最終決戦!怪神デミウルゴス!⑦
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「や、やったの!?」
胴体と分離したデミウルゴスの頭が下へと落下していくのを見て、先輩が思わず叫ぶ。
「わ、分かりません……ですが、頭がない状態ではまともに闘うことはできないはず……!」
「まだまだあっ!」
こよみさんはなおも追撃を止めず、デミウルゴスの胴体を“ブリューナク”で力任せに叩きつけた。
すると、『DS-n細胞』でできた骨はガシャ、という音とともに粉々に砕けた。
「ね、ねえ……さすがにあそこまでなっちゃったら……」
「そうですよね……」
いくら『DS-n細胞』といえど、ここから修復することは不可能……!
「こ、こよみさん!」
「耕太くん! ウチ……ウチ、やったよ! ……って、聞こえへんのや「聞こえます!」……え?」
僕の言葉に、こよみさんが思わずキョトンとする。
「こよみさん! 僕の耳は飯綱先生のおかげで、はっきりと聞こえます! こよみさんの声、ちゃんと聞こえますから!」
こよみさんはハッと顔を上げると。
「耕太く——————ん!」
こよみさんは粉々になり、煙を上げるデミウルゴスの胴体を思いきり蹴飛ばして僕の元へ飛んでやってくる。
「こよみさん!」
僕はその両腕を大きく左右に広げる。
そして。
「耕太くん!」
「わっ!?」
こよみさんを僕の胸で受け止めると、勢い余って後ろに倒れ込んでしまった。
「あ……耕太くん、ゴメ「こよみさん……お疲れ様でした」……っ! うん!」
こよみさんは変身を解くと、最高の笑顔でその顔を僕の胸にうずめた。
ああ……こよみさん……。
「そ、それより耕太くん! その、耳は大丈夫なん!?」
「あ、はい。飯綱先生が『DS細胞』で鼓膜を結合してくれましたから。とはいえ、帰ったらちゃんと病院に行って直さないといけませんけどね」
少しおどけながらそう言うと、こよみさんは心配そうな表情で僕を見つめた。
おっと、言い方がまずかったかな……。
「大丈夫ですよ……こうやって、こよみさんのその可愛い声をしっかり聞けているんですから」
「はわ……うん……」
僕はこよみさんを強く抱きしめる。
少しでも、こよみさんの心配を取り除くために。
「「「「ウォッホン!」」」」
「はっ!?」
「はわ!?」
見事に息の合った咳払いに、僕とこよみさんは思わず顔を上げると、呆れた表情の四人が僕達を見ていた。
「はあ……結局あなた達はイチャイチャするのね……」
「ふう……まあ、仕方ない、のか……?」
「チクショウ! 帰ったら絶対に彼女作ってやる!」
「…………………………」
いや、何か言ってくださいよガネホッグさん!?
「ま、とにかく」
「うむ、そうだな」
「ああ! だな!」
「…………………………(コクリ)」
僕とこよみさんはお互いの瞳を見つめ合う。
「こよみさん」
「耕太くん」
そして。
「「「「「やった——————————!!!」」」」」
僕達は大声で叫んだ!
これで……これで、終わったんだ……!
「耕太くん!」
「はい! こよみさん、僕達の勝ちです! 僕達はデミウルゴスを……高田光機を倒したんです!」
「うん!」
僕はまた、こよみさんを強く抱きしめた。
今度は、こよみさんとその勝利を分かち合うために。
「ねえねえ! せっかく全部解決したんだから、パーッといきましょうよ!」
「それはいい!」
「ヨッシャ! だったら店は俺が……「「それはいらないから」」……は? どういうことよ?」
先輩と飯綱先生に水を差され、青乃さんが思わず怪訝な顔をした。
「だって」
「うむ」
「「上代くんに祝勝会の準備をしてもらうから(な)!」」
ハア!? な、何言ってるんですかこの二人は!?
「え、ええと……それってどういう……?」
「えー、そんなの決まってるじゃない!」
「そうだぞ。上代くんが私達にその素晴らしい料理を振舞うんじゃないか」
えー……。
「ア、アンタ等何を言うてんねん! そんなんアカン! アカンで!」
「なんでよ! いっつもいっつも、上代くんのご飯を独り占めして!」
「うむ、そうだぞ? 私は上代くんのご飯が食べたいのだ!」
イヤイヤ、二人ともそんな力説されても!?
「あー……確かに、さっき食ったおにぎり超美味かったからなあ……俺も食いてーかも」
「…………………………フ」
ガネホッグさん、“フ”じゃないですよ!?
『マアマア、イイジャナイカ相棒』
「なんでモモがそんなこと言うの!?」
はあ……仕方ない。
「分かりましたよ! こうなったら、皆さんの胃袋が破裂するくらいたくさん作りますから、覚悟してくださいね!」
「「「やったー!」」」
「…………………………(コクリ)」
『フ、ヨカッタナ、耕太』
だから、なんでモモがそんなことを言うんだよ……。
「あ、あはは……耕太くん、今回ばっかしはしゃーないかな……」
「そうですね……本当は……」
すると、こよみさんが顔を近づけ、僕の耳元でささやく。
「(みんながおらんようになったら、な?)」
そう言って、こよみさんは頬を赤らめながらはにかんだ。
ああ……やっぱりこよみさんは最高です……!
その時。
「クハハハハハハハハハハ! おめでたい! おめでたい連中だ! あれでこの私を倒した気でいるなんて!」
突然の声に、僕達は一斉に振り向く。
すると。
——そこには、髑髏から翼を生やし、空中に浮遊するデミウルゴスの姿があった。
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次話は明日の夜更新予定です!
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