第一話 ハロウィンでの一夜の夢
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今回はコラボ番外編!全四話でお届けします!
「こ、耕太くん……その……ウチの恰好、おかしくないやろか……」
こよみさんが服を着替え、モジモジしながら寝室から出てきた。
こよみさんの服装は、ゆったり目の白のブラウスにブラウンのフレアスカート、それに赤を基調としたチェックのブランケットを肩に掛けている。
うん……控えめに言って、突き抜けて最高です!
なので。
「はわ……気に入ってくれたんや……」
僕がこよみさんを抱きしめると、嬉しそうにはにかんだ。
「それじゃ……行きましょうか」
「うん!」
僕達は靴を履き、スーツケースを転がして家を出る。
実は……僕達、入籍しました!
本当は大学を卒業してからって考えてはいたんだけど、やっぱり僕達は永遠に一緒だって証が欲しくなり、こよみさんに無理をいって籍だけでもと、届け出たんです。
そのことをうちの両親に話すと、驚きはしたものの祝福してくれたので、それはそれで良かった。
ただ、それからというもの、家に連れてこいとの催促が半端ないんだけど……。
そして、それはもちろんこよみさんのご両親も同じで、こちらに至っては「孫の顔が見たい」と、もはやなんと言っていいのか分からないくらい生々しかった……。
ということで、僕達はこれから、プレ新婚旅行という形で、ポータムに行くことになったのだ。
あそこなら、海ほたるからすぐに行けるし、何より異世界っていうのも普通の新婚旅行らしくなくて、その……いいかな、と。
あ、もちろんこよみさんも賛同してくれました。
何より、「知り合いもおらへんし、やっと邪魔されんと耕太くんと過ごせそう」と、むしろ喜んでくれたりして。
「耕太くん、早う早う!」
おっと、余計なこと考えていないで、最高に可愛い奥さんと向かわないと。
「あはは……はい!」
僕はこよみさんと手をつなぎながら、新婚旅行先のポータムへと出発した。
◇
「な、なあ……今日って何かやたらと変な恰好した奴が多ない?」
こよみさんが辺りをキョロキョロしながら、僕に耳打ちする。
「ああ……ホラ、明日はハロウィンですから」
「あ、そやったね」
僕がそう言うと、こよみさんは納得したのかウンウンと頷いた。
でも……僕はそう言ったものの、ここってポータムの税関だよね……。
向こうでもハロウィンとかって流行ってるのかなあ……。
「そういえば、おかしな恰好で思い出したけど、京都で会うたあの小っちゃい子も変な恰好やったなあ」
「京都でって……ああ、武士さんとリーヤさんですね。そういえばあの二人もポータムから来てたって……って!?」
あの税関の入口にいるの、ひょっとして件のお二人では!?
「こ、こよみさん、あれって!」
僕は思わず二人に指差すと
「うん? あ、ウチと京都で喧嘩したあの子やないか!」
こよみさんも気づき、思わず大声で叫んだ。
「あ! コヨミさんじゃないですか! それとコウタくん!」
すると、こよみさんの声に気づいた武士さんが僕達に手を振る。
僕達はお二人の元に駆け寄ると。
「やっぱり、武士さんでしたか! それに、リーヤさんも!」
僕は再会を懐かしんで声を掛けるけど。
「うーん、やっぱりどう見てもチンチクリンやなあ」
こよみさんがリーヤさんを見ながらウンウンと頷いてるけど、それって煽ってますからね!?
「なんじゃとぉ! もっかい言ってみるのじゃ! 此方の何処がチンチクリンなのじゃ!」
ああ……やっぱりこうなった……。
「何や、何回でも言うたるわ。このメダカみたいなチンチクリンがあ!」
うーん……これが同族嫌悪というものだろうか。
なんというか、その……スピッツとポメラニアンがお互い威嚇し合ってる、みたいな? ……って、そんなこと考えてる場合じゃない!?
