最終決戦!怪神デミウルゴス!⑫
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「あああああああああ!」
こよみさんはビルの床を踏み締めながら両腕を広げ、天空に向かって雄叫びを上げた。
まるで、その存在を誇示するかのように。
そして、こよみさんは髑髏のヴァルキュリア……アリスの隣に並び立った。
「ええか! アンタの耕太くんへの想い、それは認めたる……けどな! 耕太くんの隣はウチの指定席や! そこだけは絶対に譲れへんからな!」
こよみさんは鼻息荒く、アリスに食って掛かる。
だけど、当のアリスは顎をカタカタ、とさせながら、両手を上げて肩を竦めた。
あ、これ……アリスが人をバカにするときの仕草だ……。
「とにかく! ウチ達の足、引っ張らんといてや! ……………………それと、おおきに(ボソッ)」
あはは……こよみさんも、素直じゃないなあ……。
その時。
アリスを敵と認識したペイルライダーとトランペッターが、それぞれこよみさんとアリスに襲い掛かる。
「っ! こよみさん! アリス! 来ます!」
僕がそう叫ぶと、こよみさんとアリスが腰を落とし、分身達の突撃に備える。
——ガキン!
こよみさんはペイルライダーのその大剣を、アリスはトランペッターの突撃をそれぞれ受け止めた。
「ぐ……ぐぎぎ……こなくそ!」
そう叫ぶと、こよみさんは一歩ずつじりじりと、ペイルライダーを押し返していく。
一方のアリスは、トランペッターを抑え込んだまま、一歩も動かない。
その時。
「っ!? アリス!」
トランペッターがラッパを口元に当てるのを見た僕は、慌ててアリスに声を掛けると、アリスはコクリ、と頷き、その身体を反転させてトランペッターをいなした。
するとトランペッターは体制を崩し、口元に当てていたラッパがずれる。
そして。
——ガシャアッ!
アリスは、トランペッターのその頭蓋骨に勢いよくランスを突き刺すと、トランペッターは手足をジタバタさせてもがいた後、ガラガラと崩れ落ちた。
一方、こよみさんはというと、大剣をじりじりと押し返した後。
「やあああああああ!」
全身のばねを活かして身体全体を押し出すと、ペイルライダーの体勢が崩れる。
そこへ。
「トドメや!」
“ブリューナク”を構えて突撃し、ペイルライダーの胸に深々と突き刺した。
ペイルライダーはその手に持つ大剣と大盾を下に落とすと、シュウシュウ、と煙を上げながら、その身体を消滅させた。
「こよみさん! アリス!」
僕は二人に手を振りながら大声で叫ぶと。
「耕太く——————ん!」
僕と同じようにブンブンと手を振って返事をするこよみさんと、腕組みしながらプイ、と顔を背けるアリスのその対照的な姿に、思わず頬を緩めた。
——パチパチパチ。
『いやあ、中々面白いものを見せてもらったよ。それにしても、まさかアリスの意識が残っていて、あの場面で僕の分身“ジャッジメント”を乗っ取るだなんてねえ』
高田光機は何か面白い演劇でも見たかのように、微笑みながら拍手をした。
「ああ……オマエの分身三体は二人に倒され、その“ジャッジメント”はアリスとなったよ。あとは……高田光機、オマエだけだ!」
円環の上で余裕の表情を崩さない高田光機を、僕は指差しながらそう宣言した。
「そや! そんな裸でマントしてるような変態が、ウチ達に勝てる思わんときや!」
僕の隣へとやってきたこよみさんが、同じく高田光機を指差しながら、この日最も辛辣な言葉を投げつけた。
『クフフ……どうせ僕以外のニンゲンは家畜同然なんだから、何を気にする必要があるんだい? 君達は、犬や猫に自分の裸を見られたからといって、気にしたりするのかい?』
こよみさんの煽りに、さも余裕であるかのように返答する高田光機。
だけどそれって……。
「高田光機……オマエは、全ての人間に変態扱いされることもいとわない、というのか……!」
あれほど僕達に煽られて怒り狂う高田光機が、変態呼ばわりされてもこのような態度でいられる事実に、僕は戦慄した。
『クフフ、大事を為そうとする者にとって、そのような小事は取るに足らないんだよ』
「……せやったら、反町一二三も放っといたらええのに」
こよみさんがポツリ、とそう呟くと、突然、高田光機の顔色が変わった。
『ク、クフフ……君達を肉片にした後に、反町一二三も、その存在もろとも消し去るからいいんだよ……』
「それって……暗に負け認めてるっちゅうことかいな?」
『違う!』
怒気を孕んだ声で、高田光機が否定する。
変態は良くて反町一二三は駄目という、その高田光機の怒りのポイントが分からず、僕は思わず額を押さえた。
すると。
「ア、アリス!?」
そんな僕達と高田光機とのやり取りにしびれを切らしたのか、アリスはその三対の翼を羽ばたかせて高田光機へと向かって行った。
『ん? 何だい? 僕に作られた、ただのガラクタのくせに、創造主であるこの僕に勝てるとでも……!?』
そう言って高田光機が右手をかざしたその瞬間、アリスは急旋回をした。
遠くから眺める僕ですら、一瞬アリスを見失いそうになるほどの速さだ。当然、高田光機からは、まるでアリスがその場から消えたかのような目の錯覚を覚えているはず。
そして、高田光機の背後をついたアリスは、ランスを高田光機の延髄目がけて突……!?
『クフフ、バーカ』
高田光機のその姿が一瞬でその場から消え、いつの間にかアリスの背後につくと、高田光機は左手で無造作に薙ぎ払う。
「ア、アリス——————!?」
アリスの下半身が、高田光機の手によって全て砕け散った。
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次話は明日の夜更新予定です!
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