニの怪人。
とはいえ、その全身は煙を上げている。
……あと一押し。
「じゃあ、わたくしの剣を受けて!」
エレンウェさんがカニの怪人の左手側に回り込むと、高速の突きをまるでショットガンのようにその巨大なハサミに叩き込んだ。
「ワシのハサミがこのくらいでぇ、……ぐ、ぐがかあ!」
——バキン。
それは、カニの怪人のハサミが砕け散る音だった。
「拙者も」
「アタイも!」
武士さんの仲間の二人が攻撃を仕掛けると、カニの怪人の脚が破壊される。
「ぎェェ! どうしてワシの粘液と装甲がぁ」
叫ぶカニの怪人。
そんな隙を、僕の奥さんが見逃すはずもなくて。
「食らええええええええ!」
こよみさんは“ブリューナク”を構えて弾丸のように飛び出すと——カニの怪人の右肩から吹き飛ばした。
「ぎぃやぁぁ!」
「チッ! 浅かった!」
そう叫ぶこよみさん。
だけど。
「トドメなのじゃ。今度こそ凍りつけ! 永久凍結地獄!!」
とうとうカニの怪人は、リーヤさんの魔法によって氷の棺に閉じ込められた。
「よしなのじゃ! これにてワシら、ファンタジーエイトの完全勝利なのじゃぁ!」
「おー!」
はあ……とりあえずこれで終わり、かな?
僕はこよみさんをチラリ、と見ると……変身を解いたこよみさんが、僕に最高の笑顔を見せてくれた。
◇
「コウタ君、DS細胞って結局細胞自体よりもガン化させずにあそこまでの能力を持たせるノウハウの方が大事だよね」
「そうなんですけど……武士さん、よくご存じですね。生物工学はかなりマニアックなので、専門であければその原理は理解できないんですけど……DS細胞はES細胞と同じくレトロウイルスによってテロメラーゼのリセット・活性化をしますが、それはガン化とは紙一重。更に無秩序に分裂や侵食しては大変ですからね」
僕達は軽く食事を済ませた後、武士さんが運転する車に乗りながら、今は武士さんとDS細胞の考察について議論を躱しているんだけど……武士さんってとんでもなく優秀なんじゃ!?
コレ、うちの本町先生が知ったら、すぐに引き入れようとするんじゃないかな?
「タケや、それにコウタ殿。此方らを放置して男同士で訳の分からん話をしては困るのじゃ」
「ホ、ホンマや! ……そ、その……ウチ等、新婚旅行、なんやで……?」
そう言ってモジモジするこよみさん……うん、最高です。
「あ、ごめんなさい。つい、話し込んでしまいました。もうじき、目的の場所に到着します」
「そういえば、タケや。カニ道楽怪人を最後倒せたのはどういう事なのじゃ? アヤツ、刃物も銃器も効かなんだぞ。此方の雷撃も弾かれておったのじゃ」
武士さんがそう言うと、リーヤさんが助手席から武士さんを覗き込んだ
「あれはですね。温度変化と蒸発でしょうか? コウタ君は分かりますよね」
「あ、それでモモにナパームを撃たせたんですね」
つまり、急激な温度変化によって装甲を脆くしつつ、粘液を全て蒸発させて破壊した、ってことですよね?
「なるほどなのじゃ。流石は此方の婚約者なのじゃ!」
「でも、これは皆さんの協力があってこその勝利ですよ。あ、着きましたよ。お嬢様方、足元にお気をつけてくださいませ」
おっと、どうやら目的の場所に着いたみたいだ。
「こよみさん」
僕はこよみさんにス、と手を差し出す。
「あ、耕太くん……うん、えへへ……」
こよみさんははにかみながら僕の手を取ると、ゆっくりと車から降りた。
そして、武士さんの案内で監視台へと向かう。
「では、車のライトを消しますね」
そして、ヘッドライトが消えて周囲は夜の闇に包まれると。
「うわあ! こよみさん! 上!」
「へ? はわあああ……めっちゃ綺麗! まるで星が降って来るみたいや!」
僕達の頭上には、満天の星空が降り注いでいた。
「ここポータムがある惑星は、地球とは銀河のちょうど反対側。地球よりも少しだけ銀河系中心部に近いんです。だから、銀河、天の川が地球よりも凄く見えるんですよ」
武士さんが何かを言っているようだけど、僕とこよみさんは星に夢中でそれどころじゃなかった。
それより……僕はこの素晴らしい光景を大好きなこよみさんと共有したくて、そっとこよみさんを抱き寄せた。
すると。
「耕太くん……ウチ、耕太くんと一緒になれて、その……幸せ、やで?」
「僕のほうこそ、ですよ……?」
そう言うと、僕はそっとこよみさんに顔を近づけ、そして。
「あ……ん……ちゅ……」
僕は、こよみさんのその可愛らしい唇に口づけをした。
◇
「なあなあ耕太くん! ポータムから手紙が届いたで!」
玄関のポストに入っていた手紙を持って、こよみさんが駆け寄って来る。
その手紙を受け取ると……あ、武士さんからだ。
僕は手紙の封を切り、中身を取り出すと……。
「こ、これ……!?」
「は、はわわわわわわわわ!?」
それは、僕達と武士さん達が星空の下でキスをする写真だった。
そして……武士さんから『ごめん!』と大きく書かれた手紙が一通入っていた。
お読みいただき、ありがとうございました!
今回のGOM様の「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」とのコラボ、いかがだったでしょうか!
おかげで普段とは違うこよみさんを書くことができ、作者本人が楽しんでしまいましたw
GOM様には、全体シナリオをはじめ、色々とありがとうございました!
また機会がございましたら、ぜひお願いいたします!
そんなGOM様の作品はこちら!
僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜
https://ncode.syosetu.com/n3313gb/
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!




