第二話 異世界戦隊誕生!
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コラボ作品の第二話です!
「そういう事だったのね。一応は理解したわ。でもね、他の皆に何も言わないで話し込んでいたら、サボっているのも同じよ。ちゃんと「ほうれんそう」は社会人ならしなさい。分かりましたか、タケ、リーヤ!」
「はい、申し訳ありませんでした」
「ごめんなのじゃぁ」
武士さんとリーヤさんが耳の長い綺麗な女性に絞られている。
え、ええと……これ、僕達のせい、だよね……。
「そ、その! すいません! 僕達が武士さん達と話し込んでしまったせいで……」
「ウ、ウチもすんません……」
僕とこよみさんは、女性に深々と頭を下げると。
「貴方方は別に謝らなくて良いんですよ。せっかくポータムへ観光に来られたのですから、十分楽しんでください」
女性はニコリ、柔らかい笑みを浮かべた。
それは、まるで子どもを慈しむ母親のような表情だった。
「本当にすいませんでした……そ、その、間違っていたら恐縮ですが、お姉さんはエルフ、ですよね?」
「あらぁ。お姉さんだなんて嬉しいわぁ。わたくし、これでも捜査室長ですし、子持ちですし、150歳越えているのにぃ」
すると、この綺麗な女性は両手で頬を押さえながら嬉しそうに身体をくねくねさせた。
あ、あはは……どうやら結果オーライ、ってところかな。
「へー、このお姉さんも年齢不詳なんやなあ……」
「これで此方が100歳越えなのも理解したのかや?」
うん、こよみさん、絶対に余計なことは言わないでくださいね?
「えっと、マム。そろそろ落ち着いてください」
「あら、ごめんなさい。若い子におねーさんだなんて、久しぶりに言われたので嬉しかったの。わたくし、エレンウェ・ルーシエンと申します。タケやリーヤと仲良くしてくれて、ありがとう」
武士さんが窘めると、綺麗な女性……エレンウェさんが微笑みながら自己紹介をしてくれた。
だけど……うわあ、本当に綺麗な女性だなあ……
「か、上代耕太と申します」
思わず僕は照れてしまい、声が上ずってしまった。
すると。
「こ・う・た・くん? 耕太くんは誰の夫、なんかなあ?」
あ……こよみさんが眉毛をヒクヒクさせながら僕の顔を……って!?
「あ、こ、こよみさん!? ち、違いますから!」
僕は必死で頬を膨らませるこよみさんを説得を……って、こうやって嫉妬して怒るこよみさんも可愛いなあ……。
「コヨミ殿、許してやるのじゃ。男が美人に見惚れるのはしょうがないのじゃ! まあ、タケは此方以外に余所見はせぬがな」
えーと……リーヤさん、ソレってなんの助け船にもなってないです……というか、惚気ですよね?
「まあまあ、そのくらいにしてあげてね。そうだ、タケ、リーヤ。貴方達、明日お2人を案内してあげなさい。これは、命令よ」
エレンウェさんがウインクをしながら予想外の提案をした。
え? でも、武士さんも仕事が……。
「えー!!」
あ、ホラ……ま、なあいいか……。
◇
「今日はすいません……なんだか、お二人にご無理をさせてしまって……」
僕は武士さん達に申し訳なく思い、二人に頭を下げる。
「いえいえ、僕も前回お世話に成った借りを返したいですし、ポータムを存分に楽しんで欲しいですから」
「そうなのじゃ。せっかくこっちに来たのじゃから、此方が案内せずにどうするのじゃ!」
そう言ってもらえると、僕も助かるけど……やっぱり、申し訳ないなあ。
「ウチは耕太くんと一緒やったら、その……どこでも幸せやさかい……って、あ、あれはナンや!?」
こよみさんが僕の服をつまみながら、そんな嬉しいことを言ってくれたその時、目の前の猫の姿をした女性……多分、獣人族、なのかな。それを見て驚きの声を上げた。
「アレは、旅芸人のパフォーマンスじゃな。身のこなしの軽い獣人族がようやっておるのじゃ!」
すると、リーヤさんが指差しながら説明してくれた。
その表情は、なぜかドヤ顔だったけど。
その時……武士さんがリーヤさんの手を握る。
「あはは、タケシさんもさりげなくリーヤちゃんの手を握るなんて、なかなかどうして」
「ま、まあねぇ。そうだ、お2人とも案内したいところがあるんです。こちらへどうぞ」
僕はニヤリ、と口の端を持ち上げると、武士さんはなぜかあいまいな返事をし、どこかへと案内をする。
「コヨミ殿もコウタ殿の手を握って一緒に来るのじゃ!」
リーヤさんもそんなことを言うので。
