最終決戦!怪神デミウルゴス!⑯
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こよみさんが高田光機と激しい戦闘を繰り広げる最中、一人の怪人に目を向ける。
それは……怪人、ガネホッグ。
彼はトランペッターに吹き飛ばされたものの、持ち前のタフネスでその意識を取り戻しつつあった。
「グ、グムウ……」
「ガネホッグさん……動けますか?」
僕は頭を手で押さえながらかぶりを振るガネホッグさんに声を掛ける。
「か、上代耕太……う、うむ……何とか、な……」
「それなら何よりです。今、戦局は五分と五分……いえ、活動限界がある分、こちらが圧倒的に不利です」
「っ! “モード=アテナイ”を使用したかっ!」
僕の言葉を聞き、ガネホッグさんが驚きの声を上げる。
だけど。
「やっぱり知っていたんですね……なら、そんな大事な情報、せめて僕には教えてほしかったですね」
「ム……すまない……アレは活動限界があり、しかも、一度使ってしまうとシステムが保たなくなってしまうので……最後の最後でしか使えんのだ……」
「……まあそのことは今は置いといて……あ、ちょっと待ってください」
僕はインカムをオンにすると、
「こよみさん! 二分を切りました!」
『了解!』
こよみさんが勢いよく返事すると、再度、高田光機に突撃を仕掛けていく。
そして、再び戦況が膠着した。
「すいません。それで、ガネホッグさんにお願いがあるんですが」
「……私に?」
僕の言葉を受け、何かを勘違いしたのか、ガネホッグさんが覚悟を決めた表情を浮かべた。
「このガネホッグの生命、君に預ける……好きに「いえいえ! 何か無理させようとかじゃないですから!」……む、そうなのか……?」
やっぱりガネホッグさんは勘違いしていた。
僕がガネホッグさんにお願いしたいことは、そんなことじゃない。
「ガネホッグさん、僕に正確に射撃する方法を教えてください。それも一分以内に」
「む!? それはどういうことだ!?」
僕の意図が分からず、ガネホッグさんが驚きの声を上げる。
「今、それを問答している時間はないんです! とにかく! 僕が精密射撃できるように、早く指示を!」
「っ! う、うむ! バオオオオオ!」
ガネホッグさんが雄叫びを上げ、その巨体を無理やり立ち上がらせる。
僕はポケットから“ハンニバル”を取り出し、すぐにマガジンを交換した。
「それで、どうすれば!」
「うむ! 射撃の素人の君が撃ったところで、正確な射撃は不可能だ! なら、この私が……!」
「これは僕じゃないとダメなんです! だから、早く僕に教えてください!」
ガネホッグさんが自分で撃とうとしたので、慌てて僕はそれを制止する。
これは……これは、僕じゃないと絶対にダメなんだ!
この中で、最も高田光機に侮られている、僕じゃなければ……!
「わ、分かった……まず、足を肩幅に大きく開け!」
ガネホッグさんの指示を受け、僕は肩幅に足を広げる。
「次は!」
「“ハンニバル”を両手で持ち、しっかり腕を伸ばして正面に構えろ!」
「はい!」
僕は“ハンニバル”を両手に持ち、正眼に合わせて構えた。
「あとは……!」
「あとは、素人の君ではこの距離を狙うのは不可能! ……運を天に任せるしかない……」
そう言って、ガネホッグさんはギリ、と歯を食いしばった。
「……最後に一つ。このまま狙って、二人のどちらかに当たる確率は?」
「一流のスナイパーでも、あれ程の速さで動き回る標的を狙うのは一パーセントにも満たない……君が命中させる確率は、限りなくゼロに近い」
「ありがとうございます。充分です」
そう……僕はそれが知りたかった。
だって、絶対にこよみさんに命中させたくはなかったから。
「じゃあガネホッグさん、タブレットのタイマーが一分を切ったら、僕に教えてください!」
「う、うむ!」
ガネホッグさんがタブレットをつかむと、その画面とこよみさん達を交互に見る。
さあ……あとはその時を待つだけ……。
すると。
『やあああああああ!』
『フンッ!』
『キャアアアアアアア!?』
こよみさんは高田光機に“ブリューナク”で殴りつけようとしたところを盾で防がれ、そのまま横殴りにされて吹き飛んだ。
そのままこのビルに激突しそうになる……そう思ったけど、こよみさんはクルリ、と反転してあと数十センチというところで踏みとどまった。
そして……僕と目が合う。
「こよみさん!」
「うん!」
僕とこよみさんは頷き合うと。
「まだまだあっ!」
こよみさんはビルの床を思いきり蹴って、再度、高田光機に向けて突撃した。
その時。
「上代耕太! 残り一分だ!」
ガネホッグさんが残り時間を告げた。
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次話は明日の夜更新予定です!
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