「「2人ともやめて!」」
あ、武士さんとハモってしまった。
でも……やっぱり僕と武士さんも似た者同士かもしれない……。
「なんじゃ、別に此方はコヨミ殿と喧嘩をしているんじゃないのじゃ」
「イヤイヤ耕太くん。ウチも大人やさかい一々リーヤちゃんと喧嘩したりせえへんで?」
あ、あれだけ言い争ってたのに……何というか……。
「だって、同じ敵と戦った戦友なのじゃからな」
「うんうん、ウチも自分より小っちゃいけど、なかなかここまで強い女の子はおらへんからな!」
そう言うと、二人は「「ねー」」と頷き合う。
ま、まあ、ケンカしないに越したことはないんだけど、ね。
「ふぅ、もーリーヤさんたらぁ」
ホッと一安心したのか、武士さんは軽く溜息を吐くと柔らかい笑みを浮かべた。
まあ、確かにここで二人にケンカなんてされでもしたら、新婚旅行がめちゃくちゃに……。
と、とりあえず、武士さんに謝っておこう。
「すいません、武士さん……こよみさんも、普段はここまで喧嘩早くは無いんですけど……」
僕は武士さんに頭を下げると。
「いえいえ、前回お会いした時も思ったけど、2人のタイプって案外似ているから、同族嫌悪ってのがあるのかもね」
あ、武士さんもそう思いましたか。僕もです。
すると。
「あはは! とりあえず、ようこそポータムへ!」
そう言って武士さんが歓迎してくれた後、僕達はテントへと案内された。
「さて、これは仕事として聞くけど、2人はどうしてポータムへ来たの?」
テントに入るなり、武士さんは急に真剣な表情になって僕達に尋ねる。
おっと、ひょっとして武士さん達は仕事中、かな。
「実は、僕達結婚する事になりまして、新婚旅行の第一弾としてこちらに来たんです。家からも近いですし、一度はポータムに来てみたかったですから」
そう言うと、僕は隣にいるこよみさんの手をギュ、と握る。
こよみさんは、「えへへ」と微笑み返してくれた。うん、最高に可愛い。
「ところで……武士さんのお仕事って、税関……いえ、違いますね。本当は“公安”、といったところでしょうか?」
僕は武士さんを覗き見ながらそう告げると。
「あ、そういえば話していなかったよね、前は。僕は、ポータムで皇帝直属の公安組織、異界技術捜査室で科学捜査員をやっているんだ。まあ、最近は科学捜査よりも銃撃っているのが多いけどね」
武士さんは意外とあっさり素性を教えてくれた。
ま、まあ、特に問題がないのなら、それはそれで……。
「なるほど……じゃあ、この前はリーヤさんの護衛、といったところでしょうか。リーヤさんは、どうやらこちらでいうところの貴族、といった感じですし」
僕はチラリ、とこよみさんと話し込んでいるリーヤさんを見る。
すると。
「ほう、コトミ殿。コウタ殿と結ばれたのかや。めでたい話なのじゃ、その上羨ましいのじゃ。此方はタケと婚約まではしたのじゃが、こんな身体じゃから、エッチまではいけないのじゃ」
「あ、そうなん? 実はウチ、その……耕太くんと結婚してん! それで、その……毎日、幸せやねん……」
こ、こよみさん!? あんまり赤裸々に言わないでくださいね!?
「確かにリーヤさんは貴族、隣領主のお嬢さんですけど、今は同僚です。 最近は僕とリーヤさんは婚約までしましたけどね」
おっと、武士さんの話に集中しないと……って、今、婚約って言わなかった!?
「お、おめでとうございます! それで、ご結婚は?」
僕は武士さんにお祝いの言葉を伝えると、武士さんは少しだけ複雑な表情を浮かべた。
「それはリーヤさんの肉体の成長次第かな? 流石に今のリーヤさんを抱くのは違反でしょ?」
あー……確かにリーヤさん、見た目は中……いや、小学生くらいだもんなあ……。
「そ、そうですよね! あ、で、でも……」
僕は口をもごもごさせながら、ついこよみさんを見てしまった。
あ、あうう……なんだか恥ずかしい……。
「そういえば、コウタ君はダークスフィアとの戦いの事は十分関係しているよね。今、こっちは少しややこしい事になっているんだ」
話は変わり、武士さんから告げられた内容は僕達にとっても驚きの内容だった。
まさかダークスフィアの残党……高田光機の意思を継ぐ者がまだ残っていて、ポータムの異種族を狙っているだなんて……。
「じゃあ、もしかしたらこよみさんも……」
僕は一抹の不安を覚え、武士さんを見やると、彼はコクリ、と頷いた。
「うん、狙われる危険性も無い訳じゃない。一応注意していてね」
「はい、情報ありがとうございました」
「いえいえ。これもナニカの縁ですし……」
気にするな、と言わんばかりに微笑む武さん。
本当ならこんな情報、一観光者の僕に話していいはずないのに……武士さん、ありがとうございます。
すると。
「あらぁ、何が縁かしら。このサボり魔さん達はぁ!」
「ま、マムゥ!」
武士さんが振り向きざまに驚きの声を上げる。
こ、この綺麗な人は一体……。
「タケちゃん、リーヤちゃん。これはどういう事かしらぁ!」
少し青ざめた表情の武士さんを見て、心の中で応援だけしておいた。
こ、心の中でね?
お読みいただき、ありがとうございました!
前回のコラボに引き続き、今回もGOM様の「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」とコラボさせていただきました!
しかも、今回はGOM様にシナリオを考えていただき、全四話で一気にお届けいたします!
なお、GOM様の作品はこちらですので、ぜひ!
僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜
https://ncode.syosetu.com/n3313gb/
第二話は午後三時頃お届けする予定!
引き続き、どうぞよろしくお願いします!