「あ……えへへ……」
僕はこよみさんの手を握り、武士さん達に案内されるまま、二人の後をついて行った。
◇
「さあ、そろそろ隠れる場所も無くなりますし、とっくの昔に尾行しているはバレています。出てきてはくれませんか?」
武士さんがおもむろにクルリ、と後ろを振り返る。
道すがら、武士さん達から僕達がダークスフィアの残党に尾行されていることを告げられ、人気もなく被害が出ない場所……郊外の採石場におびき寄せることにしたんだけど……。
「性懲りもない悪者達なのじゃ! はよう顔を表すのじゃ!」
「もおおおお! 何やねん! せっかく耕太くんと新婚旅行を楽しんどるっちゅうのに、どこまでウチ達の邪魔をしたら気が済むねん!」
ドヤ顔のリーヤさんと、いつも以上にキレるこよみさんを見て。
「ええと……僕も言い返したほうがいいのかなあ……」
乗り遅れた僕は、思わず苦笑しながら三人を眺めていた。
「どうして尾行がバレタのだぁ!」
ヌッ、と現れたダークスフィアの残党達が、そんなことをのたまうけれど。
「そんなの、大人数で動いたらバレますって」
ですよねえ……。
「何! あ、そうだったぁ!」
ええと……コイツ等、頭悪いのかなあ……。
すると、貧相な男の一人がフードを取って後ろの“怪人”を見やると。
「し、しかし! この人数をお前たちはどう相手するのか? その小娘もヴレイウォッチが無ければ戦えまいて! さあ、お前達はこの神埼の贄となり、新たなる神の素材となるのだ!」
神埼と名乗る男が、高らかに宣言する。
その時。
「待てぃ!」
突然、採石場に可愛らしい女の子の声が響いた……って、何でこんなところに!?
「誰だ! 何処にいる!」
神埼という男が驚きの声を上げ、キョロキョロと辺りを見回す。
「あー、今度はそう来たのじゃな。チエ殿、カッコいいのじゃ!」
……どうやらこの可愛らしい声の主は、“チエ”という名の女の子のようだ。
「笑止! 世の中に悪が栄えた事はない。私利私欲で命を弄び悪を成す。人、それを『外道』と呼ぶ。ワシの目が黒い内は、平和は壊させないのじゃ!」
妙な名乗りとギターとトランペットが音楽を奏でる……んだけど……え、えーと……コレってどういう状況!?
僕は思わずこよみさんを見ると……あ、やっぱりこよみさんもついて行けてない。ですよね。
「オマエは誰だ!」
うん、僕達も誰なのか知りたい。
「キサマ達に名乗る名前などない! あー、これ一度やってみたかったのじゃぁ!」
あ、結局教えてくれないんですね。
で、武士さん達が特に驚いた様子もないので、どうやらお知り合いだった!?
「今回、呼んでくれてありがとうなのじゃ。ご都合主義バンザイ! ワシ、なんでもやるのじゃ! どうせ今回は本編に関係ないのじゃ、やりたい放題なのじゃ! さあ、コヨミ殿、ヴレイウォッチなのじゃ。コウタ殿には『モモ』を連れて来たのじゃ。タケ殿にも銃じゃ」
飛び降りて僕達の傍にやってきた女の子が、なぜかヴレイウォッチと……モモ!? 海ほたるの駐輪場にいるんじゃないの!?
「こ……これは一体!?」
「……一体このお嬢ちゃんはナニモノなんや!? ヴレイウォッチは家に置いてきたんやで!? オマケにモモまで!?」
「まあ、チエさんの事は気にしたら負けですから」
あ、どうやら日常茶飯事らしい。
だって、武士さんは平然と拳銃を受け取ってるし。
「拙者達もいるでござるよ!」
「アタイもね!」
「わたくしもですわ」
誰!?
僕はいきなり現れた人達……どうも武士さんのお知り合いのようだけど……うん、キャラが濃い。
「では、打ち合わせ通りにやるのじゃ!」
「えー、わたくしもしなくてはならないのかしらぁ」
「もちろんなのじゃ、マム殿。リーヤ殿、タケ殿、コヨミ殿、コウタ殿、こうするのじゃ!」
そう言うと、僕の脳裏に……えー……僕までこれをするんですか……?
僕が思わず肩を落とし、隣のこよみさんを見ると……ものすごくガッカリした表情を浮かべてうなだれていた。ですよね。
「お、お前ら。一体なんなんだ! 一体何モノなんだぁ!」
などと叫んでいるけど、叫びたいのはコッチなんだけど……。
「ワシらはのぉ!」
そして、とうとう僕達も付き合わされることになりそうだ……。
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第三話は午後六時頃お届けする予定!
引き続き、どうぞよろしくお願いします!




