四騎将
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いよいよ第2章、開幕です!
■???視点
「全く、どうなっているのだ!」
ダークスフィア四騎将の一人、ゴライドウが円卓を思いきり叩いて吠えた。
勇者戦隊ヴレイファイブとの闘いで、怪人達がことごとく敗れている現状を受け、四騎将同士でその対応を協議している。
なにせ、日本政府に宣戦布告をしてからこの四年間、送り込んだ怪人は軽く三桁を超え、その全てが倒されているのだ。
こちら側とすれば由々しき事態である。
まあ、四騎将も何も対策していない時点でどうかと思うけど、私が四騎将になったのは最近のことなので、私としてはどうしようもないのだが。
「……それで、どうするんだ? 我々が奴等と直接闘ってもよいが……」
四騎将イタチソードの言葉に、私は思案する。
確かに彼女の言う通り、我々四騎将が相対すれば遅れを取ることはまずないだろう。
だが、懸念すべきことが一つある。
ヴレイファイブの一人、“ヴレイピンク”。
奴だけは他の四人と違い、明らかに強い。
四騎将複数でかかれば倒せるとは思うが、こちらもただでは済まないだろう。
なら、確実に倒せる方策を見つけないと……。
「……スオクイン、君はどう思うの?」
小学生と見紛う容姿の四騎将カネショウがあどけない表情で尋ねてきた。
「……少し時間をちょうだい。考えてることがあるから……」
「へえー、ちょっと意外。新参だから特にアイデアもないと思ったのに」
予想した答えと違うからか、カネショウは興味深そうにこちらを見つめる。
「時間ももったいないから、私はもう行くわ」
そう言って私は席を立つと、自分の執務室へと戻った。
◇
「これまでのヴレイファイブとの戦闘記録映像……特にヴレイピンクのものを全部持ってきて!」
「ギー!」
戦闘員に指示を出すと、戦闘員はすぐに資料を用意してくれた。
「ギー!」としか言わないのに、なかなか優秀よね……。
四年間もろくな対策を講じなかった他の四騎将達よりも、彼等のほうが余程いいんじゃないかと思う。
私は四年分の映像記録を視聴し、ヴレイピンクの戦闘時のくせや弱点がないか、くまなく探す。
視聴を始めてから既に半日が経過し、映像も三年分は見たけど、ヴレイピンクの弱点らしきものは見当たらず、むしろ見れば見るほど彼女の強さを思い知らされる結果となった。
他の四人であれば、一対一なら怪人のほうが強いくらいで、それを複数で対応することで制しているという感じなのだが、ヴレイピンクは違う。
彼女は単騎で怪人を圧倒しており、とどめこそ“ヴレイキャノン”で倒しているが、そこに至るまでに怪人はもう虫の息だった。
ひょっとしたら、我々四騎将ですら遅れをとるかもしれない。
「はあ……これでは八方塞がりじゃない……」
私は目の当たりした事実に、思わず頭を抱える。
だけど、だからといってここで諦める訳にもいかない。
だって、私にはどうしてもやらなければ……果たさなければならないことがあるから。
「よし! 続きの動画を確認しないと!」
私は両頬を叩いて気合を入れ直し、再度画面に向き合う。
でも、その後も動画を確認するが、決定的なものは見つからなかった。
あえて違和感を感じたのは、この前の新宿駅での怪人スリカエルとの戦闘の時。
ヴレイピンクが遅れてやって来て、その後ヴレイキャノンで倒すところまでは一緒。
だけど、この後が違った。
いつもなら、五人揃って決めポーズの後に凱旋するのに、ヴレイピンクだけ早々に離脱した。
何か用事でもあったのだろうか。
私はこの違和感について思案するけど、特に理由も思い浮かばないので、気にせず次の動画へと切り替える。
残す動画はあと二つ。
私は少なからず落胆を覚えながら動画を眺めていると。
「……あれ? これって……」
それはつい最近の、鷲の宮での映像。
そこには、ヴレイピンクと話す男の姿が映し出されていた。
男がヴレイピンクに詰め寄ると、ヴレイピンクはまるでごまかすようにして立ち去る。
「ふうん……ひょっとすると、ヴレイピンクと彼は知り合いかもしれないわね……それにあの彼……ふふ、面白くなってきたわね……」
ヴレイピンクの正体、そして弱点が分かるかもしれない。
細い糸を手繰り寄せるようにしてやっと見つけた手掛かりに、私は気づけばほくそ笑んでいた。
お読みいただき、ありがとうございました!
さあ、第2章が開幕しました!
第2章では、バトル少々、飯テロぼちぼち、ざまぁ程々、イチャコラ多めとなっておりますw
次話は本日夜投稿予定です!
少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!




