最終決戦!怪神デミウルゴス!②
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「よっしゃ! ウチの“ブリューナク”はこのバケモンに通用するみたいやな!」
“ブリューナク”でデミウルゴスの腕を破壊したこよみさんは、空中で体勢を整えながらガッツポーズする。
「ちょ、ちょっと!? 落ちていってるじゃない!」
「はわ!?」
先輩が慌ててヴレイウィップでこよみさんに絡ませ、ビルへと引き戻した。
「え、えへへ……いやー、空中やっちゅうこと、すっかり忘れとった」
「はあ……ホント、頼むわよ」
こよみさんは頭を掻きながら舌をペロ、と出すと、先輩は呆れた表情で溜息を吐いた。
っと、そうだ! デミウルゴスは!?
「ふむ……」
デミウルゴスは爆ぜた自分の腕の付け根をまじまじと見つめながら、軽く頷いている。
これは……。
「よし! 今のうちに追撃を「こよみさん、待って下さい!」……って、耕太くん何でや!?」
僕は、デミウルゴスへ向けて飛び出そうとしたこよみさんを制止する。
「おかしいんですよ……片腕を破壊されたにもかかわらず、まるでそれを観察するような、分析するようなその態度が……」
「そ、そんなん、あのバケモンのただの強がりちゃうんか!?」
こよみさんは少々納得がいかないのか、デミウルゴスを指差しながら僕に抗議する。
その時。
「驚いたな……“第一形態”とはいえ、アリスの『DS-n細胞』で進化したこの私の身体の一部を破壊するとは」
デミウルゴスは『驚いた』というけど、まるでそんな様子はなく、むしろ感心しているかのようだった。
それに、“第一形態”だって……!?
「さすがに“第一形態”のまま倒されては本末転倒だな……」
「何言うてんねん! そんなモン、どうせしょうもない強がりのハッタリやろ!」
「こよみさん! ……こちらへ」
デミウルゴスを煽るこよみさんを止め、僕の傍に来るように促す。
「な、なに? 耕太く……ん!?」
僕はまるでデミウルゴスに見せつけるかのようにこよみさんに抱きつくと、こよみさんは突然のことで驚いたのか、顔を真っ赤にしながら手をバタバタさせる。
「ホウ……余裕だな」
「オマエほどじゃないけどね」
「ハハハ……まあ、ゆっくりと最後の時を味わうといいよ」
「そうするよ」
そう言うと、僕はこよみさんの耳元に顔を近づけ、そっとささやく。
「(こよみさん、何もしゃべらず、僕の話を聞いてください)」
「(っ!)」
こよみさんは、一瞬身体をビクッ、とさせると、そのまま硬直した。
「(……恐らく、デミウルゴスの言った言葉は本当だと思います。ですので、次の形態に移行する前に、手早く倒してしまいましょう。幸いなことに、“ブリューナク”はデミウルゴスに通用していますので)」
すると、こよみさんは僕の首に腕を回し、まるで『もっと』とねだるように蕩けるような表情を浮かべ、僕の耳を甘噛みする。
「(分かった……それで、どのタイミングで行くんや……?)」
「(……デミウルゴスが次の形態に移行するタイミング、それこそ最大のチャンスです。その時になったら、僕が合図します)」
「(うん……耕太くんに任せる)」
そして僕達はそっと身体を離すと、デミウルゴスを見据えた。
「ふむ……もう終わりかい?」
「そうだね……これ以上時間かけてももったいないしね。僕もサッサとこんなことは終わらせて、こよみさんとゆっくり過ごしたいんだよ」
そう言うと、僕は軽く溜息を吐きながら肩を竦めた。
「ハハハ、だったらこの私が、君達がゆっくりできるようにしてあげるよ……冥府でね」
するとガデミウルゴスは、僕達に向けて口を大きく開いた。
マ、マズイッ!?
「先輩! 飯綱先生! 僕達の場所に!」
「っ! ええ!」
「うむ!」
二人が大急ぎで僕達の傍に来た、そのタイミングで。
「カアッ!」。
先程ビルの上階を消し去った、あの光線を僕達目がけて吐き出す。
「グ……ギギ……ッ!」
こよみさんはその光線を“アイギスシールド”で受け止めると、前傾姿勢で踏ん張る。
「こよみさん……! がんばってください!」
「ま、任しとき……!」
僕はこよみさんの身体を支えながら必死に耐えていると、光線のエフェクトが消えていく。
だけど。
「「「「…………………………」」」」
僕達は周りの状況に絶句する。
だって、僕達を先端として、放射状にビルがえぐり取られているのだから。
「ふむ……やはりその盾は防ぐんだね……“技術部”が開発したとか言っておきながら、結局はそれもあの男の代物か」
デミウルゴスは忌々し気に“アイギスシールド”を睨みつける。
やはりあの攻撃は、デミウルゴスの最大火力なんだろう。
……ただし、“第一形態”では。
「ハア……仕方ない、“第二形態”に移行するしかないかー。アレ、嫌いなんだよねー」
デミウルゴスが顔をしかめながらかぶりを振る。
いよいよかっ!
僕はそっとこよみさんに近づき、その背中に触れる。
するとこよみさんも察したのか、僕をチラリ、と見た後、軽く頷いた。
「……まあでも、“第二形態”になれば、その盾も無意味だし、いいかー……」
デミウルゴスはそう言うと溜息を吐き、残った腕を広げた。
「“第二形態”に移行」
その呟きに合わせ、デミウルゴスの身体がボコボコと変化し始める。
「っ! 今です!」
「やああああああああ!」
こよみさんは雄叫びを上げながら、“第二形態”への移行のために硬直しているデミウルゴスへと突撃した。
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次話は明日の夜更新予定です!
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