最終決戦!怪神デミウルゴス!⑰
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「上代耕太! 残り一分だ!」
ガネホッグさんが、こよみさんの活動限界の残り時間を告げた。
さあ……いよいよだ!
僕は“ハンニバル”を上空に向け、照準を二人に合わせる。
『食らええええええええ!』
『ぬううううあああああ!』
今なお二人は、激しく互いの武器をぶつけ合う。
お互いの存在を賭けて。
お互いの譲れないものを賭けて。
そんな二人の闘いに……僕は、今から水を差す。
「こよみさん! 残り、一分を切りました!」
そう告げると、こよみさんは高田光機に肉薄しながら首を縦に振った。
後は……撃つ! それだけだ!
僕は“ハンニバル”のトリガーに指を掛ける。
腕が……震える……。
その時。
「上代くん! しっかりなさい!」
「そ、そうだ! 上代くんならできる!」
「耕太っ! ぶちかませ!」
僕の背中に、先輩、飯綱先生、青乃さんからの檄が飛んできた。
……震えが、止まった!
「高田光機——————っ!」
僕はそのトリガーを引く。
そして……一発の銃弾が、高田光機目がけて射出された。
◇
■桃原こよみ視点
「高田光機——————っ!」
ビルの方角から、耕太くんの叫び声と一つの銃声が聞こえた。
うん……耕太くん、分かってるよ。
そして、その銃弾は……ウチにも高田光機にも当たらずに、どこかへ飛んで行った。
『ん? ……クハハハハハ! 上代くん、なんだいそれは! ただでさえそんなチンケな武器が僕に通用するはずもないのに、しかも外すだなんて! 本当にバ…………………………ハ?』
——ズグリ。
ウチは高田光機が耕太くんへと視線を向けた、その瞬間——“ブリューナク”を高田光機の鳩尾から突き刺した。
『……ハ? ……エ?』
「オマエ、ホンマにアホやな。闘いの最中に、相手から目を逸らす奴がどこにおんねん」
そう言うと、ウチは“ブリューナク”を握るその右手に力を籠め、さらに奥へと突き上げていく。
『エ? ……エエエエエエエ!?!?!?』
「せやから、オマエがウチから視線を逸らした、それがオマエの敗因や」
そう。
耕太くんは、高田光機の視線を自分に誘導させるために、“ハンニバル”を撃ったんや。
しかも、用意周到に耕太くんの存在をこの男に気づかせへんように、コッソリと、な。
そのためにわざと高田光機を侮らせるように仕向けて、なおさら耕太くんがこんなことするとは、思てもおらんかったやろ。
それによって生まれた一瞬の隙。
ウチは、その隙を突いて、とうとう高田光機を仕留めたんや!
「さあ……これで終わりやあああああああ!」
『ア、ア、アアアアアアアアアアアアア!?』
ウチは“ブリューナク”をさらに押し込むと、胸、喉を通過して“ブリューナク”の先端が高田光機のその口から現れた。
そして、ウチは“ブリューナク”の切っ先をビルへと向けると。
——キイイイイイイインン!
一直線に高田光機のその身体ごと落下した。
ウチ達はどんどんビルへと近づいて行き……心配そうに見つめる耕太くんの姿が見えた。
ウチは耕太くんにニコリ、と微笑むと。
“ブリューナク”をビルの床に突き刺した。
「こよみさん!」
耕太くんが泣きそうな表情でウチの元に駆け寄る。
ああ……耕太くん!
ウチの世界一大好きな、耕太くん!
「耕太く——————ん!」
ウチは“ブリューナク”をつかむ手を離し、その変身を解いて耕太くんのその胸に飛び込んだ。
「耕太くん、耕太くん、耕太くん、耕太くん、耕太く——————ん!」
「こよみさん……こよみさん……!」
ウチと耕太くんは互いを強く抱き締め合う。
ああ……耕太くんの温もりや……耕太くんの匂いや……!
ウチは嬉しくなって、耕太くんの胸にすりすりと顔を擦りつけた。
「こよみさん……!」
耕太くんがウチの髪を優しく撫でる。
ウチ……ウチは……耕太くんの元に帰ってきたんや……!
すると。
「こよみさん……」
涙を流す耕太くんが、ウチの顔を見て優しく微笑む。
そして。
「こよみさん……おかえりなさい!」
だから。
「うん! ただいま!」
ウチは最高の笑顔で耕太くんに伝えた。
ウチの帰る場所は、耕太くんだけなんやと。
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