最終決戦!怪神デミウルゴス!⑤
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「グアアアアアアア!?」
こよみさんの渾身の一突きによってデミウルゴスの胸を貫くと、デミウルゴスは叫び声を上げながらその胸を掻きむしる。
「ど、どうやっ!? キャアアアアア!」
「こ、こよみさん!?」
“ブリューナク”を突き刺したまま様子を窺っていたこよみさんを、苦しみでもがくデミウルゴスが不意に弾き飛ばした。
僕は堪らずこよみさんの元へと駈け寄る。
「だ、大丈夫ですか!?」
「イチチ……だ、大丈夫! それよりアイツは!?」
その言葉に、僕達は一斉にデミウルゴスへと視線を戻す。
すると、デミウルゴスは“ブリューナク”によってポッカリと開いた胸の穴から、シュウシュウ、と音を立てながら煙が噴き出ていた。
こよみさんの『DS-v細胞』がデミウルゴスの身体……『DS-n細胞』を破壊している証拠だ。
「グアアアアア!? こんな……こんなあ……っ!」
デミウルゴスは必死で自分の胸の穴を塞ぐように両手で押さえるが、そんなものは何の慰めにもならない。
後は、デミウルゴス……高田光機という男が消滅するのを見届けるだけ……。
「耕太くん……これで……」
「ええ……これで……」
そう……これで、終わり…………………………なあっ!?
デミウルゴスは突然、自分の身体……いや、“ブリューナク”による傷口を手で抉り取り始めた。
「な、何を……!?」
だが、僕達をまるで無視し、デミウルゴスは一心不乱に傷口を抉る。
そして。
「フ……フフフ……その“ブリューナク”っていうのは、最悪の武器だねえ……『DS-n細胞』で硬質化された私の身体を易々と貫くだけじゃなくて、まさか『DS-n細胞』そのものを破壊するなんて、さあ」
……気づいたか。
「ああ、そうだね。だけど、それに気づいたからって、そんな満身創痍の姿になったオマエに、僕達に勝てる見込みがあると思ってるのか?」
僕はわざと煽るようにデミウルゴスにそう言った。
すると。
「ク……」
「?」
「クハハハハハハハハ! この程度のことでこの私に勝った気でいるなんて、本当に浅はかだな!」
デミウルゴスは堪え切れないとばかりに腹を抱えながら大声で笑う。
「な、何がおかしいのよ!」
「フ、フヒヒ、何がおかしいかって? 決まってるじゃないか! 君達には万に一つも勝ち目がないというのに、いまだにそんな夢みたいなこと思ってるだなんて、笑うしかないじゃないか! クハハハハハ!」
「フ、フン! そんな身体で言われても、説得力がないのよ!」
先輩はデミウルゴスを指差しながら、啖呵を切る。
「クフフ……ああ、そうか。この身体が勘違いをさせているみたいだね。だったら教えてあげるよ」
「……何?」
「君達が絶望するような、そんな僕の身体を」
そう言うと、デミウルゴスの身体がボコボコと変化し始めた。
第一形態から第二形態に移行したあの時と、同じように。
「“第三形態”に移行」
そして、あの時と同じようにデミウルゴスの身体がドロドロに溶け始め、また膜を形成して本体を包み込む。
また中でその身体を変化させているんだろう。
だけど。
「こよみさん! あの膜は『DS-n細胞』でできています! なら、“ブリューナク”で破壊することもできるはずです!」
僕は形成された膜の球体を指差しながら、こよみさんにそう叫ぶ。
「あ! そ、そうよ! しかも身動きが取れない今なら、確実にアイツを倒せるわ!」
「うむ! その通りだ!」
先輩と飯綱先生も、僕の言葉に同意する。
「よっしゃ! せやったらウチが特大の一撃を、アイツにお見舞いしたるわ!」
そう言って、こよみさんがクラウチングスタートの体勢になって、膜の球体をキッ、と見据える。
そして。
「行ったらあああああ!」
こよみさんが一直線に飛び出し、“ブリューナク”を構えながら膜の球体に迫る。
「くらえええええ!」
“ブリューナク”を突き出し、膜の球体に突き刺さった。
「どや! バッチリぶっ刺した感触もあるで!」
こよみさんは膜の球体に足をかけ、“ブリューナク”を引き抜く。
「っ!? な、何や!?」
こよみさんが血相を変えてそう叫ぶと、膜の球体を蹴ってすぐさま離れた。
「こよみさん! どうしたんですか!?」
「引っこ抜いてできた穴の中から、アイツが……デミウルゴスの奴が覗いとったんや!」
「何ですって!?」
つまり……アイツは健在ってことか……!
「……だけど、間違いなくこよみさんの“ブリューナク”は届いているはず」
「う、うん、それは間違いない……だって、ウチのこの手に、確かにその感触があったさかい……」
そう言って、こよみさんは自分の右手をまじまじと見る。
「いずれにせよ、このまま眺めていても状況は変わりません……!」
「せ、せや「オラオラオラアッ! 食らいやがれっ!」……な、何や!?」
こ、この声は……!」
「あ、青乃さん!」
「オラオラアッ! “タスラム”の残りの弾丸、全部ぶち込んでやる!」
突然青乃さんが現れ、ガトリングガンを構えながら銃弾を次々と打ち込んでいく。
「“インドラニードル”!」
すると、今度は別の方向から大きな針のようなものが次々と膜の球体に目がけて射出された。
「ガ、ガネホッグさん!」
「スマン、遅くなった」
さらに。
——ブオン。
このエンジン音は……。
「モモ!?」
『フ、待タセタナ、相棒!』
まさかモモまでこの場に来るなんて!
「あ、青乃さん! あの大量の怪人達はどうしたんですか!?」
「んなモン決まってるだろ! 俺達が全部倒したんだよ!」
「その通りだ」
『モチロン、コノ私モ倒シタゾ!』
は、はは……最高の援軍だ!
「いける! いけるわ!」
「ああ! 今度こそあのデミウルゴス……いや、高田光機を……!」
強力な援軍を得て僕達の興奮と希望が最大限に高まった、その時。
「クハハハハハハ! さあ、終末を始めようか!」
それを打ち砕くかのように、デミウルゴスの声がこだました。
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次話は明日の夜更新予定です!
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