最終決戦!怪神デミウルゴス!①
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「フ、フフフ……まあいい……だったらこの私自身でキサマ等を破壊し尽くし、この私が反町一二三よりも上だということを証明してやるううううう!」
巨大な怪人へと変化した高田光機は、四つん這いになりながら咆哮する。
まるで、自分自身の存在を誇示するかのように。
すると、高田光機は天井へと顔を向け、その口を大きく開いた。
「カアッ!」
口から放射状の光線が吐き出されると、天井を破壊……いや、これは……消滅!?
天井は音もなく塵と化し、放たれた光はそのままどこまでも上へと昇っていく。
そして……天井どころか、僕達のいるフロアから上の全てを消滅させた。
「な、なによ……これ……」
「あ……ああ……」
高田光機が放った光線のあまりのインパクトに、先輩がと飯綱先生が茫然と立ち尽くす。
「フン……やっと広くなったな」
高田光機は鼻を鳴らして周囲を一瞥した後、首をゴキ、ゴキ、と鳴らした。
「……おや? どうしたんだい二人とも。顔色が悪いようだけど?」
先輩と飯綱先生を見ながら、高田光機がニヤリ、と笑う。
「ハッ! なんやと思たら、止まってる的に豆鉄砲当てて喜んどるちびっ子と大して変わらへんやないか! そんなモン、ウチの“アイギスシールド”で全部弾いたるわ!」
こよみさんはあの光景を見た後でも臆することなく、高田光機に噛みつく。
「耕太くん……これで最後や……!」
「はい……未来を……僕達の未来をこの手に!」
「うん! 変・身っ!」
こよみさんがヴレイウォッチをかざし、そのダイヤルを回して光に包まれると、ヴレイピンク=ヴァルキュリアへと変身した。
「ウチはオマエを倒す! そして……そして耕太くんと幸せになるんや!」
そして、“ブリューナク”の切っ先を高田光機へと向ける。
こよみさんの……僕達の想いを乗せて。
「ク……クハハハハ! 私と自分の実力差も測れないなんて、なんて愚かなんだ! いいだろう! この私が……怪人の頂点たるこの“怪神デミウルゴス”が、あの男の最高傑作、“ヴレイヴブロッサム”をこの世から消滅させてくれる!」
そう叫ぶと、高田光機……いや、怪神デミウルゴスはその翼を羽ばたかせ、上空へと浮かんだ。
「なんやそのけったいな名前は! 大体空飛ぶんは卑怯やろ! 降りてこんかい!」
クソ……これじゃアリスの時と同じだ……!
「先輩! 飯綱先生!」
僕は今なお茫然としている二人に向かって大声で叫ぶ。
「は、え……か、上代くん……」
「二人ともしっかりしてください! 闘いは始まったんです! 僕達が……僕達があの男を倒さないと、全てが終わりなんですよ!」
「「っ!」」
僕の叫びを聞き、二人の瞳に光が宿る。
「そうよ……そうよ! 私達はあの男を倒さなきゃいけないのよ! 私達の未来のために! 私達が幸せになるために!」
「そうだ! 何を臆することがある! 私は散っていった同胞のためにも、ここで終わらせる義務があるのだ!」
「「変・身っ!」」
二人もヴレイウォッチをかざしてダイヤルを回し、ヴレイバイオレット=ブライアーローズとヴレイシルバー=シェヘラザードに変身した。
「ごめんピンク!」
「すまない! 待たせた!」
二人がこよみさんの隣に並び、デミウルゴスに対峙する。
「ホンマやで! とにかく、あのボンクラをちゃっちゃと倒そやないか!」
「ええ!」
「うむ!」
だが、デミウルゴスはまるでつまらなさそうに三人を一瞥すると、首を傾げた。
「ふむ……雑魚が増えたところで、所詮は雑魚であるとなぜ分からないのか……鬱陶しい」
「ウルサイ! 余裕ぶっていられるのも今のうちよ!」
先輩は左腕からデミウルゴス目がけ、無数のヴレイウィップを放つ。
「フン」
デミウルゴスはまるで埃でも払うかのように右腕を振ると、ヴレイウィップは力なく弾かれた。
だが。
「おおおおおおおっ!」
それは囮で、先輩がデミウルゴスの視界の外に“トゥエルブ・ウィッチ”を階段状に並べ、その上を飯綱先生が高速で走り抜ける。
「行くぞ! “サウザント・ワン”!」
最後の一枚のパネルを踏み抜くと、飯綱先生は二本のショーテルの切っ先をデミウルゴスへ向け、きりもみ回転しながら突撃した。
「フン、馬鹿の一つ覚えのように……「どうかな?」……ナニッ!?」
飯綱先生は突如両腕を広げ、振り払おうとしたガルグイユの腕にまとわりつくように旋回しながら、目にも止まらぬ斬撃を与えた。
「む……!?」
「ハアアアアア! “アルフ・ライラ・ワ・ライラ”!」
その斬撃が止まった時、ガルグイユの腕には無数の傷が生まれ、そして。
「ムオオオオッ!?」
その傷口から鮮血が吹き出した。
「先生!」
「うむ!」
先輩から放たれたヴレイウィップにつかまり、飯綱先生が戻る。
「さあ……デミウルゴスはどう……な、なにっ!?」
見ると、勢いよく吹き出していたはずの鮮血が既に止まっており、傷口も塞がりつつあった。
「ふむ……まあ、悪くない攻撃ではあるな。だが、その程度の攻撃が、“神”であるこの私に通用するはずがない」
「むう……!」
「だったら次は私が! “カースド・ウィッチ”!」
先輩が右手に持つ紫のパネルをデミウルゴスへと向けると、いばらの蔦がデミウルゴスへと襲いかかる。
「先程のヴレイウィップと何が違……む?」
「そのままズタズタにしてやるっ!」
無数のいばらがデミウルゴスを囲み、いばらの球体を形成する。
そして。
「終わりよっ!」
紫のパネルが回転し、いばらを巻き取っていく。
全てのいばらが巻き取られ、いよいよ露わになったデミウルゴスの姿は…………………………無傷だった。
「な、何で……」
「ふむ、そもそも私の身体を傷つけるには、浅すぎたようだね。これじゃ意味が……「やああああああ!」」
したり顔で語るデミウルゴスの隙を狙って、こよみさんが“ブリューナク”を構えて突撃していた。
「フン」
デミウルゴスは二人の時と同じように、腕で振り払おうとして“ブリューナク”に触れる。
その時。
——デミウルゴスの腕が爆ぜた。
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